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正夢に追われて  作者: ほしのみらい
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最終章

 夢の内容を気にすればするだけ恐れていく想い。


 雪村は、その後も、うなされる程の夢を見て、ノートに追加してきたが、凛には伝えていない。また気にするだろうと思い、話さなかった。


 そして、遂に、凛絡みの、その夢を見てしまったのだった。


 そう。まさしく凛が夢に出てくるのだ。

しかも年月日や時間がはっきりしていた。


 10月6日。今から3日後の夢になる。

6日は、凛の誕生日。夢のノートでも直近未来だった。

夢の内容も内容だった為に、こればかりは彼女には話せずに、苦悩する雪村だった。


その夢の内容はこうだ。


(2035年10月6日。凛の誕生日。雪村と電話しながら道路を渡っている凛。そこに信号無視の大型ダンプが突っ込んで来た。凛は電話に気を取られ注意が散漫になっていた。会話中に雑音がして返事が無くなる。その後、警察からの折り返しの電話が有り事故を知った雪村。)


 新しいノートに書き留めた雪村。


 「年まで分かる夢……。正夢になる!何とか防がなきゃ。俺と電話してなくても、起こる可能性は有る。どこの道路を渡っていた時の出来事なのかも分からない……。ど、どうしよう……。」


 雪村は、夢ノートを読み返している。

最近見た夢までを読み返すと、スマホを手に、凛にLINEした。


 雪村は断崖絶壁の山で、今までの自分を問い正すと伝え、登山に出掛ける。


 突然の事で凛が止めた時は、既に雪村は登山の途中。

凛に電話で夢の内容を伝えた。


「もしもし凛?あと3日先の夢で時間が無い。俺の部屋で3日間、どこにも出掛けず過ごしてくれ。頼む。」

言うだけ言って電話を切った雪村。


 実は雪村は凛を守るために、ある登山道に来た。


 夢ノートの内容が、飛び越えて起こった時、飛び越された夢は実現しないのだ。

「凛、さようなら。付き合ってて楽しかったよ。もう、正夢はこれで終わり。」


 雪村は登山道の途中の、断崖絶壁から飛び降りてしまう。 


 そして、凛は雪村に言われた通り、3日間を雪村の部屋で過ごそうとやって来た……。


 いつもの様に鍵を開けてドアを開ける凛。


 風が窓の方から吹いて来る。


「なんだ雪村、窓開けっ放しで出掛けたんだ。」


 雪村の机の上には夢をまとめたノートが置いてある。


 部屋の窓が開いていて時折風が入っている。

その風でページがめくれていく……。起こってしまった夢のチェックが見えている。


 ページが風でめくれていくと、やがて切り貼りの最後のページが出る。

そこには、凛の誕生日の翌日の日付と、断崖絶壁から飛び降りる雪村の夢が綴られていた。


 (2035年10月7日。登山に向かう俺。昨日の事故で凛を失った。もう何も考えたくない。正夢は懲り懲りだ。途中の断崖絶壁に身を投げて死んでやる!)


 夢ノートの内容が、飛び越えて起こった時、飛び越された夢は実現しない。


ノートの最後のスペースにはこう書かれていた。


(凛。誕生日おめでとう。側にいてあげられなくてごめん。)


 それを読んだ凛。


「ゆ、雪村。まさか!」


慌てて雪村に電話する凛。雪村の電話にコールはするものの、一向に雪村は出なかった。


「雪村。雪村ぁぁぁ……。」


 スマホを放り投げ、夢のノートを手にして涙している凛。


END





 

作中の地名等の名称は実在の物も含まれますが、ストーリーとは一切関係ありません。

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