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正夢に追われて  作者: ほしのみらい
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第二章第九話

 雪村と凛のLINEの間に強くなって降り続いた雨は、地元陽光台の南西を流れる小貝川や、その上流の鬼怒川を脅かしていた。


 未明を過ぎても勢いは変わらず、明け方には土浦市に台風の目が通過した。


 鬼怒川や小貝川の水カサは増すばかり。小貝川に至っては、既にサイクリングロードにまで水が溢れ、決壊は時間の問題だった。河川事務所からは緊急避難警報が発令され、非難する人が続々と高台の公民館や、中学校、高校に集まった。


 明るくなると、遂には小貝川堤防が決壊し、みらい平の南の地域は完全に水没。流された家もかなり出た。


 上空には、レスキューヘリや報道関係のヘリコプターの音が聞こえる。


 その音で目が覚めた雪村と凛。またLINEしていた。


 (おはよ、凛。もう起きた?)


 (うん。かなり前に起きて、家族でニュース見てた。)


 (堤防の決壊では有名な小貝川だし、俺の夢が無くても起こっただろうと思う。)


 (確かに、台風直撃であの雨の量はハンパなかったよね。)


 (雨止んだら来れば?)


 (うん、そうする。じゃまたねー。)


 午後4時になってようやく雨が上がった。

雪村の部屋に凛が入って来た。


 「堤防決壊で、TVのニュースにもなってる。雪村見てた?」

 

 「スマホのニュースだけ見た。今回はSNSに呟かなかったよ。台風直撃なんだから当たり前だろ、みたいなリツイートばっかじゃ気分悪いから、ニュース見て静観。」


 「私も、家族でTV見てて、いずれは決壊するって話してて。雪村の夢を考えなくても起こった事だろうとか……。」


 雪村は膝を抱えながら言った。

「夢の後で直ぐに知らせたところで誰か対応したのかな?とかって考えると、今まで通り静観してるしかないよね。」


 凛はノートを手にして、8月以降の夢を読んでいた。


 「直近は8月3日。それから7日、13日、20日、22日、29日って6日間有るよ。」


 「全部年が書かれてるでしょ。……多分……全部起こると思う。でも、大した内容じゃないでしょ?」


 夢ノートの8月のラッシュはこう書かれている。


 (3日、みらい平学園高校サッカー部。県大会優勝。7月末の台風の影響で決勝相手校が辞退。実質不戦勝。生徒会が駅に横断幕を張る。)


 (7日、昼。常磐自動車道、守谷市からつくばみらい市に入って直ぐの場所にヘリコプターが不時着に失敗。炎上。道路は下り線が通行止め。)


 (13日、午前中。凛のクラスの友達が家出。凛と一緒に俺の部屋にやって来た。親と大喧嘩の末、凛に泣きついたらしい。時間は午前中だが、夏なのに日が低かった。多分朝方?)

 (同じ13日、PM3:00。某有名人が結婚記者会見。噂が有っての結婚にあまり騒がれない。)


 (20日、バイト帰り、凛と待ち合わせて部屋に帰る途中、交通事故を目撃。直ぐに110番する。通報者としてその場で事情聴取。)


 (22日、朝から大雨とひどい雷。学校に落ちたのを翌日23日に知る。)


 (29日昼頃?、近所のゴルフ場に雷が落ち、林が燃える騒ぎ。植林した木が燃えて、まるで山火事みたいだった。)

 (同じ29日昼、航空自衛隊の百里基地で訓練機からミサイル落下事故。訓練用のダミーミサイルだったので、建物に穴が空いただけで騒ぎは収まった。)



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