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私が存在する理由 side story  作者: 橙 果実
魔女のもり SS
18/21

病弱な少女の世界

本を見て夢を見る。

外の世界に憧れ、どんなに乞い願っても…。


もうそれすら叶わない。

あとどれくらい…、どれだけの時間が残されているか。


病弱な少女は夢願う。

この体が無くなって魂だけになったら、世界の全てを感じたい…と。




トク…トク…トク……。

トク………。




彼女の心臓は止まった。

誰にも気付かれず、静かにその動きを止めた。




止まったはずだった。




停止した脳から黒煙が吹き出し、心臓を、全身を覆う。

止まったはずの心臓はゆっくりと動き出し、それを守る体は姿を変えた。

純粋で無垢な存在。

一本の角と長くとがったふわふわな耳。

どこまでも自由な翼を持つ者。


病に負けない体を手に入れた。

死後の世界でもない。

今ここに形を変えて、私は生きてる。


噂に聞いた魔人となった。


家族のもとにはいられない。

誰かを害したいわけでもない。


置き手紙を残し、家族に別れを告げ、想像の世界を目指す。




誰もいない浜辺。

波の音が心地よく、触れる距離まで近づく。

冷たくて、キラキラ輝いて、眩しい本物。

一歩一歩進めば深くなり、次第に飲み込まれていくが恐怖はない。

初めての感覚に目を瞑り、身を任せる。


どれくらい漂ったか、目を開ければ日が差し込む海面と色とりどりの魚に包まれていた。


湧き上がる感情に抑えが効かない。

この気持ちを感動を誰かに伝えたい。


勢いよく水面に上がり、その翼で空を舞う。

目の前にいた鳥にでも伝えたい。


「見て! これが私が知りたかった世界! 私がこの身で感じた世界!!」


彼女が手を伸ばすと広がる空間。

空なのにその空間だけは水も魚も存在する。

巻き込まれた鳥は自身が溺れたと思い落下する。

が、空間から離れれば空だと気付き慌てて羽ばたく。


彼女の部屋程の空間に。

彼女の知る世界に。

新たな世界は作られる。


彼女の体験、想像は幻想。

今はまだ触れることは許されない。

でもそれでも満足だった。

いつかその世界を広げ触れるのはそう遠くない未来かもしれない。


彼女の能力

パーティールーム

自身が生きてきた空間と同じ程の空間に幻想をうみだす

彼女にとっての楽しい空間


強化

その空間のみ実体化する

海なら呼吸できない等

魚に触ることができても空間の外に持ち出せない


閉じられた空間であればその範囲を幻想化できる


彼女の能力に攻撃性は基本ない


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