毒を食む魔人
なんだろな
まぁいつものことながら国語力もない
てか始まりが急ね
なんでこーなったの?
あなた達も同じ思いをすればいい。
小さい頃からだった。
どうやら私は毒に耐性があるらしい。
邪な長のために何人もの人が犠牲になった。
豊かな土地を支配した、アクマみたいな長。
支配体制が敷かれたこの小さな町の空気は異常だ。
町の人全員、と言っても過言ではない。皆、長の命を狙って今日も毒を盛る。
「…っ! ゲホッゲホッ…。 毒が盛られています。他の物を」
「そうか、次の物を持ってこい」
長の言葉で御付きの者が次の食事を私の前に持ってくる。
一口。
(これは問題ないわ。はぁ…いつまでこんな事続ければいいのよ…)
「…クソだわ」
「何か言ったか?」
思っていたことが小さな声で口からもれでる。
「いえ、こちらは特に問題ありません。お召し上がりを」
今日の毒味はこれで終わり。
少しヘマをしたけど、やっと休めることに心と体は喜んだ。
目の端に落ち着かない人影が2つ。
(毒はあいつらね。いい加減諦めなさいよ。いつまでこんなことあたしにさせる気!)
横目で睨みつければ、視線に気付きそそくさとその場を去った。
そう、この町は豊かな実りを長から取り戻すため必死だ。
最初の頃は、直接手を出す者もいたらしいけど、返り討ちにあい、今は毒を盛ることで亡き者にしようとしている。
初めて毒を盛ったとき、量が少なく長は死ぬことはなかった。
ただ、警戒させるには十分で、それ以降町の人間に毒味をさせている。
『毒を盛れば大切な仲間がしぬぞ?』見せつけの為に町民は選ばれ、選ばれた者は皆の為に自身を犠牲にした。
それでも成功したことは一度もない。
そして、私の番。
吐き出し熱を出すことはあっても、私には毒が浸透し死ぬことは無かった。
それからは、私が毒味役。
ただ一つ問題があるとすれば、体の成長が止まってっしまったこと。
不老不死のような私は、陰で『魔女』と呼ばれていた。
毒で死ぬこともなく、老いを忘れてしまった体は確かに似ているのかもしれない。
でも私には特殊な力なんて無かった。
力さえあれば……。
今日の食事にも毒が盛られている。
「…毒が盛られています。他のも…の…」
視界が暗転する。
今までに感じたことのない感覚に脳が混乱し、体が自由に動かない。
(これはなに? 確かに毒は含まれていたけど。意識はあるのに動けないわ)
近くにいた者が駆け寄り、私の状態を確認する。
「死んでいます。蓄積した毒のせいでしょう。彼女はもう目を覚ますことはありません」
御付きの者も確認し、長へと報告する。
あっけない。
長はそのまま私の処理を町の者に任せた。
(え? 私は死んだの?)
「長はうまく騙せたよ。彼女の仮死状態はどうする?)
(は? 仮死? 私はまだ死んでないの?)
「彼女に罪はないが、このまま死んで貰おう。バレてまた毒味役にされても困るしな」
(ちょ……。このまま死ねって?)
「そうだな。仕方ないよな。このまま毒味をさせ続けるのもかわいそうだし。何より毒と分かって長の口に入らなきゃ意味ないもんな」
(ふざけるな……。ふざけるな!! 私の命をなんだと思ってるの!? …仕方ない? 仕方ないってなに? それなら私が目を覚ましても仕方ないよね? もういい…もういい!! 人間なんてやめてやるわ!!)
仮死状態で放置された次の日。
私を燃やすか、埋めるかで揉めていた。
(とっとと燃やせばいいのにバカね)
私を安置した部屋には物音一つなく静まり返っている。
誰もいない今なら……。
「新しい毒味役はまだか?」
苛立つ声に反応する者はいない。なぜなら。
「長、戻りました。やはり私には無害だったようです」
笑みを向けいつもの席へと着席する。
そう、周りが反応できないほど驚いていた原因は私。
仮死状態の人間がそこに平然と歩き座っているのだから。
「なんだ、無事だったのか。お前が死んだから仕方なく他の者を選んだのに。余計な手間だったな」
(は? このクソも? 仕方なくってなによ)
「はやく毒味をしろ。長い事待たされているんだ」
(はやく? まだ予定時間から10分も経ってないのに)
慌てて運ばれた食事。
今なら一目で分かる。この匂いと色は毒が入っている。
一口、咀嚼し飲み込む。
「とても美味しいです。お召し上がりを」
「そうか! 早く持ってきてくれ」
背後が少し騒がしい中、長は気付くことなく食事を大匙で取り入れる。
「確かにこれはうま…ぐっ!?」
長が口に含んだものを咄嗟に吐き出すとすでに血が混じっていた。
「な…毒が入っているではないか! どう…いう…ことだ!」
長は呼吸を荒くし、椅子から崩れ落ち地に膝をついている。
「え? 美味しくなかったですか? あたし結構好きな味だったんだけどなぁ~」
毒が盛られたことにより、長の周りには護衛が集まり、私に武器を向け取り囲んだ。
「あ! あんま叫ぶと毒の回りはやくなっちゃいますよ?」
相手を挑発するようにクスクスと笑い、その場でクルクルと回って見せる。
「貴様…自分が何をしたか分かっているのか!!」
語気を荒げ、尚も悪態をやめぬ長に向き合い止まる。
「バーカ。 あたしがあんたの為にこんなとこに戻ってくるわけないでしょ」
長に対抗する者達も何が起きてるのか理解できず建物の影に隠れ様子を伺っている。
「何で戻ってきたかわかる? 今まで美味しい毒をたっくさんくれたお礼に私が作った毒を食べてもらおうと思って」
「何を……」
両手で口を隠し、笑みを一つ。
握った手を外側へと強く引く。
溢れる黒煙を纏い晴れると魔人が1人。
人ではないとすぐに分かる紫の肌、自在に動く紐状の何かを纏った姿で立っている。
「な…お前は人間じゃなかったのか! だから毒も効かなかったのか!?」
「ぶっぶー! ハズレ。まださっきなったばかりだからうまく作れるか分からないけど…最初の毒をあんたにあげる」
軽く地面を蹴り、長のもとへと飛び込む。
水を救うように両手を重ね、全身の毒を手の平へと溜める。
そのまま傾け口元へと垂らす。
反射的に口を塞ぐがそんなもの意味はない。
毒は皮膚を溶かし、骨をも溶かし口に向かい浸透していく。
「どう? どう? おいしい? おいしいよね? 今まで貰った毒、全部ミックスしてみたの」
長は喉が融け叫ぶ事も出来ずに反応がなくなった。
見ていた周りの者達は恐怖で動けなる者、逃げ出す者、狂う者と様々な反応を見せ方々に散っていく。
「まぁまぁ、そんなに慌てないで。皆にもお・す・そ・わ・け」
立ち上がりくるりと回ると紐状の物が逃げる者達に牙を立てる。
溶ける毒、痺れ毒、即効性の毒。
踊るように回り続け、止まった頃には建物にいた者達は毒に侵されていた。
伸びた紐達がゆるゆると戻ってくる。
惨状を後に紐を引き摺りながら建物を出ようとすると息のある者が数名。
痺れや遅延性の毒だったハズレの人達。
「なんで…こんなことを……」
話しかけてきたのは、仮死状態の私を安置室に置いて行った一人。
「ん? あぁ~聞いてたのよ」
遅延性の毒だったのか青い顔がより青ざめる。
「体は動かなかったけど、聞こえてたの。仮死の私をそのまま見殺しにするって」
何も言わずにただ黙って聞く男達。
「仕方ないって…、なら私がこうなるのも仕方ないことでしょ?」
反応する者もいない。
彼らは自分達の町の皆の自由の為に自己犠牲をも厭わず突き進んでいただけ。
でも、私は静かに暮らせればそれでよかった。
誰かの目に入ることなく。
なんで私だったんだろう……。
彼らの前に落ちている器。
肘から手首まで一筋の傷をつける。
傷口からは紫の血が勢いよく溢れ器を満たす。
「毒を以て毒を制す。っていうでしょ? あたしの血こそ最高の解毒薬よ。そのまま死ぬか。信じて解毒するかは任せるわ」
そう言い残し、その場を後にした。
建物から出る頃には、人の姿へと戻り人目につかないように町を離れる。
正直魔人化したばかりで毒を使いすぎてしまった。
時間が経てば自身で精製もできるが、今は一刻も早く毒が欲しい。
「あ…トリカブト。よかったこれでちょっとは満たされるかな。
魔人の姿へと戻り、毒を摂取する。
人間の頃と違って美味しく感じることに脳と体がとても喜んだ。
楽しい食事タイムに背後から一つの足音。
(町の人間? 追いかけてきたなら容赦なくころ……)
「あんた……ダレ?」
背後には見知らぬ男が一人。
町の人間ではなく、風貌が人間とは違く思える。
「毒か。よかった探してたんだよね。僕と一緒に行こうよ」
私一人苦しむなんて不公平じゃない?
なら皆も私の経験おすそ分けしてあげる。
自分が不幸のサラブレッドすぎて、世界の子達が侵食されてるわ
皆人間嫌いになっちゃってる…
人魚とか鏡みたいな子もっと増えると思ってたんだけど
本編進まないからもう諦めてるけど
このままじゃ人間不利だわ
神様はエンド書き直さなきゃ
てか初期設定っぽい物がだいぶ狂ってきてるなぁ
足枷というかなんというか
てかなんでこの子毒平気なの?
この子も香…いやでもなぁ…




