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「あー!やっと見つけたー!!こんな所に隠れてたの?探すの大変だったんだよ?」


 垂れ流されている血液の跡にも、彼女がそれを辿るのに苦労したのは、それが薄暗い場所へと続いていたからか。

 ようやく追い駆け続けた相手を見つけたあさひは、それに歓声を上げると嬉しそうな表情を見せている。

 駆け回った時間に、荒れる呼吸の邪魔になったのか、彼女はその顔に被っていたホッケーマスクを外し、その美しい素顔を晒していた。


「ま、いっかー。さっさと殺して、ママに褒めてもらおーっと!」


 あさひの到着にも、そのターゲットである百合子は俯いたまま、反応を示そうとはしない。

 どうして彼女がこんな所に隠れていたのかと疑問に感じたあさひはしかし、そんな事はどうでもいいかとさっさと歩みを進め始めてしまう。

 彼女からすれば目の前の存在などどうでも良く、それを処理した後のご褒美の方が重要なのだ。

 しかし彼女はもう少し、考えるべきだったのだろう。

 百合子が何故、この場所に逃げ込むことを選んだのかを。


「・・・そう、うまくはいかせない」


 気軽な様子で近づいてくるあさひの姿に、百合子はそう静かに呟いていた。

 そうして彼女は、そっとその右手を掲げる。

 その手には、小さな箱状のものが握られていた。


「お前も、あいつも皆、道連れにしてやる」


 カチリと何か押し込む音に灯った明かりは、この部屋の闇を払ってその姿を照らし出す。

 この部屋、あさひがかつて翔と出会ったボイラー室に撒き散らされた液体は、何も彼女の体液だけではない。

 百合子の手から落ちた明かりは、一瞬その姿を翳らせ、そうしてすぐにそれまで以上の明かりをこの部屋全体に撒き散らしていた。

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