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3.人外ぽい


それにしても、私は本当にマリアンナとして転生したのだろうか。

何しろ2年の記憶がないのだ。

もしかして、マリアンナの体を乗っ取ってしまっていたならどうしよう。


魔力の暴走、とやらによりショックで前世を思い出し、代わりにこれまでの記憶を失ったのだろうか。

そういえば父さまと母さまの言葉は理解できるし、言葉も話そうと思えば話せる。

2歳レベルみたいだけれど。


ということは乗っ取ったのでは無いのかもしれない。

突然私がこの体に入ったなら、言葉も全く分からなかったんじゃないだろうか。



これから生きていくにあたって、生まれてから2年間の記憶が無いと不便だろうか。


正直『あやめ』としても、2歳の頃のことなんて何にも記憶に無い。

断片的に記憶があるとして…幼稚園くらいから?



2歳なんて、生活はほぼ家の中で完結しているだろう。

買い物や散歩くらいは連れて行ってもらっているかもしれないけれど。



うん、いくらでも取り返せる気がする。



せっかくもらった新しい人生、楽しもう。






パンが焼けるようないい匂いがして、意識が浮上する。


「ん…」


のそりと起き上がって周りを見回す。


母さまも父さまもいない。

一人で大き目のベッドにいた。


隣に私が元々寝ていた小さいベッドがある。


いつもはこちらで寝ているに違いない。



ベッドから降りようと、這って隅まで行く。

…高い。


床までかなりの距離があるような気がする。

体が小さいからね。



「よいしょ」


脚から下ろしてぴょん、と床についた。



すぐそばに揃えて置いてあった小さい靴を履く。

部屋履きのようで、すごく柔らかい。



ととと、と歩いて半開きにされた部屋のドアを引こうとして声が聞こえた。


『熱は下がってほっとしたけど、あの姿はどうしたものかしら』


お?

そういえば昨日姿がどうこう言われたような気がする。


『うーん、元に戻るかと期待したけどそのままだったね…今日マルグリット様に聞いてみよう』


マルグリット様とは誰だろう。


考えたところで分からないので置いといて、そう、姿です!

私はどんな顔してるんだろう!



部屋の中を見返す。

ベッドの横にあるのは鏡台に違いない。

布をかけてあるのでちらりと映りこむこともなかったのだ。



そちらに行って椅子を引く。

母さまサイズなのでよじ登る。

椅子の上に立って、片手を付き、もう片方の手で布を引っ張った。



「うえっ!?」


あまりに驚いて大声をあげてしまった。



「マリー!?」


父さまと母さまが飛び込んできた。



ぎぎぎ、と首を回してそちらを見る。


「色が、へん…!」



2歳児にしてはすごく目鼻立ちがはっきりくっきりとしていて我ながら美少女だと思う。

だがしかし色が!


髪の色が真っ白だ。

白というか白銀というか。輝いている。

そして目が金色。


まだ子どもらしく髪がショートくらい短いのでそれほどでもないが、これは髪が伸びたら整った顔立ちと相まって人外のようにならないか。ちょっと怖い。




母さまは茶色の髪と目。

父さまはくすんだ赤色の髪に母さまと同じ茶色の目。


遺伝的に私の色はおかしくないですか?



父さまが椅子の上に立った私を抱っこする。


「そうなの、倒れる前は母さまと同じ色だったのに…」



よしよし、と母さまが頭を撫でてくれた。



なんと、熱で色素が抜けちゃったんでしょうか。

それにしてもおかしすぎる。


「わたし、おかしい。とうさまかあさま、きらい?」


突然色が変わる子なんて不気味と思われてないだろうか。

昨日からの様子で嫌われてはいないと思うけれど気になる。



「「そんなことない!」」


2人で慌てて否定してくれた。

大事な子、大好き、とぎゅうっとしてくれる。


すごい。

温かい人たちで本当に良かった。




「後で魔術師の方が来てくれるからね。何とかならないか聞いてみよう」


それはもしかして先ほど話していたマルグリット様かもしれない。



「マリー、もう体は大丈夫かしら?元気がでたなら着替えてご飯にしましょう」



「うん、たべる」



昨日の体のだるさが嘘のように、食べて寝たらすっきり爽快元気いっぱいになってるみたいです。






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