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23.油断ならない

訓練終了後、マリアンナは体力回復薬、フィリップは体力回復薬と魔力回復薬を貰った。


「うっ…青臭い」

「これは結構いけるな」


マリアンナは自分の薬を持ってくれば良かったと思うような味だったが、フィリップは美味しかったようだ。

運試しに負けた気分だ。


「ぐわっ」


マリアンナが内心悔しがっていると、続けて魔力回復薬を呷ったフィリップがもんどりうって倒れた。


「え、フィリップ?!」

「ま、まずっ」


魔力回復薬のほうは体に合わなかったようだ。

必死で訓練に参加してとどめに不味い薬に当たるとは…。


「ははは、運が悪かったな。

せめて口の中を浄化しておくといい」


エドガーの助言を受け、フィリップは浄化した後口を漱いでなんとか復活した。


不味い薬を飲んだ人を初めて見たので驚いた。

怖すぎる。


マリアンナは働き始めたらいかなる時も自分で作った薬を持ち歩こうと心に決めた。




休憩を兼ねて建物の中を軽く案内してもらい、来客用の応接室に通された。


「さて、何か質問は?」


「この後は護衛ですよね?先生について行くのでしょうか」

「ああ。午前中に護衛任務についている者と交代するから、一緒に来るといい」

「護衛対象はいつも違うんですか?」

「命じられない限りは基本的には同じ人を護衛する。

入ったばかりの見習いは先輩について色々な所を回ってもらうことになるけど」


アイリスの場合、護衛の騎士と魔術師はいつも違う人だ。

滅多に外に出ないため、お願いした時に体が空いている人が来ているからだろう。


やけに人数が多い時もあったが、あれは新人が一緒だったのかもしれない。


「…ちなみに今日の護衛対象は」


マリアンナはもしかしてと思い質問した。

エドガーが護衛につく人といえば頭に浮かぶのは1人しかいない。


「行ってからのお楽しみで」


エドガーがにやりと笑う。

うん、間違いない。こんなに分かり易ければお楽しみもなにもない。


しばらく質問が続き、だいたい気になっていたことは聞くことが出来た。



「他に何かあるか?何でも聞いてくれ」


「…何でも?」


そんなことを言われたらあれを聞きたいところだけれど、さすがに今は不謹慎だろうか。

マリアンナは隣のフィリップに視線をやると、ばっちり目が合った。


何でも聞いていいならアレだよな!


…と、その目が語っている気がする!


「エドガー先生」


「ん?」


マリアンナは意を決して口を開いた。


「レイモンド様の妹さんとお付き合いしてるんですか?」

「はあ?!!」


エドガーが見たことのない変な顔をした。


さすがに直球すぎたかもしれない。


「昨日研究所でレイモンド様に何か知らないかって聞かれたので」

「あいつ…ていうか怪しまれてたか…」


エドガーは頭を抱えてぶつぶつと言い始めた。


ちなみに今後クラウディオからも呼び出しがあるはずだ。

今まで独身を貫いてきたエドガーの恋路には興味津々なので諦めて欲しい。


「で、本当のところはどうなんですか?」


「…黙秘する。

が、レイモンドの事は聞いてよかった。

お互い護衛というか監視というか忙しくて話す機会がなかったんだ。

ちゃんと時間をとるよ。ありがとう」


その護衛や監視の対象は同じなのでは。

マリアンナは何だか申し訳ない気持ちになった。



「さ、質問は終わりだ。昼食の後は護衛だ」


エドガーが立ち上がった。

残念ながら今日はここまでのようだ。



昼食は城内の食堂を利用した。

城で勤務する者が同じ食堂を利用しているらしく、恰好はまちまちだ。

人によって空き時間が違うため長時間開けているそうでそれほど混みあってはいなかった。


手順は研究所の食堂と変わらないので、さっと食べる。



その後エドガーについて城内を移動するが、歩いている途中でどこに向かっているか分かってしまった。

アレクシスの執務室方面である。


「…マリーは肝が据わりすぎじゃないか?」

「え」


隣を歩くフィリップが小声で呟いた。


「城だぞ?普通ならマリーの身分では一生立ち入れない場所だ。

初めて来たはずなのに、まるで何度も来て慣れているような振る舞いに見える」



本当にこの男は油断ならない。



「す、凄すぎて!呆然としてたー!」



今更珍しそうにキョロキョロと周りを見回してみたけれど、遅かったかもしれない。




いつもありがとうございます。


今後の更新について、活動報告を書いています。

よろしければご覧ください。



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