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第5話「勝負」

とりあえず、転生は完了しまいしたが、さっそく試練ですね。

俺の名前は秋元宗あきもとしゅう


なんやかんやあって異世界転生することに成功?したらしい。


鏡がないから姿を確認することはできないため、本当に姿が変わっていないのか心配でもある。




双子の神様ルルとミミからお願いされて異世界転生した!と思った矢先の光景は、中世くらいの家の中。ただし、ものすっごく汚い。


埃の上を歩くと足跡がつくため、俺以外に一人だけこの家の人がいることがわかる。



ただ、その足が、なんというか非常に犬とか猫の足の裏みたいに見える。ひょっとして異世界では複数の種族が協力して暮らしているのだろうか。そうだとしたら、この丸っこい足跡にも納得がいく。





一度状況を整理してみよう。

俺、転生の儀を受けた

目を開けると人の家にいた

窓から見た景色は古びた街並みみたいだった

窓を開けっぱなしで今に至る




つまり、よく分からないことが分かった。一つ問題なのが、今は夕方であるということだ。


現代日本であれば、そろそろ仕事を終え、家に帰ってきてもおかしくはない。この世界がどのような仕組みで動いているかはわからないが、きっと家主が返ってくる頃だろう。




あれ?俺、不法侵入じゃ…。とりあえず、人の家に無断で入っていい家なんてどの世界でもあり得るわけがない。ひとまず、家の外にでよう。



「…ギィ―――バタン」


やばい!きっと家主が返ってきた音に違いない。あれ、窓から見た景色から考えると俺はいま、二階あたりにいるはずだ。


どこかに降りる階段があるはず。とりあえず、走って探し回ろう。家主にであったらすぐさま謝って事情を説明すればきっと許してもらえるはずだ。


おかしい、どれだけ探しても階段が見つからない。


一つ災害時緊急用梯子みたいなものを隣の部屋の床に見つけたが、普段住む家で梯子なんて使っているわけがない。



「いやいやいや。階段がないのはおかしいでしょ!だって…どうやって生活してるんだよ!」



建付けが悪いのか、やたら木の擦れる音が鳴り響く。

これだけで相手に俺がどこにいるか丸わかりじゃないか。1階の音を聞く限りだと、家主は梯子があったほうに移動している、のかな。


所詮ニートだった俺には、研ぎ澄まされた神経だとか、もともと五感に優れていますなんて特技もなく、ほぼほぼ適当もいいところだ。



そうだ、自分のステータスって見れないものか。解決策が出てくるかもしれない。



「ステータスオープン!」






……

……………

は、恥ずかしい!だがしかし、予想とは裏腹にまったくもってなにも起きない。言葉が違うのだろうか。



「ステータスよ開け!オープン!スキル、能力鑑定!……」



特に言葉を変えても変化なしと。もらった魔法は使えるのだろうか。


…いやいやいや、なに冷静に能力見ようとしてるんだ、多分この扉の向こうには家主がいるはず。


いや、足音が目の前で止まっているから、絶対にいる。大丈夫だ、きちんと説明さえすれば乗り越えられるはず。


あわよくば美少女とお近づきなれたらいいな、なんて考えを持ちながら扉を見る。




「…ギィ――――バタン」



そこには、強面でいかにも人殺ししています!みたいな小さめだが筋骨隆々のたくましいおじさまが立っていた。


気のせいだろうか、相手の目をしっかりと見ることが出来ない。

それどころか一歩前に出ようものなら、殺されてしまう、そんな自分が想像できた。



「お!お邪魔してます!」





…やってしまった。いや、確かに邪魔はしているんだろうけども。

直角の礼。これをみせられたら文句なしに面接官は合格をくれるであろうきれいな礼を心掛けた。




相手からの反応がない。ただ、気のせいなのか相手から伝わっていた嫌な空気は去ったような気がした。とりあえず、自己紹介からするべきだろうか…そう思い顔を上げてみた。



目の前には顔面のサイズに等しいほどの巨大な影があった。


上から振り下ろしていたであろう拳を、理解するよりも先に体が動いていた。何とか後ろに緊急回避することで、体自体は回避できた。ただし、あの拳が床に当たったら抜けてしまうのでは…




そんな心配は杞憂に終わった。床との差わずかに1㎝足らずでその拳は静止した。


いくら武術に心得がない俺でもわかる。今のは当たったら危険な速度だった。その速度を急激に0にすることに意味を考えれば、相当体を鍛えていなければできるものでもないだろう。


いや、そもそも人間に可能なのかと問われて素直に肯定できるかすら怪しい。



「…ほう、よくあのタイミングで避けた。次、行くぞ。」



何言ってるんですかこのおじさんは!


今のような攻撃ができる人に勝てるわけがない。ここは何としてでも話を聞いてもらえるように行動しなければいけない気がする。


ただし、さっきのように誠意を見せても殴られる可能性もある。相手の目を見て、しっかりと話すんだ、面接の練習でも反復して覚えたことだ。今の自分にはそれしかない。



「話を!話を聞いてください。」



「俺の家に上がり込んでおいて、話を聞いてもらえるとでも?」



ですよねー、知ってました。


けれども、命がかかってるのでこちらが引けないのも事実。転生早々死ぬわけにはいかない。俺は勝負に出ることにした。



「戦います。戦いますからまずは拳をおさめてください。もちろん命もかけます。」



「ほうやっと戦う気になったか。いい根性だ、もし俺が負けたらお前の下についてやるよ、俺は今までそうやってここまで生きてきたんだ。


お前が命かけたんだ、それくらいしてやらねぇと平等じゃねぇだろう。」




勝てると決まったわけではないけど、こんなおじさんが部下になるってのかよ。


仕方がない、まさかこの勝負におじさんがついてくるとは思わなかったけど、味方だと考えればあの強さは心強い。



「拳を収めてくださってありがとうございます。それで、勝負の内容なんですが…」



「俺はどんな条件でもいいぞ、槍、剣、短刀、こん棒、なんでもこい。その体に負けるとは思わないからな。」




勝負内容をこっちが決められるかが心配だったけど、あっさりとその権利を俺にくれた。このおじさん、根はいい人なのだろうか。とにかく、勝負に勝てる確率を上げるためには…あれしかない。



「ありがとうございます。助かります。」



「ほう、ずいぶんと得意な武器でもあるのか?なんでもいい、早く言ってみろ。」



そう、ここはあくまでも異世界。


おじさんはさっきから勝負の内容が武器を用いた戦闘に偏っているが、何もそれだけが勝負ではない。この世界で生きていくためには、まずここで勝たなければならない。





「では、じゃんけんをしましょう。」


じゃんけん、このネタを思いつくまでは、チートで乗り切ろうかと考えていました。

果たして命を懸けたじゃんけんの行方やいかに。

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