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第3話「転生の儀」


「宗殿、転生の間に着きましたぞ。準備に時間は要しませんが、少しばかりルル、ミミと話していてはもらえませんかな。」



「はい、わかりました。」



と言っても、何を話せばいいのだろうか。


ルルは興味津々といった様子で後ろをついてきたし、ミミは恥ずかしがり屋なのかルルの半歩後ろを歩いていた。双子でも性格は異なるようだ。



「ルル、ミミ。君たちが転生の儀で俺にお願いすることって何かな。」



お互いが顔を見合わせて、後ろを向いて小さな声で話し合いを始めた。もしかして、もともと願い事はなかったのではないだろうかというくらい待った。


やがて、二人は少しあたふたとしながらもきっちりと俺の質問に答えてくれた。



「ルルはね、人に優しくしてもらいたいかな。けれど、無理そうなら条件なしでもいいと思ってるよ。」



「ミミは、時折一緒に遊びたいです。その、向こうの世界では、私たち神は宗教として基盤にあります。


おにーさんは、教会でお祈りをしてくだされば、私たちと少しの間だけですが、会えることもできるんです。ダメでしょうか…?」



なるほど、困ったら協会で祈ることで、直接この子たちに会うことができるのか。それは得した情報だと思う。ただ、異世界の人間は、神様と会ってくるといってもまず信用されないだろうけどな。



協会があるということは、少なからず人々が住んでいる場所に転送されそうだ。よくよく考えてみたら、空中なんぞに転送されたら死んでしまうからな。



「一つだけのお願いって、必ず達成しなければ何か罰があるのかな?」



いけない、つい神様ということを忘れて子供に話しかけるように接してしまう。


ただ、大人の神様たちも何も言ってこず、時折こちらを見て笑いかけてくれるくらいだ。



「私たち二人で転生の儀は行うんだけど、そのためには一人一つが絶対条件なの。だから、おにーさんには私たちから一つずつ、計二つのお願い事を聞いてもらうんだけれども…いいかな?」



やはりそうか。薄々感づいてはいたのだが、二つのお願い事か。まあ、さっき聞いていた内容なら問題はないだろう。後は所謂スキルとかレベルとかあるのか聞いておこう。


他にもRPGの要素にどれだけ似ているのか知っておかないとな。



「そうですね、ミミ達は詳しく説明するだけの時間は残念ながら無いようです。協会に立ち寄って下されば一度目だけ長い時間一緒に入れるように頑張りますので、その時でもいいですか?」



ミミ達に落ち度はないし、向こうについてからでも十分だろう。少し不安要素は残るが、まあ海外に踏み込んでみよう程度の認識で考えている。



転生の間に呼ばれた俺たち三人は、つつがなく転生の説明を受け、双子が今頑張っている。俺の体は死んでいるため、一から構築されるらしい。


ただ、できる限り違和感をなくしたいため、体格や顔はそのままでお願いした。



その反応を聞いてから、双子は終始笑顔でいてくれた。よくわからないが、多分これを機にイケメンで高身長にチェンジする人間が大半なのだろう。



魔法陣が青白く光り輝き始めた。




「双子の神、ルル。」

「同じく双子の神ミミ。」



「「我らからの願い、しかと聞き届けよ。」」



さっき言っていた内容だな。双子だから息もぴったりだ。説明通りだと、この願いに俺が必ずや、ということで転生は完了するはずだ。


人ひとりの人生でも、神様の力ってのはすごいと思える。しかし、きれいだな。




「「汝、秋元宗。我らの願いは、



私たちが成長したら、






結婚してください。」」





ん?

気のせいか…



んなわけあるか!!!おいおいおい、待ってくれ、さっきの可愛らしい内容はどこに行ったんだよ。とりあえず、一度中止して、理由を聞かなくては。



「宗殿、話せんじゃろ?転生の儀では、決まった言葉以外は話せないようになっておるんじゃよ。」



…はめられた。ただし、よく考えてみよう。二千年もの間、神様は平然と生きているんだ。成長し終えたころには俺は生涯をまっとうしているのではないか。そう思うことで少しだけ冷静さをとり戻し、、、、



「そうそういい忘れておった。転生の儀を終えるとこの子らは成人と認められるんじゃ。それはつまり大人へと神格が成長することを指す。


簡単に言えばこの儀式が終わったら宗殿は結婚をしなければならないということじゃな。」






………

……………

なるほど、周りの神様が優しく微笑んでた理由がよく分かったぞ。


あれは、成長することを知っていて、子供のままである神が珍しいから見に来てたのか。だが、悪い話じゃないはずだ。



神様の力を持っている双子が周りにいれば俺は楽な生活ができるんじゃないだろうか。短い間だったけれども、とても可愛いいい子たちだ。俺にはもったいない。



ただ、人間の世界に降り立っても大丈夫なのだろうか。そんな心配をしていると、クラドールが話しかけてきた。




「神の力を宿したまま地上に降り立つのは危険じゃからな。少し制約を作らせてもらった。


宗殿を含めて三人のうち誰かが危険な状況に遭遇している場合のみ、神としての力をふるえるようにしてある。」



はぁ、ようはクラドールは双子のお願いをはじめから知っていて、協力していたということか。


俺にとっては見知らぬ土地で頼りになる双子がいてくれると助かるから、嫌ではない。むしろこんなに可愛い子を傍に置いておくことによる俺への非難の目が怖い。



その会話を聞いた途端、魔法陣が赤黒く染まり始めた。いよいよ、転生のときか。確か、クラドールの話によれば、俺は所謂恩恵を頂けるらしい。



本来であれば一人二つと決まっているが、俺の場合は双子のため、実質四つもらえることになる。これだけでもはやチートだ。





俺は平穏を望んではいるが、むざむざと死んでやる気もない。俺が望んだ恩恵はこれだ。

1:共通言語

2:召喚魔法

3:空間魔法

4:水魔法




1は当然だ。2はなんとなくペットみたいな使い魔がいたほうが安らぐかなと思ったからだ。3・4は数ある中で生活に役立ちそうだったため選んだ。




赤黒い光が収束すると同時に、視界はさえぎられ、耐えきれなくなった俺は目を閉じた。

転生の瞬間に神様たちが騒がしかったが、きっと応援してくれた声だったんだろう。




それじゃ、行ってくるか。


やっと主人公が転生されました。

次話からは異世界での物語になる予定です。

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