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輝石の騎士  作者: Tandk
第一章 少年期
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第十七話 イレーネ

初の感想頂きありがとうございます!

テンプレがどうなるか、お楽しみ頂けたら幸いです。

「で、サラさん。集めた晶石は何処へ持って行けば良いの?」

「おいコラ」

「え、あ、右手にある売買カウンターで買い取っています。で、でも、あのーー」

「ありがとうございます。では、換金して明日また改めてお伺いしますね」

「待てえええい!!」


 アルトリオにさらっと無視されていた厳ついお兄様が遂にキレた。

受付嬢のサラはアルトリオへ何度も目配せしていたのだが、残念ながら功は奏しなかった様だ。


 流石のアルトリオもこれ以上は避けられないと諦めがついたのか、漸く彼等へと向き直って口を開く。


「ーー何? おじさん」

「お、おじ……」


 アルトリオが厳ついおじさーーお兄様へ言い放った一言で、先程までの喧騒が嘘かの様に、フロアに静寂が訪れた。


 おじさんと言われた当人は怒りを通り越してしまったのか、むしろ青白くなって震えていた。

やがて身体の震えが収まってきて、礼儀を知らない少年へ向かって青筋を浮かべながらも口を開こうとした時――


「「「ぎゃはははは!!!!」」」


――フロア中が爆笑に包みこまれた。


「ぷ、ぷぷ! おじ、おじさんだってよ、バース!」

「おい、やめてあれ、あれでもまだ二十過ぎなんだ。一応、な。ぶふ!」

「小僧! 良く言った! 残念だったな、バースおじさん!」

「私もずっと思ってたわ! あはは!」

「「あははは!」」


 老若男女――どころか、冒険者や商人、果てはギルド職員まで――がバースと呼ばれた、厳ついお兄さんへのおじさん発言に大ウケしていた。


「うわ、なんだこれ」

「……こわい」


 渦中の少年と連れの少女はドン引きしていたが。


「て、てめら……上等だ……」


 この事態に最早肌の色が変わってしまうほど怒りを覚えたバースおじさんは、遂にマジ切れした。


「今笑った奴ら一発殴ってやる! 六星(シックススター)、サラ・ガーディアンズ隊長のバースを怒らせる事がどういう事か、身を持って思い知れ! いくぞ、野郎ども!!」

「「「へい!! 兄貴!!」」」


 アルトリオ達を囲んでいた厳ついお兄様達は怒号を発しながら、周囲でバースを馬鹿にした者達へと殴りかかっていく。


「「「やれるもんならやってみろ!!」」」


 殴りかかられた者達もこうなることは織り込み済みだ。慌てることなく迎え撃つ。


「「「「うおおおおお」」」」


 当初はサラ・ガーディアンズとその他と言った構図だったが、巻き込まれた者達と巻き込んだ者達がさらにもつれあい――冒険者ギルド中央支部の受付フロアは大混乱に陥っていた。

中には、職員ギルドまで乱闘騒ぎに参加しており、最早業務どころではない。

そうなると、当然アルトリオ達も換金できない訳なのだが。


「晶石、換金してくんないかな……」

「ベッド……」

「はわわわわわ。 アルト君達、意外と落ち着いてるんだね」


 周囲の状況には我関せずとばかりにため息をつく少年少女に、終始慌ててとりなす事も出来なかったサラが関心するかのように呟いた。


――果たして乱痴気騒ぎはいつになったら終わるのか。


「……シーア」

「リア、ダメだ」

「でも、ベッド」

「ダメだ」

「……わかった」


 我慢の限界を迎えたイリアリアが、道中こしらえた擬装用の木鞘に納められた精霊石へと手を添えた時、アルトリオがすぐさま制した。

不満そうなイリアリアだったが、アルトリオの真剣な表情に一先ず手を放した。


 人知れずそんなやりとりをしていた少年少女にだれも気付くことが無く、この騒ぎが始まって数十分が経ち、戦場に敗者が多数転がり始めた頃。


「――オール・ストップ」


 突如紡がれた言葉と共に、フロアに再び静寂が訪れた――一人の例外を除き、全ての者が動きを止められる形で。


「お前達、何をしている。説明しろ、サラ」

「はわわわわ。イレーネ本部長」


 説明役に術を解かれたサラが慌てながらも、この場を一瞬で支配した人物へ事のあらましを伝えはじめる。


 入口から入ってきた人物は、すらりとした長身で肌の色は黒く、耳が尖った銀髪紅眼の容姿端麗な長命種族――ダークエルフの、冒険者ギルド中央本部長イレーネその人だった。


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