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(5)昔々あるところに、エラという美しい娘がおりました。

一番先頭に“。”や“』”がきているのが気になって訂正しました。

若干の疲労感に体が押し潰されそうになりながら、目が覚めた。


あぁ、多分金縛りとかにかかったら、こんな風に苦しいんだろうな…


そう思いながら目を開けると


『!?』


胸の上に人が乗っていた。

マジで金縛り?!


少しずつ焦点の合ってきた目をこらすと、あれ?この小綺麗な女の人は…?見覚えがあるな…


あ、シンデレラの母ちゃん!


そう、日本語を話した俺にビックリして

発狂しかけて

気持ち悪くなるくらいに俺を揺さぶってくれた人だ。


『お母さ…?』


翻訳こんにゃくゼリーを食べたけど、あのオッサン胡散臭かったからなぁ…


本当に言葉が通じるのか恐る恐る声を出す。


女の人は、パァァと明るい表情になり、俺をぎゅうぅぅぅと抱き締めた。


『エラ!良かった~!エラだわ!』

『…い、いたい…』

『あっ、ごめんなさい!私ったら嬉しくって!あ~な~たぁぁぁ~!』


耳キーンてなるからね。

そこで大声出すと耳キーンてさっ。


『お母さん…重い…』

『あらやだ!ごめんね。あなたがうなされてたから。心配で顔見てたの』


テヘッとベロを出しおどけてみせる。


…可愛い。間違いなく可愛いぞ。俺の本当の母ちゃん(光子)とは、雲泥の差だな。あ、光子がモチロンでいね。母ちゃん、ごめんな。


バタバタと慌ただしく走る足音がして、男が一人やって来た。


あ、金の懐中時計ヤロー!


きっとこいつが親父だな。


『エラ…心配したぞ?急に変なうわ言を話すから』

『あ、ごめん…なさい、お…』

『お?』

『お父さん?』


男の人はにこりと微笑む。

おー、呼び方合ってたっぽい。それにしてもいちいち緊張するな。


『いいんだよエラ。もうブランコで世界一周~!ってぐるぐる回るのは止めてくれよ』

『本当に。寿命が縮まるかと思ったわ』


おてんばじゃん!

なに、世界一周って。めっちゃ気になるわ!


ってさっきから気になってんだけどさ


『ねぇ、エラって?』

『え?』

『お?』


だってさ、俺ってシンデレラだろ?


『私って、シンデレラ…じゃないの?』

『シン…?』

『デレラ…?』

『HAHAHA~』


おーすげーな!映画で見たような外国人って感じの笑い方!


『どうやらエラは、何か面白い夢でも見てたみたいだな』

『えぇそうね。シンデレラだなんて変な名前ね。もしかして、最近話題のキラキラネームかしら?』

『それでもシンデレラだなんて。すごいセンスだなHAHAHA 』


めっちゃ笑われてる~。

後世の女の子が憧れる名前だぞ?


『もしかしたら記憶が混乱してるとか?』

『だったら大変だわ!一応ウォルター先生に診てもらいましょうか?』


途端に不安げな顔になる両親。


『そうだな。レイチェル!レイチェル!』


え?誰?


『お呼びでしょうか旦那様』


スッゲーーーー

メイドだよ!本物のメイドだよ!

そう言えば、アキバのメイドカフェ、随分行ってねぇな。まだえりちゃんいるかな~

生き返ったらまた行くか。


『ちょっとウォルター先生を呼んで来てくれるか?エラが目を覚ましたんだ』

『あらまぁ。すぐに行って参ります』


レイチェルは、ちょこんと頭を下げると、スカートを少し持ち上げながらぱたぱたと走り去った。


『さ、エラ。もう少し寝てなさい』

『あ、うん…』


俺は、ふかふかの布団を顔までぐっと引き上げた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


『…うむ。体は大丈夫だろう』


ほどなくして現れた、くるっと巻いた口ひげが印象的な初老の男性。どうやらこの人がウォルター先生らしい。

聴診器らしき筒を俺の胸に当て、反対側に自分の耳を当てる。


ちっか!

胸に近いよ!エロおやじ。

チックショ~!医者って羨ましいな。綺麗な女の子にこんなに接近出来るんだもんな。


自慢じゃないけど

俺はまだ童貞だ。


顔も性格もフツウだと思う。先に言っとくが、彼女はいたことがある。

がしかし、どう触っていいのかよく解らない。

触りたいけど触れない。

それで仕方なく野球で鬱憤を晴らしていると

大体『私より野球が好きでしょ?』とか言ってくるんだ。


ったく女ってのは。

これでも男だって色々考えてんだぞ。


……って、よく考えたら


今俺が女の子か。


『君の名前は?』

『へ?』


ウォルター先生が、微笑みながら尋ねてくる。

どうやら問診らしい。


『エ、エラかな?』

『うん。では、母上の名前は?』


えーーーー?!

光子?!

違うか!


顔を上げると、母親が心配そうな顔でこっちを見ている。


…み、見ないで

ごめんよ…


『ごめんなさい…』

『あぁ…やっぱり少し記憶がないみたいだね』

『エラ。母さんの名前はエルよ』


エルね。しっかりメモっとこ。


『じゃあ父上の名前は?』


えーーーー?!

母親の名前解らなかったのにまだやる?!


『ごめんなさい…』


伏し目になり、精一杯のごめんなさいアピール。


父親が、優しく頭を撫でてくれる。


『エラ。大丈夫だよ。父さんの名前は、ラミエラクインザット2世だ』

『ラ、ラミエラ…?』


名前長ッッッ


『ラミーでいいのよ』

『あぁ、長いからな』


自覚してんだ。

じゃあ初めからラミーにしてくれる?


『エラの名前は父さんから取ったんだぞ』

『そうよ。ラミエラのエラをね。私はエルだし、なんだかちょうどいいねってなったのよね』

『あぁ懐かしいな』

『エラが出来たって聞いた時のあなたの顔ったら。うふふ』

『いや、待ちに待った子どもだったからね!嬉しくてね』


おいおい、子どもも先生もおいてけぼり?


オホンと、髭を指で整えながらウォルター先生が両親の方へ向き直る。


『やはり頭を打っておるせいで、所々記憶が無くなっておるみたいじゃ。その都度教えてやれば問題はないでしょう』

『ありがとうございます』

『ウォルター先生。良ろしければ少し飲んで行きませんか?用意してありますので』


父親が先生を手で導く。『ではお言葉に甘えて』なんて言いながら、先生は父親と連れ立って部屋を出ていった。


『良かったわ、エラ。私も少し先生とお話してくるから。休んでおいてね?』


母親がおでこにチュッとキスをくれる。


一人部屋に残された俺は、のそのそとベッドから這い出した。


そう、俺にはやらないといけないことがある。


ベッドの足下の方の壁に、豪華で大きな姿見が掛けてあるのに、俺は気付いていた。


ゆっくりと鏡に近付く。


鏡に映った姿。


金髪で、目の色は濃い青。緑も混じってるのか?不思議な色をしている。

髪はウェーブが掛かっている。パーマなのか?長さは腰の少し上まで。こんなに長かったらトイレどうすんだ?

体つきは華奢。

色も白くて、腰なんか細くて折れそうだ。

まず下半身が細すぎて野球には向いてないな。

ま、野球はやんないだろうけど。

顔はめっちゃ可愛い。

目はぱっちり二重で大きくて、鼻筋もスッと通っている。唇はほんのり赤い。

こんな人間が実在するのか。

こりゃ嫉妬の的になりそうだな。


あと一番気になるのは……



俺は着ていたワンピースの胸元を

思いきってえいっ!と引っ張る。


意外とふくよかで形のいいオッパイ。

しっかりとその存在を主張している。


俺は初めてみる生オッパイに

胸が高鳴る。


よ、よし!


そして意を決して

俺は長いスカートを捲りあげる。


『ひゃぁぁぁぁぁ~』


バタバタバタ


『エラ?どうしたの?!』


初めてみた女の子の下半身。


俺は情けなくも

腰を抜かしてしまった。


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