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び、びっくりした…。ノエル様はよく来られてるけどあんなに近づいたのは初めてだったから…。
ノエル様、近くで見てもとっても綺麗だったなぁー。太陽のように輝く金色の髪に陶器のように白い肌。そして澄んだアメジストの瞳。
さすが白の王子様と言われるだけあるわ。レイモンド様も黒の騎士様って言われているらしいし…。ってこれもクリスさん情報だけど…。
それにしても…レイモンド様にも抱きしめられてびっくりしちゃった。小さい頃はよく抱きしめられたり頭を撫でられたりしてたけど。何だか昔と違って凄くドキドキしたな…。何でだろう…。
昨日のこともあるしもう私のことなんていらなくなったのかと思ったけどまだここにいてもいいのかな?レイモンド様のおそばにいさせてもらえるのかな…。
*
「それじゃあ、ノエルの用も終わったことだし執務室に戻る。朝食を運んでくれ。それとエリーに夜会の件で早馬を出すように。」
「はい。かしこまりました。」
「え?もう戻っちゃうのー?せっかく僕が来てるのに?」
「お前はいつも来てるだろう!用事が済んだならとっとと帰れ!」
「もうっ!ほんとに冷たいんだからー!ぷぅーーー!」
「ノエル様。先ほどの件を詳しくお話し致しましょう。」
「あっ!そうだね!話そう話そう!じゃっ、レイモンド!また夜会でね〜!」
「お前はほんとに…。はぁ、じゃあな。」
「レイモンド様。書類の処理と手紙のお返事を進めておいてください。執務机に置いておりますので。」
「お前らほんとに…。……わかったよ。」
「では、失礼致します。」
「またね〜!」
*
…パタン。
「それでノエル様。今日の夜会でサラサをエスコートしたいと言われていましたが本気でしょうか?」
「本気も本気だよー!あんなに綺麗なサラサをずっとここに閉じ込めておくなんて勿体無いじゃない!近頃の夜会は男女のどちらかが爵位を持っていれば出席できるわけだしさ!まぁ、正直なところ強がっててなかなか動こうとしないレイモンドを何とかしたいっていうのが本音かな?」
「レイモンド様のことをそんなにも考えてくださって本当にありがとうございます。私もそろそろどうにかしてもらわねばと思っていたところでしたので。」
「やっぱり?たまにレイモンドが遊技場に来た時にさ、他の奴らがサラサのことを聞くんだよね。ここに仕事の書類を持って来た奴に聞いたらしくてさ。金髪で緑の目の綺麗な子が働いてるんだって?今度夜会に連れて来てくれよっ!って。そしたらレイモンドはさ、お前らには絶対に見せない!ってすんごい睨みながら言うんだよねー。ほんともう独占欲の塊!って感じで。」
「そうでしたか。あんなにサラサのことを意識しているのにそれを抑えられると思っているんだからほんと手に負えないですよ。今回の件、しっかりと協力させて頂きますのでぜひともよろしくお願い致します。」
「うんうん!僕も親友には幸せになってもらいたいしね!でも、上手くいかなかった場合は僕もサラサに本気でアプローチするからね?気に入ってるのは本当だし。」
「はい。それは承知しております。それではサラサに夜会の件を伝えて参ります。レイモンド様には決して会場まではバレないようにと思うのですが…、いつもレイモンド様は17時頃に屋敷を出られてエリー様を迎えに行かれるので17時半頃にお越し頂くということでいかがでしょうか?」
「おっけー!任せてっ!ふふっ。楽しくなってきたー!!!あっ、サラサのドレスとかアクセサリーは大丈夫?」
「はい。実はそうした物も全てレイモンド様が随分前から揃えられていまして…。ほんとにあの方は…。」
「…そこまでしてるのに何も行動しないなんてね…。自分が選んだ服を着て欲しいけど他の奴には見せたくないんだねぇ。悩んでる姿が目に浮かぶよ!ははは。まぁ、今日の夜みんなにお披露目することになっちゃうんだけど!あー!楽しみっ!」
「そうですね。私もレイモンド様がどうなるのか楽しみです。」
「ふふっ。ほんと君もいい性格してるよね!」
「ありがとうございます。」
「ははは!じゃあ、僕もいろいろ準備するから帰るよ!また夜にね〜!」
「はい。お気をつけてお帰りください。」




