王国の軍勢が攻めてくるが、拠点の防御設定がチートすぎて門すら通れない」
第3話への感想、ありがとうございます! 光の翼を手に入れたリィン、強すぎましたね。 さて、偵察隊を追い返せば当然、本隊がやってきます。 普通の開拓者なら「罠を仕掛ける」か「城壁を作る」ところですが……。 アレンが用意したのは、物理法則が泣いて謝るレベルの「お出迎え」でした。
「……来たか。思ったより早かったな」
湖のほとり、アレンは自作の『超硬質な椅子』に座り、優雅に紅茶を啜っていた。 地平線の向こうから、土煙を上げて迫り来るのは、王国が誇る「第三騎士団」の重装騎兵五百。先頭を走るのは、アレンを追放した場にいた副団長のガイルだ。
「アレン! 貴様、魔族と結託して禁忌の魔法に手を出したな! その湖も、その女の力も、すべては不浄な呪いだ!」
ガイルの叫びが荒野に響く。彼らにとって、理解できない力はすべて「呪い」だった。 アレンは溜息をつき、カップを置いた。
「呪い、ね。……ただのエディットだよ。さて、せっかく来てくれたんだ。僕の領地の『入国審査』を受けてもらおうか」
アレンは地面に指を突き立てる。 彼の視界には、自分たちが立っている「半径一キロの土地」のシステムログが流れていた。
【対象:指定領域内の空間】 【属性:透過(A) / 重力(C) / 進入可(A)】
「まずは、この『重力』の値を……三倍、いや十倍に書き換えようか」
【概念編集:重力集中(Heavy)】 →指定領域内の重力を10倍に固定しました。
瞬間、騎士団の先頭集団が、まるで巨大な見えない手で叩き潰されたかのように地面にめり込んだ。 馬は膝を折り、重装鎧を纏った騎士たちは、自らの重さに耐えきれず、地面にへばりついて指一本動かせなくなる。
「な、なんだ……この圧は……!? 体が、動かん……!」 「ああ、ごめん。そこはまだ玄関先なんだ。次は『摩擦』をいじってみよう」
【概念剥離(Delete)】 →対象領域から『摩擦係数』を削除しました。
重力に耐えて立ち上がろうとした後続の騎士たちが、今度は氷の上を滑るよりもひどく、無様に転がり始めた。 一歩進もうとすれば足が滑り、地面を這おうとしても手が滑る。五百の精鋭が、泥まみれになりながらピチピチと跳ねる魚のように地面を転がっている。
「アレン様、あれが王国最強の騎士団なのですか……?」 空に浮かぶリィンが、呆れたように眼下を見下ろす。
「ああ。以前は僕もあの中にいたんだけどね。……さて、トドメに『空気』の概念を少しだけ書き換えよう」
アレンが指をパチンと鳴らす。
【属性変更:酸素 → 催眠成分】
「……は、離れろ……アレン……貴……様……」 副団長ガイルの罵倒は、心地よい欠伸へと変わった。 数秒後、荒野には、重力に押し潰され、摩擦を失い、深い眠りに落ちた五百の「イビキ」だけが平和に響き渡った。
「戦うまでもないな。……さて、リィン。あそこに転がってる連中の装備から『良質な鋼鉄』の概念だけ抜いておいて。僕たちの新しい家の『釘』に使うから」
王国最強の軍勢は、アレンにとって「建材の材料」でしかなかった。
第4話をお読みいただきありがとうございました! 「重力」「摩擦」「空気」……基礎的な概念を弄るだけで、軍隊は無力化します。 これがアレンの目指す「戦わない勝利」です。
次回、全滅した騎士団の報告を受け、ついに「黄金の獅子」の団長レオンが動き出します。 一方のアレンは、奪った鋼鉄で「概念建築」を開始!
「……家を建てるなら、まずは『全自動掃除』と『冷暖房完備』の概念を貼らなきゃな」
次回**「最強の拠点は、最高に快適でした」**。 お楽しみに!




