降臨した神様をログイン不可にする
第9話への評価とブックマーク、本当にありがとうございます! 五万の軍勢を「横向きの重力」で強制送還し、その硬度を豆腐にコピペしたアレン。 しかし、追い詰められた王国と帝国は、ついに人倫を捨てた最後の手段に出ます。 この世界を創ったとされる「神」の断片を強制召喚し、アレンを消去しようというのです。 「設定」の源流である神に対し、エディターであるアレンはどう立ち向かうのか。 世界の根源にアクセスする、第1クールのクライマックスをご覧ください。
王都の空が、ひび割れた。 王国と帝国の魔導師数百人が自らの命を触媒に捧げ、禁忌の儀式を完遂させたのだ。 天の裂け目から溢れ出したのは、この世の美しさと恐ろしさを凝縮したような、直視することすら許されない「光の巨人」だった。
『……理を乱す羽虫よ。汝の権能は、我が与えた一時の慈悲に過ぎぬ』
神の化身が放つ声は、振動ではなく「概念」として直接脳を揺さぶる。 王都の人々は恐怖に震え、膝をついた。アレンを追放したレオン団長や国王は、その光の背後で狂ったように笑っている。
「見たかアレン! これこそが世界の主、秩序の守護者だ! お前の不浄な書き換えなど、神の一言で無に帰す!」
アレンは、白亜の邸宅のテラスから、その巨大な光を静かに見上げていた。 リィンや獣人たちがその威圧感に気圧される中、アレンだけは、今までで最も深い【鑑定】を開始していた。
「……なるほど。これが『神』か。確かにすごいな。全身が『法則』そのもので構築されている。……でも、だからこそ隙だらけだ」
『……何だと?』
アレンの視界には、神の巨体から無数に伸びる「世界の管理用アクセスライン」が、剥き出しのコードとして映し出されていた。
「神様、あんたは大きな勘違いをしている。あんたがこの世界を創ったかもしれないが、今のこの世界を動かしているのは、蓄積された『ユーザーデータ(歴史)』と『稼働スクリプト(生命)』だ」
アレンが指先を空中で素早く踊らせる。 彼の周囲に、今まで見たこともないほど巨大なホログラムの操作画面が展開された。
「あんたは強すぎる権限を持っている。だからこそ、この世界の『セキュリティ・プロトコル』に引っかかるんだよ。……【権限凍結(Access Denied)】」
【スキル起動:システム・エディット】 →対象:降臨した神の概念。 →処理:『管理者権限』を『ゲストアカウント』に格下げします。 →追加処理:『ログインエラー』をループ再生させます。
『な、何……!? 我の力が……世界が、我を拒絶しているというのか!?』
光の巨人の輪郭が、デジタルノイズのように激しく乱れ始めた。 神が何かを命じようとするたびに、空中に【ERROR:権限がありません】という巨大な警告文字が浮かび上がり、その行動を強制キャンセルしていく。
「あんたのパスワード、さっきの鑑定で『コピー』させてもらったよ。……これからは僕が、この世界の新しい『サーバー管理人』だ」
アレンが虚空で「ログアウト」のアイコンを押しつぶす。
『おのれ……人間ごときが……神を、拒絶する……と……!』
断末魔のようなノイズと共に、神の化身は霧散し、空の裂け目はパタンと閉じた。 後に残されたのは、奇跡を信じていた王国と帝国の絶望。そして、アレンの手の中に残された、黄金色に輝く**【神の管理者パスワード】**の概念球だった。
「……さて。これでようやく、誰にも邪魔されずに『国造り』が続けられるな」
アレンは手に入れた神の権限を、自邸の「郵便受け」へと貼り付けた。 これで、神様からの苦情メールすら、二度と届くことはない。
第10話をお読みいただきありがとうございました! 神すらも「システムの一部」として処理し、ログイン不可にする。 アレンの不遜さと全能感が、ついに世界の頂点にまで到達しました。
これにより、アレンの領地は文字通り「神も手出しできない聖域」となりました。 次回からはいよいよ、この最強の基盤をもとに、世界中の虐げられた人々が集う「多種族共生国家」の爆速発展編が始まります。
「……あ、郵便受けに神様の権限貼ったから、これからはお供え物が自動で届くようになったよ」
次回**「聖域オープン、移民の行列が止まらない」**。 お楽しみに!




