第96話 蜘蛛
今日、俺達は和銅さんに付き合って魔王国に入り込んでいた。
情報によれば此処に遺跡があるらしい。
「アンデッドが居ないと調査がし易い。助手A、大手柄だ」
「はいはい。教授とっとと行きますよ」
俺達は洞窟の中にある石で作られた遺跡に入った。
大小の石柱が立ち並び、獣の骨が散乱している。
気味が悪そうな場所だ
しばらく進むと、石柱に蜘蛛の糸が縦横無尽に張られていた。
中は蜘蛛型モンスターの巣になっているようだ。
当然のことながら御花畑の魔法で一掃して奥に進む。
奥には女性の上半身と蜘蛛が合体したモンスターが待ち構えていた。
蜘蛛部分は黒い毛に黄色の毒々しい模様。
アラクネという奴だろうか。
「まんまと罠に掛かったな勇者よ」
「勇者だけど勇者じゃない」
「名乗れ、わらわは四天王、劇毒のフシュウだ」
「名も無き勇者」
「ポーションの聖女ヨシミ」
「獄炎の賢者ミイコ」
「科学者のワドウだ」
「では行くぞ。出でよ蜘蛛軍団」
わらわらと大小さまざまな蜘蛛が湧き出てくる。
「御花畑、魔法だ」
「フィイヤーフェンス」
炎の壁が蜘蛛を押しとどめるかと思われたが炎を物ともせず進んで来る。
「教授、弱点は」
「弱点は解毒剤だ」
俺と小前田は解毒剤を投げまくった。
解毒剤を浴びた蜘蛛は動かなくなり、しばらくして魔石になる。
効いてる効いてる。
しかし、蜘蛛の湧き出すスピードの方が早い。
「これでも喰らっとけ」
俺は『女神の涙』が入った樽をぶちまけた。
蜘蛛の軍団は止まり辺りには果物の甘い香りが立ち込める。
今の間にスキルを一発かまそう。
再現するのは『女神の息吹』だ。
御花畑の前に俺は立った。
「君は俺の女神だ」
「いやん、急にそんな事を言われても」
身をくねらせて、恥じらう御花畑。
「ひゅーひゅー焼けるね」
小前田が茶化す。
言っておくがこれは必要な事なんだ。
「カタログスペック100%」
俺は『スプライン神話』を手にスキルを掛けた。
「えっなに。信じられない。さっきの言葉は嘘だったのね」
「いや嘘じゃない。その証拠に喋る度に蜘蛛が消える」
『女神の息吹』はあらゆる物を解毒すると書いてあった。
「さあ、蜘蛛に息を吹きかけて」
「しょうがないわね。女神と言われちゃあ。一肌脱ぎますか」
御花畑が深呼吸する。
瞬く間に蜘蛛の軍団は駆逐されていく。
「おのれ私の可愛い子供達を」
アラクネは糸を操り、飛ばしてきた。
俺は剣を抜いて糸を斬りまくったが、達人でも4天王のモンスターは厳しいらしい。
糸が段々と付着していって身動きが取れなくなった。
御花畑と小前田と和銅も既に捉えられている。
くそっ、何とかならないか。
「さて、毒を打ち込みゆっくり溶かしてやろう」
「教授、親玉の弱点は」
「弱点はないよ」
「そんな事だろうと思ったよ。だけどダメージを与え続ければ倒せるだろう。先生、やっちゃって下さい」
「ファイヤーケープ」
御花畑が燃え上がった。
「ガトリングファイヤー」
沢山の炎の弾丸がアラクネを滅多打ちにする。
「やったか」
「御花畑、それはフラグだと何度言ったら」
ボロボロのアラクネが現れた。
「まだ生きているのか。とどめよ。アンチマテリアルファイヤー」
炎が凝縮し一筋の軌跡をひいてアラクネに突き刺さる。
炎はアラクネを貫通した。
「わらわが負けるだと」
そう言うとアラクネは黒い霧になった。
後には魔石と宝箱が残されている。
蜘蛛の糸を御花畑に焼き切ってもらい自由の身になった。
ふぃー危なかった。
「お宝、お宝、なんでしょね」
「おい不用意に開けるな」
御花畑は抜け目無く罠鑑定水晶を握っていた。
箱の中には一枚の地図がある。
なになに、『安全な抜け穴、魔王城』だって。
罠だろう絶対。
でもカタログスペック100%には関係ない。
良い物を手に入れた。




