第8話 ダメダメ魔法使いを大魔導師に
小前田は普通のレシピも手に入れてポンコツ具合はかなり改善された。
行く先々の村でポーションを作り、わずかな金で治療。
ポーションの聖女と呼ばれるようになった。
重症者には目隠しして、エリクサーを飲んで貰う。
自分達以外には使わない約束はどうなったって、そんなの重病の患者が目の前にいたら、しょうがないだろう。
そんなこんなで小前田はレベルが上がり爆弾作成のスキルを覚えた。
この世界、職業にはレベルがある。
そのレベルが上がるとスキルを覚えていく。
レベルの上げ方はスキルを使うか、モンスター討伐だ。
もちろん職業の無い俺にはレベルなんて物は無い。
「波久礼君、今日はどんな依頼を受けるの」
「爆弾もできたし、討伐やってみよっか」
「そうね」
「よし、このオーク討伐をやってみよう」
この依頼を受けたのは理由がある。
同じ依頼を受けた御花畑未依子が死んだからだ。
犠牲者第一号だ。
阻止してやりたい。
恩はないがクラスメイトの犠牲者は減らしたいと思う。
俺と小前田はオークが出る森へ分け入る。
さて、問題の御花畑はどこにいるかな。
「そっちにビックGがいるぞ」
「きゃあきゃあ、ゴキブリ嫌い」
悲鳴を上げながらも小前田は爆弾を投げつけた。
どかん、どかんと火柱が幾つも上がる、
一体何発投げたんだ。
その内の一つにビックGは巻き込まれ絶命した。
モンスターは倒されると黒い霧になって消え去り、魔石と素材を残す。
魔石がモンスターがいた所に残されていた。
「波久礼君、あっちから悲鳴が聞こえるよ」
「人助けしてみますか」
悲鳴の元に駆けつけると、魔法使いの格好をした女の子がオークから逃げていた。
ビンゴ。
御花畑未依子だ。
前回の記憶が甦る。
「悲しいながら、クラスメイトに犠牲者が出た。原因は色々とある。装備の不足。実力の把握が不十分だった。これを解消する為に来訪者のランク付けを行いたい。生産職は前線に出る必要はない。その代わりランクを低く設定させてもらう。戦闘職は前線に立ってもらう。その代わりに十分な待遇を約束しよう」
御花畑の葬式で野神そう演説している。
俺はFランクに置かれたが前線に連れていかれた。
生産職も野神の言いつけに背いたり、ノルマを達成できないと前線に連れていかれた。
ランクによって食事も寝る所も全て差別。
独裁政治みたいな事が始まったのだ。
御花畑の死は切っ掛けの一つ。
潰しておきたい。
オークの唸り声で我に返る。
爆弾を取り出し俺はオークに投げつけた。
オークは魔石というお星様になった。
胡散臭いレシピには大変お世話になっています。
「大丈夫?」
小前田が御花畑に問い掛ける。
「あんた達もっと早く助けなさいよ」
「まあまあ、助けたんだから文句はないだろう」
「波久礼君、クラスメイトの御花畑未依子さんだよ」
「知っている。ところで後衛一人でどうしたんだ」
「あいつら、オークに敵わないって知って私を囮に逃げ出したのよ」
「そうか。酷い奴らだな」
「このへっぽこ魔導書が役に立てば、こんな事にはならなかったのに」
魔導書を見せてもらうと訓練方法やら理論やら書いてあるが、この本の通りにやれば間違いなしとしか書いてない。
コツに当たる部分がごっそり抜けている。
長年修行してコツを掴めという事なんだろうけど、不親切だ。
「よし、人間を辞めさせてやる。カタログスペック100%」
俺は魔導書を片手に御花畑の肩に手を置いてスキルを発動した。
「魔法撃ってみろ」
「ファイヤーボール」
10メートル程の火球が木に向かって飛んで行く。
木は周りを巻き込み、爆散する。
「ひゃっはー、ファイヤーボール、ファイヤーボール、……ファイヤーボール」
御花畑が壊れたようだ。
「レベル上がった希ガス。ファイヤーランス、ファイヤーランス、……ファイヤーランス」
森は更地になった。
俺は魔石と素材を拾い歩いて、アイテム鞄に突っ込む。
アイテム鞄どうしたかだって、勿論街でエリクサーを売った時に手に入れたさ。
「未依子ちゃん抑えて」
「これで勝つる。馬鹿にしていたあいつらも見返してやれる」
「それで、魔導書なんだがどこで手に入れた」
「野神君が手に入れて来たわ」
またあいつか。
この展開は分かる。
御花畑が王様から貰った支度金の大半を、その魔導書につぎ込んだっていう落ちだろ。
「野神の奴に騙されたな」
「えー、生徒会長だから信頼してたのに」
「でどうする。俺達は野神の被害者だ。一緒に来るか」
「よろしく」
野神達は、この近くに来ているようだ。
御花畑の話では、親衛隊を作っているので隙は少ない。
何か手を考えないとな。
そんな訳で一人パーティに追加して俺達の旅は続く。




