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第78話 薬草復活

 俺達と桜沢さん一行は国境の河を越えクリタリナ国に入った。

 最初に召喚されたデクスラー国を指名手配され脱出。

 ジョブズ聖王国を渡りきり、やっと魔王国と国境を接しているクリタリナ国に入る事ができた。

 後は魔王国に入り、魔王城に辿り着けば、この旅も終わりだ。

 とにかく気を引き締めていこう。


 俺達は国境に近い村で一晩の宿を借りた。

 俺達がテントを設営している村中央の広場に、村人が駆け込んで来る。

 バーベキューと洒落込んでいた俺達と村長一家は、何事かと身構えた。


「大変だ。森の薬草が全部枯れてる」

「それは大変だ。税が払えなくなるぞ」


 村人と村長が深刻な雰囲気で話しをし始めた。


「はぐはぐ、なんとかしてあげないの」


 肉が刺さった串にかぶりつきながら小前田(おまえだ)が言った。


「そうだな。なんとかできそうなら、やってみるか」

「おやさしいのですね」


 王女が言う。


「こいつの場合、スキルありきだから。ファイヤー」


 御花畑(おはなばたけ)がそう言ってから、要らなくなった串を魔法で燃やした。


「お前だって今、スキルを便利に使っただろ。ある物は使わないと」

「スキルでぱぱっと解決行ってみよう」


 小前田(おまえだ)が話を締めくくった。


 俺達は次の日、情報収集を開始した。

 森の地面はじめじめしている。

 かびと、野菜が腐ったような臭いが充満していた。


 所々草が黒くなって枯れている。

 素人目に見てもこれは普通の枯れ方じゃないな。

 病気かな、それとも何か別の要因か。


 こういう時は和銅(わどう)さんだな。

 和銅(わどう)さんの所に枯れた草を持って行った。


「で、どう?」

「ふむ、邪気が原因と出ている」

「解決方法は?」

「聖気で中和するのが正攻法だね」

「ありがとう。やってみるよ」


 王女からジョブズ教の儀典を借りて聖気が込められているという聖水を作り出す事にした。

 材料は水と塩と祈りだ。

 スキルで聖水生成というのがあって効果のある聖水はこれで作る。

 だが面白い事に効果がない格安の聖水というのも存在した。

 金を稼ぎたいスキルを持っていない神官が考えたのだろう。

 建前では儀式をすれば、聖気がこもるとなっている。

 完全に偽物なんだが、俺には関係ない。

 材料を用意して儀典を片手に。


「カタログスペック100%」


 樽100個分の本物の聖水が出来た。

 ちなみに樽は小前田(おまえだ)が錬金術で作った。

 田舎は木が沢山あるから材料には事欠かない。


 俺達三人は森に行きアイテム鞄から樽を次々に取り出した。

 うず高く積まれた樽を前に御花畑(おはなばたけ)を呼んだ。


「先生すぱっとやっちゃて下さい」

「よろしい。トルネード」


 もの凄い風が巻き起こり、樽が次々に巻き上げられる。

 そして、辺り一面に聖水の雨が降った。


 黒く枯れていた薬草がつやつやした緑色になり生き返る。

 完全に枯れきっていたわけじゃなかったのだな。

 薬草を植える手段も考えなくちゃいけないと思っていたが、手間が省けた。


 とつぜん森の奥から呻き声が聞こえ、黒いもやの人型が飛び出した。

 黒いもやに聖水の雨が降り注ぎ白煙を上げている。


「毒の雨を降らしているのはお前らか」

「聖水なら降らしたが」

「おのれ。仲間の十魔将を次々に討ち取っているのはお前達か」

「そんな奴いたかな。そういえば、反乱を画策していた奴とか、城門を破壊しようとしていた奴とか色々といたな」

「許さん、邪気に呪われろ」


 黒いもやが俺達に吹き付けられた。

 慌てて俺達は聖水を被る。

 俺達に纏わりついていた黒いもやが消える。


「ファイヤーランス」


 御花畑(おはなばたけ)の魔法が黒いもやの人型を焼く。

 魔石が後に残った。


「薬草は復活したよ。もう枯れちゃったのもあるから肥料を置いておくよ」


 サービスで『ゴブリンでも出来る農業』の件で作った肥料を取り出した。


「ありがとう。これで村も救われる」

「名もなき勇者をよろしく」

「獄炎の賢者もよろしくね」

「ポーションの聖女の活躍もよろしく」


 小前田(おまえだ)が握手を求められた。


「ちぇっ」


 すねる御花畑(おはなばたけ)


「貢献度の違いだと思うな」

「魔法で樽を巻き上げて雨を降らせたのに」

「そんなの手で撒いても出来る。どもども」


 俺のもとにも握手を求めて村人が来た。


「ちっ」

「イメージの問題だな。獄炎は破壊の力だから。薬草の再生に尽力したとは思われない」

「癒しの賢者に名前を変えようかな」

「僧侶キャラになってしまうぞ」

「がぁ。どうすれば」


 御花畑(おはなばたけ)とのやり取りはともかく、これで薬草は安泰だろう。


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