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第69話 魔石拾い

 俺達が魔王城に向けて馬車を走らせていると、雨が突然降ってきた。

 酷い雷雨だ。

 俺は急いで御者台から馬車の中に避難した。

 何秒か置きに馬車の外が光り、辺りが青白く照らし出される。


「ひっ」


 雷の音が鳴り小さい悲鳴と共に小前田(おまえだ)がうずくまる。

 恐がりだな。


「よし、俺が雷を遠ざけてやろう」

「早くやってお願い」


 俺は童話を手に片手を突き出し。


「カタログスペック100%」


 空気が光り雷が遠ざかりはしなかった。

 近くに雷が落ちる。

 もの凄い轟音がした。


「ぜんぜん、遠くにならないよ。波久礼(はぐれ)君の嘘つき」

「まあ見てなって」


 雷はしばらくは近くに落ちていたが段々と遠ざかって行くのが分かった。


「本当だ」

「嘘は言わないって」

「でもまだ遠くでゴロゴロ言ってる」


「今回は便利スキルで何をやったの」


 御花畑(おはなばたけ)が尋ねてきた。


「この童話は神様がモンスターの上に雷を降らしたって書いてあるんだ」

「なら安心ね。この辺りのモンスターも居なくなって一石二鳥だわ」


「雨宿りさせてくだせぇ」


 馬車の窓から外に人影が人影が見える。

 人影は農夫のようだった。

 突然、辺りは光に満ち、空気を切り裂く轟音した。

 そして、空気がビリビリと震え、オゾン臭が立ち込める。

 小前田(おまえだ)の悲鳴がうるさい。


「大変だ」


 俺は雨に濡れるのも構わず急いで馬車を降りる。

 あれ、黒こげの農夫がいない。

 そこにはポツンと魔石が残されているだけだった。


 農夫は魔王が放った刺客だろう。

 まあ、結果オーライって事で。


 雨が上がり、雷が完全に途絶える。

 馬車をしばらく走らせると、興奮した様子の農夫達が道で何かを拾っている。

 近くで声を聞いてみる。


「まただ。またあったぞ」

「うひょひょ。銀貨三枚獲得」


 見ると魔石を一生懸命拾っている。


「みんな、私達も拾うわよ。競争よ」


 桜沢さんの号令でクラスメイト達は魔石を拾い始めた。

 なんか潮干狩りとかキノコ採りとかそういう気分だ。


「あんた、スキルが掛かったダウジングの道具貸しなさいよ」


 御花畑(おはなばたけ)が言った。


「悪用するなよ」

「しないって」


 御花畑(おはなばたけ)は道具を受け取るとさっそく使い始める。

 重りがかなりの勢いで引っ張られるのが俺の目に映った。


「こっちに大量にあるわ」


 クラスメイト達は御花畑(おはなばたけ)の後を追って森に分け入る。

 ちっ、藪が鬱陶しい。

 剣を振るって切り払いながら進む。


「どこまで行くんだよ」


 そして、竪穴式住居みたいな物が見えてきた。

 簡単な竈も多数ある。


 更に進んだところ、俺は笑いがこみ上げてきた。


「ははっ」

波久礼(はぐれ)君、これで路銀の心配がないね」


 そこには一面の魔石があったからだ。

 俺達は魔石を拾い始めた。

 しばらく拾ったが。


「だいぶ、まだあるな」

「この魔石拾いって、足にくる」


 小前田(おまえだ)がそう言って太腿を叩く。

 セクシーさの欠片もない仕草だ。


「帰宅部にはきついか。俺はまだまだいけるぞ」


 みんなしゃがんでいるので、スカートの人は見えてはいけない物が見えてしまいそう。

 それだけ魔石拾いに夢中になっているだろう。


「お前達、慎みを持てよ」

「嫌らしい」

「慎みではご飯は食えない」


「みんな、ズボンに穿き替えるわよ」


 桜沢さんがそう言ってくれた。

 残念ではない。

 視線が行ってそれがばれると気まずい。


 これで集中して拾える。

 腰が重くなるまで夢中になって拾う。

 辺りは何時しか夕暮れに。


 まだ拾い切れない。

 一体何個あるんだろう。


 結局、強欲な領主が軍を率いて拾いにくるまで、俺達は三日も魔石を拾い続けた。

 ここはモンスターのコロニーだったのかな。

 それとも、スタンピード目前だったとか。

 まあ良いや。


 俺達は魔石の金額の半分を動物保護の資金として寄付した。

 大量のモンスターが居なくなって生態系が狂う恐れがあると後から気づいたからだ。

 旅の活動資金を得た俺達は次の目的地に向かった。


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