第67話 領主夫人の犯罪
兵士が多数駆けつけて来た。
「魔法を使える人はスリープの魔法を。後は睡眠手投げ弾をお願い」
ここで阻止する作戦のようだ。
桜沢さんの声と共に戦闘は開始された。
兵士は飛んで来たスリープの魔法と手投げ弾をさけながら接近する。
通路は狭いので何人も魔法に当たって眠り込んだ。
手投げ弾が床に転がり爆発して睡眠ガスを発生させた。
兵士の幾人かが巻き込まれ倒れた。
扉の前は守れている。
兵士は盾で守って、前進して来ない。
相手からも魔法が飛んできて和銅さんがエクストニウム製の盾で受け止める。
魔法は盾に当たり、かき消えた。
最終兵器を投入する事にする。
明戸さんだ。
明戸さんはナイフを投げ、ナイフは千本ほどに分かれ通路を埋め尽くす。
ナイフが皮膚に当たった兵士は倒れこむ。
このナイフは無限分裂のナイフで、神話では戦いの神が副武器として使う。
材料は原初の土とオリハルコンだ。
投げると一定時間分裂する。
ありがたい事に毒などを塗ってもその効果も分裂する。
今回は致命傷になると不味いので刃は潰してある。
目に当たると失明するかもしれないが俺にはエリクサーはポーションの難易度で作成可能だ。
倒れた兵士は痺れ薬にやられうめいていた。
そして止めとばかりに手投げ弾が投げ込まれた。
全員が地に伏したようだ。
治療が必要な兵士には治療し、全員を縛り上げた。
「御花畑さんやっちゃって」
「はいよ、ファイヤーランス」
寝室の扉を御花畑が魔法で粉砕した。
「あなた達なんですか。領主夫妻の部屋だと知っているのですか」
寝室に入ると領主夫人が震える声で言った。
領主はと見ると酒を飲んでいる。
しょうがない人だな。
「おい、領主。嫌だと言っても、真人間になってもらう」
「ちょっと待て。領主夫人を『知識の冠』を着けて見たら興味深い事が分かった」
和銅さんが俺に待ったを掛ける。
「何?」
「前領主夫人は病気に見せかけられ、この女に殺された。共犯は家臣の兄だ」
「何! 妻の仇と俺は連れ添っていたのか」
赤ら顔の領主が気色ばむ。
「嘘よ。出鱈目よ。何の証拠が」
「その時使った毒が手紙入れの中に入っている。元領主夫人の遺体を調べれば同じ毒だと分かるはずだ」
俺は素早く手紙入れを手に取った。
領主夫人の目線がそこだと言っていたからな。
開けると小瓶がある。
液体が半分ほど残っていた。
「まだ白を切るか」
俺は問い詰めた。
「お前達なんか、みんな死んでしまえ」
領主夫人は何やら宝珠を砕いた。
宝珠からは黒い煙が立ち上り巨大なモンスターを産み落とす。
モンスターは胴体がナメクジで上半身が蟷螂というおぞましい姿だった。
「みんな気をつけて」
桜沢さんがメイスを抜いて殴る。
メイスは鎌に弾かれナメクジの胴体に当たり白煙を上げる。
「体液は酸。弱点は冷気」
和銅さんがアドバイスする。
モンスターは鎌の先から毒を垂らし、縦横無尽に振るう。
黒谷さんのゴーストナイトが攻撃を受け止める。
ゴーストナイトが毒まみれになった。
「「「ブリザード」」」
冷気が三方から叩きつけられモンスターが凍りつく。
俺は土精霊のトンカチを取り出しモンスターを砕き始めた。
蟷螂の部分は硬いようだ。
ナメクジ部分を狙う。
モンスターは徐々欠けていき、ナメクジ部分が全てくだけると黒い煙になって魔石を残した。
「この女を逮捕しろ」
領主が領主夫人を指差す。
「和銅さん、領主を裏切らない兵士は?」
俺達は和銅さんの指示に従って何人かの兵士の縄を解く。
兵士は領主夫人を捕らえてどこかに連れていった。
「領主さん、まともになってくれるな」
「ああ、言う通りにしよう」
それにしてもあの宝珠、モンスターを産み出すなんてな。
どこの誰が作ったのかは知らないが物騒な物をつくるもんだ。
野神の顔が浮かんだ。
まさかな。
いやあり得るぞ。
奴ならやるかも。
手紙入れを漁ると野神からの手紙が出てきた。
約束の品物を送りましたので、送金をお願いしますと書かれている。
やっぱりか。
許せないが、送金はまだらしいから、資金源をひとつ潰したと思っておこう。




