表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/77

第63話 怪盗現る

 俺達は怪盗を捕まえるために作戦を練った。


「ねえ、どんな作戦でいくのよ」


 御花畑(おはなばたけ)が尋ねる。


「そうだな、まず外はネクロマンサーの黒谷(くろや)さんに頑張ってもらう。アンデッドは眠ったり買収されたりしないからな」

「内側はどうするの」

「罠がほしいな。誰かに頼むとしよう」

「切り札はないの」

「あるよ、秘密だ」


「怪盗ってイケメンなのかな」


 小前田(おまえだ)が憧れのスターを夢見るように言った。


「捕まえたら正体を暴いてやるよ」

「誰か恋に落ちたりして。そして、怪盗を庇って、愛の逃避行を繰り広げるのよ」

「そんな事にはならないと思うな」


 怪盗をおびき出す場所は領主館の玄関ホールだ。

 桜沢さんの伝手でここを借りる事ができた。

 ガラスケースに収められた『女神の祝福』の周りには和銅(わどう)さんと日野さんの共同制作の罠が張り巡らされる。

 残りの人間は罠に掛からない場所で待機だ。


 日が暮れて、夜になる。

 みんな固唾をのんで見守っていた。


 時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。

 俺の腕時計の針がぴったり合わさった。

 外が騒がしい。

 来たようだな。


 俺はわくわくしながら怪盗の到着を待つ。

 ぷしゅーと音がして煙がホールに漂う。

 催眠ガスのようだ。

 随分と古典的な手法だな。

 俺達は小前田(おまえだ)製の状態異常レジストポーションをあらかじめ飲んでいた。

 眠ったふりをして怪盗の油断を誘う。


 怪盗らしき人影が入って来た。

 姿がはっきりしてくる。

 怪盗は黒ずくめの格好で頭に赤い羽根を刺していた。

 怪盗に明戸(あけと)さんがナイフを投げる。


 ナイフは怪盗を突き抜け床を転がっていく。


「幻術よ。本体は別の場所にいる」


 明戸(あけと)さんがそう言ってお手上げのジェスチャーをする。

 幻とはこしゃくな手を使う。


 罠をどうやって回避するのかと見ていたら怪盗は懐からボールを取り出した。

 怪盗がボールを投げるとボールは膨らみ人型になる。

 それは、罠に突進していき電撃につつまれ煙を上げた。


 ゴーレムを使ったのか。

 なかなかやるな。


 怪盗はガラスケース手を掛け『女神の祝福』を取り出すと、頭の赤い羽根を地面に叩きつけた。

 赤い羽根は煙幕になり怪盗の姿を隠す。

 そろそろ、決着の時間だな。


 『手印の手引き』にあった金縛り印を結ぶ。

 俺以外の人間が全員金縛りにあう。

 煙が晴れていき怪盗が立っているのが分かった。


 俺は怪盗に近づき蹴ると、足が怪盗を突き抜ける。

 金縛りにあっても幻は解けないのだな


 印を素早く真実印に切り替え怪盗の本当の位置を探った。

 黒ずくめのすぐそばに怪盗が姿を現した、身なりの良い小太りの男だ。


 素早く再び金縛り印を結ぶ。

 怪盗の後ろに行き蹴る。

 今度はちゃんと手ごたえがあり、怪盗は倒れた。

 怪盗を踏んづけて、『義賊捕り物帳』を取り出し。


「カタログスペック100%」


 怪盗は光に包まれ義賊になった。


「何しやがる」

「お前は今日から義賊だ。悪人からしか盗めない。『女神の祝福』を返せ」

「手が勝手に」


 怪盗は懐から『女神の祝福』を出すと俺に返還した。


「それから、善人から盗んだ物は全部返すんだな」

「いやだ……へい、返しやす。この口が何を勝手に。もうこうなったらやけくそだ。義賊になってやるよ」


 盗賊を義賊にしたのは理由がある。

 前回の時は腐った貴族を散々みたからだ。

 この盗賊を義賊にすればそういう奴らに復讐できる。


「うん、それがいい。ちなみにアンデッドはどう対処した」

「特殊な聖水を含ませた自動的に締まるロープを投げた」

「なるほどね。野神(のがみ)という男が首領の集団がいる。こいつらは悪人だ。思いっきり盗んでやれ」

「へい」

「捕まるなよ」

「ドジは踏みませんぜ。今回のお詫びに盗賊の秘伝書を置いていく。あばよ」


 そう言うと本を置いて怪盗は姿を消した。


「小太りの男って幻滅したなぁ」

「馬鹿ね。顔が良かったら結婚詐欺しているわよ」


 小前田(おまえだ)は夢見ていたらしい。

 御花畑(おはなばたけ)から突っ込みが入った。

 現実はそんなもんだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ