第47話 お天気占いで遠乗り日和
歩くほど半日あまり無事に遊牧民のテントに着く事ができた。
「えーと。長老の所に案内してくれるかな」
テントのそばで遊んでいた子供に声を掛けた。
「うん、いいよ」
俺は子供に案内されて長老が居るテントに入った。
「はじめまして。シロウと言います。風の精霊を探しているのですが」
「遠い所よくきなすった。今日は遅い。泊まって明日の朝から探しに行くといい」
「お世話になります」
「ポルックや、案内してあげなさい」
さっきの子供、ポルックが今夜宿泊するテントに案内してくれた。
「明日、精霊様を探すのはやめた方がいいと思うな」
「なんで」
「兄ちゃん、明日から三日連続で雨だよ」
「えっ、そうなのか」
「うん、空気の湿り具合で分かるんだ」
「そいつは、少し困った。急ぐ旅でもないけど。早く目的を達したい」
「僕もがっかり。明日は始めての遠乗りの日なんだ」
「そうか、それは延長できないのか」
「お祝いの料理のしたくはもう終わっているから」
「お祝いしてくれたのに遠乗りできないと片手落ちだな。よし、お兄ちゃんがなんとかしてやろう」
「安請け合いしちゃて良いの。でもどうせあんたの事だから、スキルでどうにかしちゃうのでしょう」
次の日の朝。
外は土砂降りの雨だった。
「俺のスキルで晴れにしてやる」
俺はポルックに話し掛けた。
「ほんとう、早くやってよ」
俺は財布から金貨三枚を出して軽く上に投げると金貨は全て裏だった。
俺は金貨を拾い金貨三枚が全て表になるまで投げた。
やった全部表だ。
俺は『よく当たる占い』を片手に持ち。
「カタログスペック100%」
辺りは光に満ちる。
テントの入り口から外を見ると太陽の光が差し込んでいた。
ポルックが勢い良く外に駆け出して行く。
「素晴らしいいい!! 天候を変えるとは!! これぞ職業神のお導き!!」
見届け人の神官が大声を出した。
「ああ、びっくりした。神官さん話ができたのか」
「今まで無言の行を行っていたのです」
「喋ったら駄目な奴か」
「ええ、私の属してるスキル派は職業に貴賎はつけず、真髄たるスキルを信仰するというものです。無言の行はスキルの発動以外で喋る事を許されません」
「今喋っているけどいいのか」
「行は失敗しました。感動のあまり行の事を忘れたから、もう良いのです」
「そうか」
「それより今やったスキルを説明して下さい」
「金貨三枚が表に出ると晴れ、裏の枚数が増えるとそれだけ天気が悪くなるという占いをやったんだ。そして、空気に触りながら占いの本を持ちカタログスペック100%さ」
「本に書いてある事が本当になるというスキルですか。素晴らしいスキルですね」
「そんな訳で晴れたし、風の精霊を探しに行くぞ」
外に出るとポルックが小振りな馬にまたがっていた。
「兄ちゃん、僕が風精霊様の所へ案内してあげる」
俺達はポルックの後について、雨上がりの草原を歩いた。
雨上がりの草原は雨露が草にたかり太陽の光を反射してキラキラと光っている。
「波久礼君、雨上がりの草原って、ロマンチックね」
「ズボンが濡れて気持ち悪い」
「あんたって、ほんとムードの無い男」
「あれっ、おかしいな。もう祠に着いてもいいんだけど」
ポルックが首を傾げて言う。
「あー、妨害されているな」
「たぶんね。幻術の一種だと思う」
「不戦勝を狙ってるのね」
『ガイダスの糸巻き』発動。
糸が行先を示してくれる。
途中、トラップがあって小前田が引っ掛かった。
「痛い」
「このトラップは青いボタンを押すんだったな。いま解いてやる」
「本当に良美はドジね」
ええと、トラップ回避は。
そうだラッキーアイテムだ。
「小前田、占いの本を貸してくれ」
「良いよ。私達のラッキーアイテムは、波久礼君が赤シャツ、未依子ちゃんはティカップ、私のが指輪」
「俺は既に着ているな」
「カップはあるわ」
「どうしよう。指輪が無い」
「そんなの作れば良いだろ」
俺は花で指輪を作った。
「えへへ、指輪もらっちゃった」
小前田が左手の薬指に花の指輪を着ける。
御花畑がニヤニヤした。
何だってんだ。
スキルを掛けて俺達は歩き始めた。
一時間ほど歩くと、石でできた祠に辿り着いた。
野神達の姿は見えない。
妨害工作に夢中で俺達より遅れたか。
「風の祠だよ。風の強い日には風精霊様がよくここに現れるんだ」
「ありがとな」
俺がそういうとポルックは本を投げて寄越した。
「晴れにしてくれたお礼。僕の宝物だよ」
そう言うとポルックは馬を返した。
本は勇者の物語で、タイトルには『究極勇者エクストラスペシャルDX』と書いてある。
ぺらぺらとめくると、クライマックスで勇者の一撃で山が切り裂かれたとある。
何かに使えるかも。
本をアイテム鞄に大事に仕舞い込んだ。




