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第38話 石化破り

「豚なぜに、豚」


 5階層に下りたら豚に似たモンスターの歓迎を受ける事になった。

 このモンスター顔は豚で身体が牛だ。

 どっちなのかはっきりしてほしい。


「ファイヤーランス」


 御花畑(おはなばたけ)の丸太ほどある魔法がモンスターを貫通して行く。

 相変わらずえげつない威力だ。


 壁を壊して進むかとも考えたが、様子見にしばらく通路に従って進むと男が駆けてきた。


「助けてくれ。スーリンがぁ、スーリンが」

「落ち着いて。何があったか聞かせてよ」

「でっかい蛇のモンスターが襲い掛かって来て、俺は仲間に一縷の望みを託されて」

「よし、二人とも急ぐぞ」


 少し広い空間に出るとそこにはなぜか冒険者の石像が複数、立っていた。


「スーリン。返事してくれよう」


 女冒険者の像にすがって先ほどの男は泣いている。


「石化かも知れないから治療してやろう」


 俺はエリクサーを女冒険者の石像に掛けた。


「来ないで!来ないで!」


 剣を持った女冒険者が闇雲に剣を振り回す。

 男が声を掛ける。


「スーリン、もういいんだ。助かったんだ」

「はっ、蛇のモンスターがいないわ」


「お取り込み中に悪いが、経緯を聞かせてくれ」

「ダンジョンの攻略は順調で調子に乗ってこの階層に踏み込んだ。そしたら、大蛇のモンスターにやられたって訳さ」


「石化を使うモンスターの仕業だよな」

「石化っていうと鏡の盾が有名よね」


 と御花畑(おはなばたけ)


「私知ってる。映画で見たよ」


 そう、小前田(おまえだ)が言う。


「石化の視線を跳ね返すんだろ。なら良いのがある」


 俺はアイテム鞄から『手印の手引き』という本を取り出した。

 手印というのはあれだ日本だとリンピョウトウシャとか唱えながら手を組み妖怪退治したりする手の組み合わせ方だ。

 異世界にも似たような物がありそれが本になっていた。

 効果なんかはどうなんだろうな。

 無いかもしれないが、カタログスペック100%があれば問題ない。


 俺は本を片手に。


「カタログスペック100%」


 俺は光に包まれた。

 本に載っていた反射印というのを試すことにする。


「もし俺が石化したら、治療よろしく」

「私がエリクサーを掛けてあげる」

「その隙の攻撃は任せておきなさい」


「ところであんた達はモンスターハウスやダークゾーンやテレポートの罠はどうやって抜けてきた?」


 俺は冒険者達に問い掛けた。


「モンスターハウスは力技でやった。こう見えて強いんだ。ダークゾーンは苔の光で突破さ。テレポートは解除杖が罠を作動させたから、その後は罠鑑定しながら慎重に進んだ」


 本職の冒険者は違うな。

 俺達とはえらい違いだ。

 俺達のは邪道だな。

 でも、邪道でもなんでも進めていれば合格ラインだろう。


「そうよ、モンスターはそれなりに強かったけど、私達に掛かればこんなもんよ」

「帰りはどうする? 待っているなら、帰りに拾ってやるよ。一緒に帰ろう」


「世話になる。俺はハマーク。名前を聞かせてくれ」

「名も無き勇者だ」


 他の冒険者も石化から解放する。

 そして、俺は冒険者達に『手印の手引き』でカタログスペック100%を掛け手印を教え、エリクサーを数本渡し冒険者達と別れた。


 俺は反射印を組みながら、先頭を切ってダンジョンを進む。

 この反射印は攻撃や悪意を反射すると書いてあるのだが大丈夫だろうか。

 ダンジョンを進んでいるとシュルシュルとなにかを擦り合わせる音が聞こえてきた。


「やっぱりな、大蛇のモンスターだ。二人とも気をつけろ」


 大蛇のモンスターを鎌首を持ち上げると遠距離からブレスを吐いてきた。

 反射してくれよと祈りながらブレスを受ける。

 ブレスは俺の身体で反射され蛇のモンスターに向かって行った。


 ピキピキと音を立てて大蛇が石化していく。


「ファイヤートルネード」


 御花畑(おはなばたけ)が魔法を掛け大蛇の石像は炎に焙られるが変化がない。


「駄目だな。俺がやる」


 俺は土精霊のトンカチで石像を砕いた。

 石像は砂になり、それから黒い煙になって魔石を残した。


 俺達は大蛇のモンスターを何匹も倒して進み下の階層への階段を見つけた。

 次の階層は何だろうな。

 これまでの事を考えると殺しに掛かってくるのは間違いない。


 この階層は罠の類がないな。

 やっぱり浦山口(うらやまぐち)の関与はないのか。


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