表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/79

第37話 危機一髪

「ファイヤーランス」


 御花畑(おはなばたけ)の魔法を発動する元気な声がダンジョンに響く。

 オークの腹に穴が空いてオークは黒い霧になった。


「私も、えいっ」


 爆弾が炸裂しオーガが吹き飛ばされる。

 小前田(おまえだ)の爆弾も相変わらず高威力だ。

 俺も負けじと爆弾を投げる。

 モンスターのパーティは瞬く間に殲滅された。


「だいぶモンスターは強くなったが、まだまだ余裕だな」

「油断していると危ないわよ。3階層で最初に苦戦したの忘れたの」

「そうだよ。命大事にだよ」

「それより宝箱が出ているぞ」

「はい、罠鑑定水晶」

「ええっと、罠はテレポートか。御花畑(おはなばたけ)さわるなよ。やばい奴だ」

「私もそれほど馬鹿じゃないわ」


 俺達はそんな見え見えの罠には掛からない。

 宝箱を無視して進んで行った。


 次のモンスターのパーティもテレポートの宝箱を落とした。

 ダンジョンはこの階層でよっぽどテレポートさせたいらしい。

 お金なら魔石だけで充分稼げるし、モンスターがたまに牙や毛皮や装備を落とすから無視しても問題ない。

 危険を冒してまで挑戦するほどじゃないな。


 俺達が何の変哲も無い通路を進んでいると、突然床が光った。

 何が起きたんだもの凄く苦しい。

 ここから早く出してくれと思ったら、砂の小山に埋もれていた。


「ぺっ、ぺっ。砂が口の中に入った」

「最悪、服の中も砂だらけ」

「なに、なにが起こったの」


「状況から見るに、ワープの罠を踏んだんだろう」

「それにしては変ね。モンスターの群れの中とかもっと危険な場所がいくらでもあるでしょ」

「そうだな、御花畑(おはなばたけ)


 砂山の中にテレポートしても脅威にはならないだろう。


「私、分かっちゃった。石の中に飛ばされたのよ。そして、とんでも物理現象で石を粉々に破壊したのよ」


 ここにも初見殺しの罠だ。

 浦山口(うらやまぐち)が絡んでるのか。

 前に行田(ぎょうだ)がモンスターになっていた。

 浦山口(うらやまぐち)もそうなのか。

 罠を突破していけば真実は分かるだろう。


「俺には何で石が砂になったのか理由が分かる」

「えっ、物体が重なってなんちゃら爆発して不壊の装備で助かったとかじゃないの」

「違うぞ、小前田(おまえだ)。俺が腰にぶら下げているトンカチのおかげだ」


「また、スキルで変な物を作ったのね」

「土精霊のトンカチだ。『ディグ民話』に出てくる鉱夫のお守りだよ」

「どんな効果なの」

「どんな硬い岩でも一撃で粉々だ。ちなみに材料はトンカチに精霊への祈りだよ」


「あなた、人助けの為にしか能力を使わないんじゃなかったの」


 御花畑(おはなばたけ)から突っ込みが入った。


「そうは言うけど人を助ける前に自分を助ける。ダンジョンで稼いだ収益の一部は寄付するよ。それにモンスター退治は人の役に立っている」

「そういう事にしておいてあげるわ。服を着替えるから後ろを向いてて」

「ダンジョンの中で裸になるのは嫌だな」

「良美、つべこべ言わない。服がじゃりじゃりでも良いの?」

「絶対良くない」


 俺は慌てて後ろ向いた。

 衣擦れの音が艶めかしいがパラパラと落ちる砂の音が台無しにしている。

 今突然振り返ったらとかしょうもない想像をしてしまった。


「きゃ、いたい。もっと優しくして」

「奥まで行くわよ」

「そっとね」

「じっとして。動くともっと痛いわよ」

「お風呂に入りたい」

「そうね、髪の毛の奥まで砂だらけ、ひとっぷろ浴びたいわね」


 それにしても時間が掛かる。

 何やってるんだ。

 振り返りたい衝動と戦う事、三十分。


「もう良いわよ」

「おまたせ」

「遅いよ」


「しょうがないじゃない。髪の毛の中にも砂が入ったんだから。砂が取りにくいのよ」

「そう、そう、シャンプーしたいぐらい」

「洗浄の魔法とかそういうのはないのか」

「無いわね」

「錬金術にも洗剤のレシピはあっても、一瞬で身体を洗う道具はないよ」


「そうか、不便だな。これを一応渡しとく」


 俺はアイテム鞄からトンカチを取り出して二人に渡した。


「さて、こうなったらダウジングで階段に向かって一直線だ。邪魔な壁はトンカチで砕いてショートカットするぞ」

「そうね。それが早いわ」

「は~い」


 俺達は壁を壊しながら進み下の階へ辿りついた。

 ワープの罠もショートカットすれば問題ないな。

 反則だろうが、こんな罠は回避するに限る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ