第36話 ダークゾーン突破
「なんにも見えないぞ」
「ちょっと、今さわったのは誰」
「きゃ、何かいる」
俺達は3階層に下りたとたん、ダークゾーンで立ち往生していた。
このダークゾーンはカンテラのや魔法の光を吸収するみたいで何も見えない。
「ぐっは」
俺は突然、何かに殴り飛ばされた。
不壊の効果を持つ防具を装備しているが、衝撃までは防げない。
俺は滅多打ちにされた。
「大人しくやられる、御花畑様じゃないんだよ。ファイヤートルネード」
隣で暗闇に熱気だけが感じられた。
御花畑の奴、俺達が不壊の装備だからと無茶する。
むき出しの所は火傷するんだぞ。
エリクサーで綺麗に治るけど。
「きゃあ、きゃあ、きゃあ」
爆弾の連続した爆発音が聞こえた。
そして、俺は衝撃を受けて飛ばされた。
俺を攻撃していた何者かは爆弾の巻き添えを喰らったらしい。
攻撃がぱたりとやんだ。
「今のうちに2階に戻るぞ!」
「ええ、了解!」
「は~い」
声を頼りに二人の方向ににじり寄る。
何か柔らかい物に触った。
「どこ触ってるのよ」
俺はビンタされた。
「緊急事態だろ、我慢しろよ」
「今度やったら、殺す」
「ところで、小前田はどこだ?」
俺は空中を手で薙いだ。
手の先を何かが掠めた。
「やんっ」
「おっ、悪い悪い。へんなとこ触ったか」
「もう、えっち」
「二人共、ロープを出すからつかまれ」
俺はロープ出し腰のベルトに結んだ。
「さっきの戦闘で方角が分からなくなったわ。どっちに進むの」
「河の街で使った『ダウジング入門』で作った道具があるこれを使おう」
重りをつけた糸を垂らし、手探りで重りの向きを慎重に探る。
見えないのがこんなに不便だとは思わなかった。
俺達は手探りで2階層まで撤退した。
ポーションで傷を癒し、俺は二人に話し掛ける。
「ダークゾーン突破だけど、俺に良い案がある」
「またスキルで解決するのでしょ」
「なに、なに。私にも教えて」
「こんな事もあろうかと、領都ガミストで火種を貰っておいた」
「何かその火にいわれがあるの」
「そうだ、乙女の火と呼ばれている」
「なにかロマンチックな展開。私そういうの好き」
小前田は相変わらず、ぽややんとした思考回路だ。
「恋人の帰りを待つ少女が霧でも港を見失わない目印を下さいって祈ったんだ」
「先が読めたわ。神様から火を賜ってそれで船を導いたとかいうんでしょ」
御花畑に答えを言われてしまった。
「そうなんだ、『ミグラ航海記』によればその灯りは霧でも暗闇でもどんな状況でも見えたと書いてある」
俺は火種を使いカンテラに火を点けた。
そして、『ミグラ航海記』を取り出し。
「カタログスペック100%」
カンテラが光に包まれ、カンテラの灯りが強くなった様に思う。
「リベンジに行くぞ」
俺達は3階層に下りて、カンテラで通路を照らした。
光は問題なく届き、石造りの通路が浮かび上がった。
遠方から音もなくゴブリンに似たモンスターが近寄る。
さっきやってくれたのはこいつらか。
「御花畑やって良いぞ」
「ファイヤーボール」
ゴブリンに似たモンスターは炎に包まれ黒い煙になって魔石を落とした。
通路でまたもや痕跡を発見した。
電池が落ちている。
たぶん懐中電灯を使ったんだな。
「ここにある暗闇の魔法は、現代製品の光だと届くのか?」
「魔法の事なら任せて。あのね完璧な物だと、魔法が難しいの。お、わ、か、り」
「ええと全属性をカバーすると難しいって事か」
「ええ、電気の光は火属性じゃないみたいね」
「なるほど。雷の魔法を撃ってみろよ」
「ええ、サンダー」
雷の光が通路を照らす。
「本当だ。サンダーライトの魔法とかあるのか」
「ないわね。作るのは可能だけど。難しいわね。ライト。やっぱりね、光属性も禁止されている」
「なんとなく攻略法が分かった。光る苔があっただろう。あれを採取して使うんだ。苔は植物属性だろう」
「でも今更よね。乙女の火があるから、必要ないわ」
どんな状況でも光を届かせるカンテラは抜群の威力を発揮して、俺達はダークゾーンの階層を突破した。
初見殺しの罠が多い。
俺はある事を思い出した。
野神の手下である浦山口が罠師で、最強の罠は初見殺しと言っていたのを思い出した。
まさかな。




