第34話 毒トラップ突破
ギルドはダンジョンの噂で持ち切りだ。
なんでもこの近くにダンジョンが沢山できたらしい。
「ダンジョン討伐に参加したいと思うけど、二人はどう思う」
俺は御花畑と小前田に問い掛けた。
「良いわね。お宝に宝石なんてのもあったりして」
「最近アクセサリー生成スキルを覚えたから、宝石が手に入ると嬉しい」
「じゃあ、色々準備して行くとするか」
そして、俺達はダンジョンに踏み込んだ。
ダンジョンの中は見たところ天然の洞窟で岩肌が剥き出しになっていた。
「ひゃう。背中に何か入った、取って、取ってぇ」
「んっ、小前田、何も入っていないぞ。きっと水滴だな」
俺は小前田の背中に手を入れて確認した。
「スライムかもよ」
はたで見ていた御花畑がちゃかした。
「それなら溶かされているだろう」
「そうね」
「洞窟きらい」
「そんな事言うなよ。2階層は石造りだから、水滴は落ちないよ。それまでの辛抱だ」
ここは前回来た事があるから、構造は知っている。
たしか野神が制覇して、名声を得るんだった。
邪魔する意味でも先に討伐してしまおう。
分岐を右に進むとカンテラの灯りにスケルトンが照らされた。
「御花畑、頼む」
「ファイヤーボール」
スケルトンは炎に包まれ黒い霧になり魔石を落とした。
「ところで魔石って何に使うんだ」
「そんな事も知らないの。ダンジョンコアから作った創造魔道具に入れると物品が生産されるのよ」
前回はこき使われて観光はおろか、本を読む暇さえなかった。
「私も知らなかった。未依子ちゃんは物知りね」
「良美はもっと色々知って用心した方がいいわ。さっきだって背中に男性の手を入れさせるだなんて」
「気をつける。でも背中だったし」
「まあ何だ。一緒のパーティなんだし、少しのハプニングはしょうがないだろ。仲良くいこう」
スケルトンを倒しながら俺達が更に進むと行き止まりに宝箱が置いてあった。
「宝箱だ、どうする」
「こういうのは大抵、罠が仕掛けてあるものなのよ」
「じゃん、罠鑑定水晶」
「良美、どうしたのよそれ」
「アクセサリー生成スキルで作ったわ」
「やる時にはやるんだな」
「へへん、もっとほめて」
「調子に乗るな」
小前田の頭を軽く小突いた。
「それじゃ、やるよ。発動」
罠の種類が映しだされる。
遅効性の毒が噴出されるとあった。
「私が解除してみる」
「頼んだぞ御花畑」
御花畑がしばらく針金をチャカチャカやっているとカチリと音が鳴った。
プシューと音がして辺りに毒が満ちる。
「罠の種類が分かったって、作動させたら意味ないだろ。とりあえず鑑定だ」
「分かった。鑑定。大変、普通の毒消しじゃ治らないって」
「こういう時にこそエリクサーだ」
俺達はエリクサーを飲み、小前田が再び鑑定する。
「鑑定。こんな事って、毒が消えてない」
「慌てるな遅効性の毒なんだろう」
俺はジュースの瓶と『スプライン神話』を持ちスキルを掛ける。
「カタログスペック100%」
ジュースが光り、スキルが掛かる。
「何を作ったの」
「飲んで見てのお楽しみ」
俺達はジュースを飲んだ。
「鑑定。毒が消えている。波久礼君、あのジュースはいったい何」
「あれな、『女神の涙』だよ。とにかくそういう名前のジュースさ」
「本に『女神の涙』が全ての状態異常を治すとか書かれていたのね」
「そのとおりだ」
今後の参考の為に罠を分解する。
むっ、部品にボルトとナットが使われている。
たしかこの世界にはなかったはずだ。
更に分解すると電池らしき物が出て来た。
あれっ、魔王軍は現代知識の虎の巻でも手に入れたか。
まさか野神達が入れ知恵しているわけじゃないだろうな。
あのクズのやる事だからあり得る。
資金源のいくつかを潰したから、こういう手に出てもおかしくない。
そして、1階層では何度も毒のトラップに引っ掛かったが、『女神の涙』でなんなく突破できた。
副作用といえばお腹がタプタプになったぐらいだ。
エリクサーでも治らない毒なんて、このダンジョンは挑戦者を殺しにきているな。
おかしいな。
前に来た時はこんな罠は無かった。
展開が変わっているらしい。
だけど、俺にはカタログスペック100%がある、なんとかなると思いたい。




