表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/77

第33話 各情勢

Side:下級神

 今日は来訪者の様子をチェックする日じゃ。

 どれどれ、勇者は酒盛りじゃな。


「女こっちへ来て、全部脱げ」

「借金返済の為に来たんで、私は売春婦じゃない」

「ここで酌をするという事はそういう事だ」

「弟が人質にとられてなければ……。あんたなんか勇者じゃない。名もなき勇者が本当の勇者よ」

「なんだと。その名前を呼ぶな」

「何度でも呼んでやるわ。名もなき勇者万歳。あんたなんか、クサレ勇者で十分よ」


「なにおう」

「外道勇者!」


「口を閉じろ」

「クズ勇者!」


「言ったな。押さえつけろ」

「きゃあ」


 いかんな、目も当てられん醜態をさらしとる。

 ありゃ、悪念を浄化する力が弱まっとるな。


 他にも別行動のグループがあるようじゃ。

 女性ばかりのグループで冒険者活動をしておる。


「みんな、もうちょっとだから。後少しで資料にあった精霊蘭の群生地だよ」

「これで、エリクサーの材料が全て揃うのね」

「ええ、これで難病のあの子を救うことができる」

「リーダーもお人好しだよね」

「そうそう。偶然、出会った子供のために尽力するなんて」

「いいじゃない、余ったエリクサーはお金になるんだし」


 こちらは順調じゃな。


 頼むぞ来訪者達。

 この世界の命運は君らにかかっとる。


 どれ例のスキルを与えた少年はどうしているかな。


「カタログスペック100%。この採取名人使ってよ。壊れなくしておいたから」


 何っ、神器クラスを量産だと。

 いかんぞ、わしが怒られてしまう。

 やめるのじゃ。

 人の役に立っているから神罰が下せん。

 影響を及ぼせないのがうらめしいのじゃ。


 気を取り直して、魔王はどうじゃな。


「なんだと、十魔将の一人、カタリーヌが討伐されただと」

「はい、魔王様。偽物の勇者に討ち取られた模様。虚無の作戦も失敗に終わったとの事」

「ふむ、在野にも勇者クラスの人間がいたか。計画の妨げになるようだったら消してしまえ」


 勇者の偽物が現れたとな。

 良い影響を与えればよいのじゃが。


Side:波久礼(はぐれ)


「貴様が名もなき勇者か。恨みはないが命は貰う。マグマブレイド」


 いきなり襲われ、炎の剣を叩きつけられた。

 聖剣ドラゴンブラッドを抜いて迎え撃つ。


「その剣は何だ。なぜ俺のスキルを受け止められる」


 俺は炎の剣を受け止め、受け流し、切り刻んだ。


「お前にも家族いるだろう。やめるなら今のうちだぞ」

「くそっ、こんな仕事受けるんじゃなかった」

「降参しろよ」

「分かった」


 男が柄だけになった剣を投げ捨てた。

 俺は野次馬に向かって。


「横暴な悪徳貴族や悪人には負けない。名もなき勇者をよろしく」

「いいぞ。名もなき勇者」


 野次馬が喝采する。


「ポイズンブレイド」


 さっきの男が短剣で俺の背中を突いていた。

 不壊のシャツが短剣を受け止めたようだ。


「家族はいないのか?」


 俺は振り返って言った。


「へへっ、あんたはお終いだ。毒にのたうち回るんだな」

「家族はいないのか、いるのか、はっきりしろ!」

「冥途の土産に教えてやる。俺にはそんなものはない」


 俺は男の腕を切り飛ばした。


「何だと。なぜだ毒が回っているはずだ」


 俺は剣を収めた。


「情けか。情けを掛けるのか」

「俺の剣は活人剣だ。殺人剣ではない」


 俺はエリクサーを投げてやった。

 男は無事な方の手で受け取ると、一気に飲み干した。

 切り飛ばされた腕が生えてくる。


「なんの真似だ」

「お前が殺されると家族ではなくても、悲しむ奴ぐらいいるだろう。いないのか。いないなら作れ」

「エリーゼ。ごめん」

「いたのか。なら五体満足で帰ってやるんだな」


「参りました」


 男が礼をして去って行く。


「恰好つけちゃって」


 御花畑(おはなばたけ)がそう言った。


「恰好良かったわ。ちょっとキュンときた」


 小前田(おまえだ)は俺の事を分かってくれるらしい。

 野次馬が噂をしている。


「名もなき勇者は凄い。刺客を改心させたぞ」

「そうだな。聖勇者のクズっぷりは呆れるな」

「それよ。名もなき勇者様の爪の垢を飲ませてやりたいぜ」

「聖勇者は聖剣を名もなき勇者に譲ったら、良いんじゃないか」

「それはいい考えだ。投書しようぜ」

「やるか」


 いいぞ、もっと噂をばら撒け。

 野神(のがみ)が逆上して俺に突っかかってくれば、しめたもの。

 堂々と返り討ちにできる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ