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第3話 駄剣を無理やり名剣にする

 俺は腹が減って、ふらふらと香ばしい良い匂いのする露店に引き寄せられた。

 焼かれていたのは、串に刺さった肉。


「おっちゃんいくらだ」

「一つ、銅貨5枚だよ」


 財布はあるので、金はある。

 でも日本円だ。


「この銅貨でいいかな」


 俺は五円玉と十円玉を見せた。


「見た事のない銅貨だな。銅貨には違いない。その銅貨でいいよ」

「悪いな」


 45円で串肉を手に入れた。


「いや、たぶんこの銅貨は好事家に売れるだろう」


 そんな事は分かっている。

 だが、俺にはそれを売る伝手はない。


「良いんだよ。ウインウインだから」

「納得しているのなら俺もそれでいい。騙したような気がしてたんだ」


 仕事を探すには、ギルドだな。

 たしか、この道を真っ直ぐ行くと剣と盾の看板がみえるはずだ。

 俺は串焼きを齧りつつギルドを目指した。


 途中、水路があり小さい橋が架かっていた。

 橋の上に男が一人身を乗り出して水面を見て何か呟いている。

 この男少しやばいんじゃないか。


 狭い橋の上ですれ違う時に呟いている内容が耳に入った。


「材料の納品書、うそ書きやがって。何が中級から最上級品質の物が作れますだ。最下級じゃねえか」


 おっ、何やら俺の出番のような。


「俺のスキルでなんとかなるかも」


 俺は自然と声が出ていた。


「えっ、そうかい」


 男は俺の方に向き直り、期待に満ちた目で言った。


「今、一文無しなんだよ。出すものは出してもらわないと」

「もし駄目だった場合、お金はびた一文、払わねえ」

「それで構わないぜ」

「出来る物ならやってみろ」


 男に連れられて職人街にある一軒の鍛冶屋にやって来た。

 看板は傾いているし、周りに物は乱雑に置かれているしで汚い印象だ。

 中に入ると金属と油の匂いがした。

 一応綺麗に掃除してある。


「ちょっと待ってな。辺りの物にさわるんじゃねえぞ」

「触んないって」


 しばらくして奥の部屋から一振りの剣を持って来た。


「どうだ、この剣なんだが」


 剣は見たところ気泡が至る所にあり、でこぼこしている。

 刃の光り具合もあまり切れなそう。


「材料の納品書あります?」

「おう、これだ」


 初スキル発動だ。

 スキルの発動はスキルを使うと念じて、スキル名を言えばいいと知っている。

 前の時、お城であった来訪者の教育で教えられた。


「いきますよ」


 俺は右手に剣、左手に納品書を持って叫んだ。


「カタログスペック100%!」


 光が剣を包み、光が収まると、眩い光を放つ剣があった。

 上手くいくか半信半疑だったけど、上出来だな。


「鑑定してもいいかい」

「どうぞ、どうぞ」


「鑑定。凄げぇ、最上級品質だ」

「でお礼はいかほど」


「その前に余った粗悪品の材料で剣作るんで、片っ端からスキルを掛けてくれ」

「了解」


「剣作成。剣作成……。剣作成。剣作成。剣作成」

「カタログスペック100%……。カタログスペック100%」


 俺は次々に生み出される剣に負けじとスキルを掛け続けた。

 最後の一本で少し小細工を思いついた。

 納品書の羊皮紙をやすりで削り、最上級の所を胸ポケットに刺してあったボールペンで神級に書き換えた。

 そして剣を手にスキルを掛けると何も起きない。

 ズルは駄目ってことだな。

 オッケー把握した。


「ふう、興が乗って、もの凄い数作っちまった。魔力がすっからからんだ」

「約束守ってくれるよな」


「すまん、今あまり金が無いんだ。有り金、全部やるから勘弁してくれ。それと剣を一本やろう」

「どのくらい、あるんだ」

「金貨一枚とちょっと」

「それでどれくらい暮らせる?」

「慎ましく暮らせば一ヶ月ぐらいかなぁ」

「それでいいよ」


「それでお前さんこれからどうする」

「ギルドに登録したいんだが」


「部門は?」

「雑用が出来ればどこでも」


「戦闘スキルはあるのか」

「ないな」

「それじゃ、生産部門だな。それなら俺が紹介状を書いてやれる」


「この際、それで良いや。何か注意事項は?」

「この都市のギルドは駄目だ。さっきの剣の材料もギルドを通している。ギルドに騙されたんだ」


「なら、登録したら、俺は旅に出るよ」


 前の時はギルドに登録してなかった。

 戦闘も生産も出来なかったからな。

 俺は剣一振りと紹介状とお金を手にギルドに向かった。


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