第22話 チェック
Side:下級神
今日は来訪者の様子をチェックする日じゃ。
どれどれ、勇者は激闘の真っ最中じゃな。
「寄居、指示を」
「麻痺の矢を放て」
矢が下級竜に突き刺さる。
下級竜の動きが鈍ったようじゃ。
「尻尾が来る。タンク前に」
盾を持った来訪者が肩を並べて尻尾の攻撃を受け止める。
「よくやった。今度は俺の番だ。ミラージュ。幻覚に掛かってます。野神さんやっちゃって下さい」
幻術で隙ができたようじゃ
「スラッシュ。かなりダメージが入ったはずだ」
下級竜の胴体から血が噴き出した。
「寄居、次の指示を」
「まだ倒せないか。タンクに回復を」
「「「ヒール」」」
うむ癒し手達も順調に育っとるようじゃ。
「ブレスがくるぞ。魔法を撃て」
「「「ファイヤーボール」」」
下級竜のブレスを魔法で相殺したな、あっぱれじゃ。
「バッシュ、スラッシュ」
ほっ下級竜を倒しよった。
下級竜の頭を盾で打ちつけふらふらしたところを首をはねるとは中々やるのう。
勇種はイライラしているようじゃな。
何か事情がありそうじゃが、どっちみち干渉は出来ん。
「よし、討伐の金で女を呼んで宴会だ」
もう一つ、来訪者のグループがあるな。
こちらは女性だけのグループじゃ。
ふむ、薬草採取をしておる。
わしとしては戦ってほしいところじゃが。
わしの意図をモンスターが汲み取ったのであろうか。
虎のモンスターが森の奥から現れた。
「みんな気を付けて。こいつはグレートタイガーよ」
ふむ、武器を抜いて臨戦態勢じゃな。
モンスターが炎を吐いた。
「ウォーターシールド」
水の盾で防いだようじゃ。
「あれで行くわよ。フォーメーションダブリュー」
「オッケー、ウォーターボール」
「「「ウォーターボール」」」
水球が大きな球になり、モンスターの頭を包み込んだ。
モンスターは暴れまわるが、水は離れない。
ほどなくしてモンスターは死んで毛皮と魔石と牙を残した。
ふむ、あっぱれじゃ。
頭が良いのう。
下級魔法のウォーターボールも使い方次第じゃ。
来訪者は概ね順調なようじゃ。
この前に比べるとレベルも大幅に上がっておる。
結構、結構。
今までに死んだ来訪者は何人かいるようじゃが、許容範囲じゃ。
とはいえ、モンスターの動きは益々活発になっておるのう。
この分だと邪神の封印が解けるやもしれん。
これでは監視に手は抜けんぞ。
部下を何人が配置して監視に当たらせるとしようかのう。
直接、下界に直接手がだせないのは歯がゆいの。
確かに邪神と神々が直接戦えば、大変な事になるのは分かっとる。
邪神は悪念を材料にモンスターを生み出し、我ら神々は人間に味方する。
邪神との取り決めじゃ。
例外は人間に下す天罰と神託とスキルの褒美だけになるのう。
邪神は天罰に苦しむ人間がことのほか好きじゃから、天罰に反応したことはない。
邪神が必要悪なのは分かっているが、もうちっとなんとかならんか。
邪神を滅ぼして誰か時を稼いでくれると助かるのじゃが。
そうしないと文明が中々発展せん。
「下級神様あれはよろしかったのですか」
わしの部下の天使が書類仕事をしながら尋ねた。
「なんじゃ、あれとは」
「カタログスペック100%の事です」
「何かまずいかのう」
「力を与えすぎでは」
むっ、どういうことじゃ。
調べるとなんと下界には嘘があふれておる。
天界の住人は嘘がつけないから、うっかりしとったわい。
あー、力の規模は災害級、応用範囲は広いと。
一応、制約はあるが、これは創造魔法に匹敵する力じゃな。
これはまずい、他の神々に知られると怒られてネチネチ言われそうじゃ。
「天罰の準備をするぞい。スキルを与えた者が酷い行いをした時は……」
「した時は?」
「永遠に苦しむ天罰じゃ」
「神様は随分と自分勝手ですね」
「神なんてのは自分勝手なものじゃ。かの者が居た世界の神は嫉妬に駆られ天罰を落とした。それに比べればどうという事はないじゃろ」
「そんな物ですかね」
ふむ、未来が揺れ動いているのを感じる。
イレギュラーな存在でも現れたか。
もしそうなら、大変な事じゃ。
時代が動く。
どのように動くか分からんが、変動は起こるじゃろう。
もっとも、下界には手は出せん。
カタログスペック100%スキルは、邪神が文句を言わなかったところをみると、大した事ではないのかも知れん。
カタログスペック100%という言葉が、分からなかったわけではあるまい。
まさかな。




