第15話 2人の側近を罠に嵌める
俺達三人と一頭は幾つもの村を経由して無事、次の街に入った。
情報によればここに野神達一行がいるはずだ。
前の討伐の記憶でもそうなっている。
俺達は情報収集の為に単独行動を取ることになった。
俺は書店で使えそうな物語を探す。
その中に『来訪者戦記』を発見した。
来訪者が力を合わせて魔王を退治。
そして、元の世界に帰っていく物語だ。
これを使えば元の世界に帰れるな。
それには、魔王を退治しなけりゃいけない。
復讐の条件としての約束もあるし、それは仕方ない。
そして、その他にも使えそうな本をいくつかゲットした。
二人が帰ってきたので宿で作戦会議を開く。
「でどうだった」
「クラスの友達に聞いたのだけど、野神達やりたい放題だって。クラスメイトに被害は出てないけど、色々な女の子にいやーんあはーんで凄いらしいよ。後、生産職の扱いが酷いって言ってた」
小前田が報告する。
野神達は排除する必要があるみたいだ。
側近2人が厄介よ」
御花畑が言う。
正面突破は駄目だな。
3人まとめてはきつい。
それに野神に賛同しているやつらもいる。
各個撃破が出来れば良いな。
側近の2人をどう無力化するかだが、ちょっと思いついた事がある。
「2人に頼みがある。側近と野神を呼び出すために偽のラブレターを書いて欲しい」
「ラブレターでいたずらってなんか良いわね。あいつらにふさわしいわ」
「私は売られたから、ラブレターは不自然だと思う。未依子ちゃんが書いて」
「そうね、また集団に戻りたいから、仲介してくれれば良い事してあげるとか書いておくわ」
俺達は出来上がったラブレターにスキルを掛ける。
左手には『誘惑する手紙の書き方』、右手には偽のラブレターだ。
もちろんラブレターはこの本を読んでその方法に従って書いた。
絶対上手くいく事間違いなしと書いてあるから間違いないだろう。
手紙を野神達を快く思っていないクラスメイトに渡す。
そっと部屋にでも置いておくように依頼した。
1人目は親鼻でこいつは理事の息子だ。
職業は重戦士で、でっぷりと太っている。
前回での記憶が甦る。
「おい、マッサージしろ。そのオイルを使ってな」
オイルの瓶の蓋を取る。
ゲロを煮詰めたような臭いがした。
「これものすごく臭い」
「体の脂肪を落とすオイルだ。金貨10枚もしたんだぞ。大切に塗れよ」
俺は鼻をつまみながらオイルを塗った。
親鼻が汗をかき始めた。
汗の臭いも、もの凄く臭い
親鼻の体臭と相まって物凄く臭い
臭さが倍増した。
鼻をつまんでても、卒倒しそうだ。
「おい、マッサージしろ。なに片手しか使ってないんだよ。両手でやれ」
「くっ」
俺は泡を吹きながら、懸命にマッサージした。
嫌な記憶を思い出した。
あれを何度もやらされて、最後には料理の匂いがしなくなった。
匂いのしない料理の不味い事といったら。
宿の裏手で背中にタッチして、ギルド規約片手にカタログスペック100%。
「ファイ……」
「ムチュウ」
御花畑が魔法を唱えようとしたところ、何を考えたのか親鼻が抱きつきに来る。
「ちょっと、待って」
「未依子ちゃんに触るなあー」
小前田が麻痺薬を浴びせ事なきを得た。
「この牛乳雑巾デブ。運動して痩せろって言うんだ。このこのこの」
聖剣の切れ味の剣で、めった刺しにする。
「波久礼君、もう死んでる」
「ちょっとぉ、キスを迫りながら抱きつきに来るなんて、聞いてないんですけど」
「誘惑が効き過ぎたのかも。後、二人だから我慢してくれ」
死体は御花畑が灰に変えた。
2人目は寄居でひょうきんものだが、おべっか使いで何を考えているのか分からない所がある。
職業は幻術士だ。
記憶がフラッシュバックする。
「何で言われたポーションを渡さないんだ」
叱責しているのは野神。
「ハイポーションとポーションは色が一緒だから分からなくって」
俺は言い訳した。
「こいつ、野神さんを舐めてますよ」
とおべっか使いの寄居が言った。
「よし、寄居、お前が分からせてやれ」
「野神さんほどはスマートに出来ませんが、ではやらせて頂きます。ミラージュ」
俺はムカデやらゴキブリやらに囲まれた。
それが雪崩となって押し寄せてくる。
俺は虫の中に埋もれた。
もがくと虫が口や耳や鼻の穴から入ってくる。
体を噛まれている感覚すらある。
体中を虫が這いずり回る感覚。
俺は気絶した。
我に返って見回すと。
寄居が、周囲をうかがいながら、宿の裏手に来たところだった。
意外と隙がない。
御花畑が姿を現すと寄居はいやらしい笑みを浮かべた。
俺は死角から近づきギルド規約片手にカタログスペック100%を掛けた。
俺がスキルを掛けたのを見て、なんと寄居は幻の自分をいくつも生み出して逃げに掛かる。
くそう、逃げられた。
だが、野神が残っている。
寄居と入れ違いになればあるいは。




