第14話 宝くじで大当たり
神殿の前を通りかかった時に、ため息ついて行ったり来たりしている若い男を見つけた。
「ねぇ、あの人を救ってあげようよ」
小前田が言う。
「あれは駄目ね。金を持っている風には見えないわ」
御花畑が駄目だしをした。
スキル使うのは無料だし、話を聞いてから判断してみようか。
「そこの人、何か悩み事でも」
「俺かい。人に話すような事じゃないけど。聞いてくれるかい」
「どうぞ、どうぞ」
「十年、商会に勤めて貯めた金を持って里帰りしようと思ったら、落としてしまって」
「それで探していたと」
「そうなんだ、ここいら辺りで落としたはずなんだけど」
「それは、誰か持って行ったんじゃ」
「大変だ。衛兵に届けに行かないと」
その時、神殿の宝くじやっていますのノボリが目に入った。
「ちょっと待って、良い考えがある」
俺は男を呼びとめた。
「早くして下さいよ。衛兵に届けないと」
俺達は少し離れて輪になって相談した。
「やっぱりね。貧乏神ね」
「未依子ちゃん、貧乏神は酷いよ。波久礼君に何かあるみたいだから」
「宝くじを当てさせてやるんだ」
「どうやって? いくら、あんたのスキルでも無理でしょ」
「そこで相談だ。神殿におみくじはあると思う?」
「クラスの子の話では神殿のおみくじで恋愛運最高が出て、意中の騎士に告白したって聞いたよ」
俺の質問に小前田が答えた。
「そこに金銭運なんか書いてあるかな」
「あるんじゃないの。分かったわ。おみくじ使って金銭運を上げようって事ね」
御花畑は察しが良い。
「じゃあ、行動開始だ」
俺は男の所に戻り言った。
「今、お金ないんじゃなのか。仕事してみないか」
「衛兵に早く届けないと」
「とっても、簡単な仕事さ。すぐに済む。金貨一枚だそう」
「それなら、やってみる」
俺達は神殿に入り販売所でおみくじを買い、男に次々に開封させる。
そして、今日一日、金運極大と書かれたおみくじを引き当てさせた。
「カタログスペック100%」
俺は引き当てたおみくじを持って男にスキルを掛けた。
光が男を包み、これで準備は完成だ。
「銀貨一枚上げるから、宝くじを買ってきてくれ」
「これで終わりなんだな」
「ああ、そうだ」
男は不思議がりながら、宝くじを購入した。
俺は宝くじと引き換えに金貨一枚を渡す。
そして、宝くじの売り子に声を掛ける。
「さっき、大量に宝くじ買っていった人がいなかった? 頼むよ」
俺は銀貨一枚を売り子に握らせた。
「内緒ですよ。金貨十枚分買っていった方がいました」
「それは、俺が落とした金と同じ金額だ」
「特徴は?」
「あなた達みたいに黒目の人でした。それと、髪の色が少し変でした」
「どう変なの」
「天辺が黒い髪で、下が茶色でした」
もしかしてクラスメイトの誰かか。
髪を染めて染め直してない奴と言ったら、腰ぎんちゃくの寄居だな。
「親切にありがとう。早速この情報を持って衛兵に届けを出すよ」
「ちょっと待てよ。宝くじの発表の時にまた会おうぜ。もし、くじが当たっていたら、落とした分のお金を分けてやるよ」
俺達はギルドで依頼をこなしながら、宝くじの発表を待った。
そして、発表の日。
宝くじは金貨千枚が当たっていた。
俺達は出来合いの馬車を買ってから、落し物男との待ち合わせの場所へ行った。
「ここだけの話なんですが、犯人は来訪者様だそうで。ヨリイ様という方で、届けようとしたんだそうですが、うっかり忘れたと言ってました。ですが、お金も返してもらえましたし、追及しないでおこうと思います」
やっぱりな、寄居の仕業だったか。
「俺はくじに当たったから、約束通り金貨10枚だ」
「でもそれでは私が得になってしまいます」
「災難が福に化けたとでも思っておけよ」
男に分け前の金貨十枚を払い別れた。
そして、馬を買う為に俺達はおっちゃんの所へ。
「馬の金が出来たので持って来ました」
「こんなに沢山、貰いすぎだよ」
「良いんだよ取っておいて」
どれぐらい渡したかと言うと、路銀と馬車の代金を抜いた残り全部だ。
馬の名前付けてやらなきゃな。
「お前は今日からシルバーだ」
「え、波久礼君。この馬、黒いよ」
「良いんだよ。はいよーシルバーって言いたいだけなんだから」
「これで歩く必要が無くなったのね」
野神達は宝くじに当たっていたそうだ。
2等の金貨300枚だ。
金を取られた男が訴えれば面白かったのに。
だが、済んだ事か。
野神達は既に出発したらしい。
さあ、馬も馬車も手に入ったし、野神達を追うぞ。




