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6,しにがみの任務の意味

 光先はふと周りを見渡す。

 大人数で盛り上がりを見せていた大広間だったが、いつの間にかあらかた神はいなくなっていた。どうやら宴は終わっているらしく今この場には光先、メイ、イザナミさんだけだった。


(あとで改めて挨拶しようかな)


 せっかく自分たちの祝いをしてくれたのにろくに話していない。かといってこれといって話すこともないがそのままでは味気ない関係。それはもったいないことと分かっているので光先は頭の片隅に入れておく。


「さて、続きを話す前に……」


 メイが話を切り出し、


「光先、こっちにいらっしゃい」


 光先をメイの膝元へ手招きしてきた。


「あら、メイちゃん大丈夫よ。光先ちゃんとっても軽いから」


 イザナミさんは光先を離さないとばかりに抱きつく。ママ、しゅきい。


「でも流石に長時間は失礼というか……」


 メイは言葉以上に表情がそわそわしている。トイレにでも行きたいのだろうか。


「ふふ。わかったわ光先ちゃんと離れるの残念だけどいってらっしゃい」

「はい」


 光先は素直にイザナミさんからメイの膝元に移る。精霊たちは名残惜しそうだ。

 座った瞬間、嬉しそうに後ろからハグをされる。そんなに自分を膝に乗せたかったのだろうか。

 背中に柔らかい大きな肉まんがこれでもかと主張してくる。そのまま吸収して自分のものにしてしまいたい。

 メイとイザナミさんは別々の柔らかさがあると光先は感じる。イザナミは言うならばザ・お母さんといった母性しかない甘さと香りがある気がする。

 メイはそれとまたちょっと違う気がする。メイも体躯故に嫌というほど柔らかさを主張するが、丁寧というか優しさがにじみ出ている。そんな気がした。


「それじゃ続き始めるわね」

「はい、なんで自分はあのように人を転生させるのですか?」

「うん、先ほど言ったように本来ならそのまま輪廻転生してまた新しい人生を送るのだけど……例外があるの」

「例外?」

「そう、例えばだけど今日転生させた子。老人と犬のために命を顧みず救った。いい事よね?」

「そうですね」

「だけどこう捉えることもできるの。命を捨ててトラックの運転手、他者に迷惑をかけたって」

「なんか飛躍してません?」

「そう。飛躍しちゃうこともあるの。それで輪廻転生の行き先は神様方が決めるのだけど一部始終を全て見ているわけではないの。ぶっちゃけ流れ作業」

「ぶっちゃけますね」

「しょうがないのよ。日本だけでもとんでもない人口がいるわけでしょ?それを神様がひとつひとつ手作業で行なっているの。もちろんしっかり精査はしているけどそれでも見落としたり抜け落ちたりする事が出ちゃうの」

「神様なのに?」

「神様でも万能ではないわ。どうして神様ってたくさんいると思う?」

「そういえばなんでだろう?」

「万能だったら神様は一人でいいわ。だけど神様も万能じゃないし、万能は目指すものであってたどり着くことはないの。神様がそうなのだから」

「万能ってなれないの?」

「だってあなた貧乳じゃない」

「……。嫌味ですか?」

「万能って何もかも全てに能力備わっていることを意味するけど、誰だって何かしら抜けているもの。逆に貧乳が長けているってなったら私が劣っていることになるわ」

「……やっぱり嫌味ですよね?」

「話を戻すけど、輪廻転生の際に転生先を正当にならないことが稀に発生するの。そこで私たちがその間違いを直していくってわけ」

「その担当をするってこと?」

「そう、それに特化した仕事、任務をしていくの。そしてそれの総指揮をしているのがイザナギさん。だからこれは一台国家プロジェクト、それほど深刻な問題だった事でもあるのだけど」

「そうなんですか?」

「やっぱり正当に評価されないって嫌じゃない?」

「それもそうですね」

「私が全ての死亡リストを確認して本当に転生先は間違っていないか、チェックしてその中から選んだ人が光先の任務の人になるの」

「それが今回の任務だったんですね」

「そう、ここで決められた未来が変わってしまうって思うかもしれないけど、そもそもこういう行動を起こしたこと自体が定められた未来なの。イザナギさんがこのタイミングで発案したことも私たちが召喚されたこの瞬間も、転生先が変わることも定められた道筋なの。もしタイムパラドックスが起こったとするならそれは世界線が変わることになる」

「???何のことを言っているんです?」

「今は分からなくて大丈夫よ。いずれ任務に慣れていった時で」

「とりあえず今のでパンクしました。宇宙が見えます」

「ここらはまだおいおいね。私もしっかり理解できたかといえば怪しいし、イザナミさん今の説明であっていますか?」

「いいんじゃないかしら。私もパパからよく言われるけどいまいちだし。難しいのよ、だから光先ちゃんが混乱するのも無理ないわ」


 イザナミさんは苦笑しながら光先を見つめる。こういう風に合わしてくれるママ、だいしゅきぃ。

 そんな心のなかのひとりごとを光先hあ考えながら、


「そういえばイザナミさんは普段どんな任務をしているのですか?」

「私?そうねぇ、イザナギ邸の面倒見担当ってのがメインよ。みんなのお世話するのが大好きだから。だから光先ちゃんも遠慮せず甘えていいんだからね」

「まま~」

「光先は絶対べったりするタイプだから私が許しません。私に甘えなさい」

「ま、まま……?」

「誰がママよ!でもあながち間違いじゃない!うーん、よしよし!」

「手荒いなでなで、ありがとうございます」

「本当にもう調子いいんだから」


 こうして女子会しばらく光先にとって天国で極楽なのち、楽しく終わった。


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