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57,しにがみは雪について女子会します

「メイは雪ってどう思う?」


 光先は毎回のごとく、任務終わりにメイのところにやってきていた。

 今日は珍しいことにクラ姉妹もいた。2人は興味津々にメイが使っている神性能ディスプレイっぽいものを見ている。ぽいというのは空間に表示してある人間世界にはまだないもので表現が出来ないから。

 そんな4名で女子会トークが始まる。精神年齢はだいぶ低いが。

 光先は今日はメイのお膝元のいるのではなく、自分がお膝元になっている。ただしくはお膝元にクラミツハちゃんを乗せている。軽くて可愛い。

 対するメイはクラオカミお姉ちゃんを同じように乗せている。

 2人して姉妹の頭を心ゆくまでなでなでしながら会話は再開する。


「雪って大変よね……少しならいいけど、少しだと子供たちは遊べないし、多ければ大人たちは除雪のために大忙しになるし」

「結構現実的なんだね」

「雪のある地域にも行ったことがあるからね。主に除雪で行ったけど」


 光先とメイが会話している時、クラオカミお姉ちゃんが何か思い出したようで、


「光先お姉ちゃん、雪って美味しかった?」

「え?雪って食べられるのメイ」


 思わず瞬時にメイにパスしてしまった。今日は任務で行ったため雪を食べようと思ったことはなかった。白くて綺麗だが、アイスのように美味しそうとは発想していない。あとはお姉ちゃんと言われるのは凄くむず痒い、凄く可愛くて嬉しいけど。

 メイは、


「うーん……食べれないわけじゃないけど、雨と一緒だから色々菌とかたくさん入ってるわね」

「そうなんだ。ごめんクラオカミちゃん、今回雪食べてないんだ」

「そっか、残念です」


 クラオカミお姉ちゃんは淡々と言っている素振りをしているが少し残念そうな雰囲気が漏れている。可愛い。

 光先のお膝元にいるクラミツハちゃんももじもじしだした。こういう時は何か言いたい合図だ。

 光先はクラミツハちゃんの頭を撫でながら、


「何か聞きたい?」

「えっと……こ、氷って本当に滑ったの?」

「氷、そういえば道にツルツルしてるのがあって、踏みに行ったら一回転したよ。氷は滑るよ」

「見てたわよー!光先何やってんのって思っちゃった!」


 光先のことを監視していたメイがけらけらと笑っている。

 クラミツハちゃんは小さく「ありがとうございます」と言ってくれた。可愛い、ぎゅーってしたくなるけど我慢我慢。

 光先は、


「メイこそ滑って転んだことはないの?」

「ありませーん、こう見えてバランス感覚優秀でしたー」

「クラオカミちゃん、本当は?」

「生前メイさんは尻餅ついてよく転んで男の人の目を引きつけていました」

「ちょっと!」


 思わぬ暴露にメイはクラオカミお姉ちゃんをうりうりこちょがして反撃している。クラオカミお姉ちゃんはポーカーフェイスを何とか維持しようと、しかしくすぐったいようで目元がうるうるしている。


(さすがけつでか大魔神)


 光先は失礼なことを考えて心の中でほくそ笑む。穏やかにクラミツハちゃんを撫でよう。この姉妹はどうかあんなダイナマイトボディにならないで自分みたいにスリムに成長してほしい、神だからそれもないが。

 メイはクラオカミお姉ちゃんのこちょがしを止めたようで、クラオカミお姉ちゃんはぜーぜーしているが、


「光先は寒いと暑いの、どっちがいい?私は寒い方が良かったけど」

「うーん……どっちも大変そうだから……」

「部屋のエアコンめっちゃ使ってそうねー、外の温度にも慣れておかないと風邪引くよ」

「自分風邪引くの?」

「体は丈夫かもしれないけど、病は気からって言うじゃない?寒がったり暑がったりが過ぎれば気持ちがどんよりするかもよ」

「そっか……でも今はクラミツハちゃんいるから、大丈夫」

「もう、調子いいんだから!」


 光先とメイいつのように会話していると、クラオカミお姉ちゃんが、


「あついって何?さむいって何?」

「この世界だと汗かかないものねー。うーん……なんていえばいいと思う光先?」

「えーと……暑いときは体がもあ~ってして、寒いときはひゅ~ってなる」

「それで分かるわけないでしょ!」


 といっても体の変化を、したことがない神様のクラオカミお姉ちゃんに説明はとても難しい。神様の世界は気温という概念がそもそもあるのか、それを説明するのは至難だ。

 クラオカミお姉ちゃんは、


「もあーって?」


 光先は先ほどの説明に付け足し、


「体の内側からもあ~ってなって暑くなって、汗が出てくる」

「?」

「光先、オカミちゃんが混乱してるじゃない!えっとねオカミちゃん、怒ったことはある?」

「妹がはぐれた時なら」


 それを聞いてクラミツハちゃんはビクッと体を強張らせた。きっと、その時のお姉ちゃんは怖かったのだろう、光先はよしよしする。

 メイとクラオカミお姉ちゃんは話し続け、



「その時体、かーって熱が上がるように感じなかった?」

「言われてみれば……それが暑いなの?」

「うん、そんな感じ。逆にびっくりして寒気がしたことはなかった?」

「妹とはぐれた時」


 またクラミツハちゃんがビクッとする。きっとミツハちゃんもはぐれてしまった時心細かったに違いない、光先はよしよしする。

 話は続き、


「体の内側から縮こまるような感覚が寒いと似てるのよ」

「そうなんだ、ありがとうございますメイさん」

「これからもなんかあったら聞いてね、特に向こうの世界について答えられると思うから」


 優しい雰囲気を出しているメイに光先は、


「そういえばなんで寒い方がいいの?」

「だって寒ければその分着込めば済むし、余計に露出しなくて済むし」


 そう言いながら自分の胸を見るメイに光先は、


「けっ!」

「悪態つくじゃないの!」


 光先はクラミツハちゃんをそっとお膝元からおろし、すぐにその場から逃走を始める。

 それを血相変えて追いかけてくるメイ、イザナギ邸の中は広い追いかけっこをするなら十分に楽しめそうだ。

 そして2人はイザナミさんに見つかり、主にメイがこっぴどく怒られた。

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