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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

依存の行方

作者: 鮎喰夢

刺激的な内容になっていますため、苦手な方はご遠慮ください。


初めまして。

鮎喰夢あくいゆめと申します。

この度は、わたくしの小説を開いて下さりありがとうございます。

個人的な話ではありますが、

私が小説書き始めたきっかけについて少しお話ししようと思います。

私は映画鑑賞が趣味で休日には必ず、ビデオを借りに行って家で映画鑑賞をしたり

映画館で新作を見たりしています。

映画製作の就職も考えましたが、いろいろと調べていくうちに私は制作側ではなく創作側に回りたいと強く思いました。

そこで小説を書きたいという経緯になりました。

制作様のお仕事にいつか私の小説が加わることを願い小説を書きたいと思います。

拙い文章ではありますが、最後までお読みいただけると幸いです。

ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

 私の家族は偽の家族だ。

両親は妹にしか興味ない。

それもそうだ、なぜなら私は養子だから。

どこの養子家族もそうではない、ということは分かってる。

でもだからこそ辛かった。

実の家族に捨てられ拾ってくれた人達は妹ができると興味も示さなくなった。

高校には恥ずかしいから、と行かせてくれたが大学は行かせてもらえなかった。


 高校を卒業して就職をした。

有名などではなく平凡なひたすらデータを入力するだけの会社。

高校時代はお小遣いも貰えない、バイトもさせてもらえなかったことから

メイク道具が買えずすっぴんで過ごしてたため、彼氏ができたことがない。


 そして入社して5年が経った。

新人が入ってきてから半年。

ある日、新人社員のまいちゃんに

佳乃よしの先輩!今日合コン行きませんか?」

合コン?同じ部署の男の人としか話したことがない私が?

「む、無理無理無理!!!!!」

「大丈夫ですって!いるだけでもいいので!エリートの集まりで…

私を助けると思ってください!お願いします!!」

舞ちゃんは日頃から真面目で素直で私も嫌いじゃなかったため、受け入れた。

「今回だけなら…」

でも、服どうしよう…


 結局服やメイク道具を揃えられず、30分前になった。

「佳乃先輩~!行きましょう!」

え、ちょっと待って

舞ちゃんはもちろん他の女の子2人も鎖骨と肩が見える服装でメイクがばっちりだった。

「あの舞ちゃん、私すっぴんだしスーツのまま…」

「大丈夫です!そっちのほうが好きな男性も多いですよ!」

この言葉に安心したのが間違いだったのかもしれない。


 店に入るとすでに男性4人組が待機していた。

私たちも席について自己紹介を始めた。

男性から順番に始まり最後は私だった。

「佳乃です。社会人5年目で彼氏ができたことはありません。」

「え、5年目って今何歳ですか?」

「あ、高校卒業と同時に就職したのでまだ23歳です。」

「え、それって大学でてないってことか!」

「あ、あれじゃない?毒親的な笑」

「見た感じすっぴんだしスーツって…」

男性陣3人にいろいろ言われて恥ずかしくて帰ろうとしてた時、

「やめろよ、せっかく来てくれたのに雰囲気壊すこと言うのよくないぞ。」

1人だけ守ってくれた人がいた。


 席替えをして守ってくれた男性が隣の席に座った。

「あの、さっきは同僚が失礼なことをすみません。俺、康太こうたです。

不動産関係で働いてて歳は22歳です。俺も彼女出来たことなくて緊張してて…笑」

「佳乃です。同じなの嬉しいです」

周りのことすら見えなくなるくらい2人で話してると解散の時間になった。


 合コンから1ヵ月が経った。

この1ヵ月は仕事をするのが楽しかった。

理由は

「佳乃さん!おはようございます。今日も一緒に頑張りましょうね!」

そう、解散の時康太くんが連絡先を交換しようと言ってくれて

そこから毎日連絡をしてくれる。

「康太くん、おはよう。頑張ろうね(^▽^)/」

自分でも絵文字なんて痛いのは分かるが、活力になってくれているため浮かれずにはいられない。

「今日ご飯行きません?」

突然の誘いに舞い上がって即返信してしまったが、私でいいんだろうか…


 「佳乃さん!」

私の職場まで迎えに来てくれた康太くんと一緒に、予約してくれたお店に向かった。

初めて来たおしゃれなお店に緊張して話せずにいると

「俺、こういうお洒落なところ予約したのも来たのも初めてで緊張してます。」

「わ、私も…!」

思ってても馬鹿にされると思って言えなかったことを康太くんは伝えてくれるため、

とても話しやすかった。

時間は一瞬で過ぎて今日は解散することになった。

「佳乃さん、今日楽しかったです。また会ってもらえますか?」

「私もです。ぜひお願いします。」


 あれから1週間に1度会うようになって私たちは自然と付き合うようになった。

休みの日に会って食事をしたり、映画を観に行ったりした。

学生時代夢見ていたことが出来て嬉しかった。

康太くんは敬語をやめて気軽に話してくれている。

「佳乃さん、俺たち同棲しない?佳乃さんの部屋広いよね?」

2人で家を借りるなら分かるけどなんで私の家?

嫌われるのが怖くて、その疑問を問うことなく私は受け入れた。


 朝起きて康太くんが隣にいる生活、毎日私の家に帰ってくる安心。

幸せに思えていたのに、‶ある日"をきっかけに全てが消えた。


 その日は私たちが付き合って1年記念日の日だった。

私は定時で上がらせていただき、ケーキを買って家に帰った。

ご飯をいつもより豪華にして、康太くんが欲しがっていたヴィトンの財布を用意して帰りを待っていた。

時間は22時。康太くんの仕事終わり時間は21時。

ピロンッ♪

「ごめん、佳乃さん。今日仕事でトラブルがあって遅くなる。」

仕事なら仕方ないよね。

今日は記念日だし起きてようかな…

それから0時を過ぎても連絡が来ることはなかった。

事故ってたら大変だし、などと言い訳をつけて外に出る準備をした。

もし、この時迎えに行かなかったら?先に寝ておけば?


 職場は歩いて30分の所にある。その間周りの道は遠回りになるため、まっすぐ来た。

数人横を通り過ぎたが、康太くんではない。

…あれ?

職場は完全に電気が消されていて人ひとりいる感じがしなかった。

プルプルプル…

康太くんの電話は繋がらないしメールの返信もない。

何してるの?誰といるの?


結局その日康太くんは帰ってこなかった。


 次の日

「佳乃さん、ごめんね。昨日夜中まで仕事続いて起こすのも申し訳ないからホテルに泊まった。もう仕事辞めたいよ…。今日もまっすぐ会社行くね。」

昨日は1年記念日で待ってたんだよ。

夜中って何時?0時には誰もいなかったよ。

私は気になって、有休を使い康太くんの職場に行くことにした。

大丈夫、2人で快適に住めるくらいの家を探そうと思って言えばいい。

職場につくと合コン居た失礼な男性がいた。

ガチャッ

「あの、康太くんいますか?」

「え?あー合コンにいた!康太昨日から1週間有休使ってますよ。」

有休…?もちろんそんな話聞いてないし、昨日も今日も仕事って言ってた。

「どこにいるか分かりますか?」

「いや、あの。教えるわけないっすよ。」

「私康太くんと付き合ってるんです!」

「え?いやいや…康太、あなたに合コンの時から付き纏われて困ってるってずっと言ってますよ。」

どういうこと?

アプローチをしてくれたのも同棲の話を出したのも康太くんからなはず。


 私は康太くんの職場から逃げるように家に帰った。

私と康太くんは付き合ってなかったの?

私が康太くんに付き纏っていただけ?

毎月の記念日を楽しみにしていたのは私だけ?

…そうだ、確かに毎月記念日の時プレゼントを渡しても

「何かいいことあったの?」と言われていた。

そんなことって…

康太くんに連絡をしてみることにした。

「康太くん、今職場に行ってきたの。そしたらね、康太くんが私に付き纏われて困ってるって相談してきたって言ってる人がいて。ありえないよね?私たち付き合ってるよね?」

返信はすぐに来た。

「は?職場って俺の?今日仕事じゃないの?」

「有休が溜まってたから康太くんとの家を新しく探そうと思って康太くんの所に行ったの。」

「何してんの。普通にあり得ないから。」

どうして私が怒られてるのか、質問に答えてくれないのか。

「そんなことより、質問に答えてよ!付き合ってるよね?」

しばらく未読のままになっていたため、私も携帯を閉じた。

ピロンッ

鳴ってすぐに携帯を開くとそこには康太くんの言葉とは思えない程の言葉が書かれていた。

「職場の人に聞いた通り。家賃も食費も出してくれて寝床も用意してくれて便利だったから、一緒にいただけ。誰が本気になるか。24にもなってすっぴんで恥ずかしくないの?ぶす。」

私はしばらく放心状態だった。

確かに康太くんの役に立ちたくて5年間貯めてたお金があるから私が全部出していた。

そういえば康太くんが手を出してくれたのは1度もない。

大事にしてくれている。そう思っていたのに、抱く気にもなれなかったってことか。


 私は、仕事をする気にもなれず1週間ほど無断欠勤をしたためクビになった。

そんなことどうでもいい、いつか康太くんから連絡が来るかもしれない。

康太くん、康太くん

私は24時間康太くんのことが頭から離れなくなっていた。


 2ヶ月経っても康太くんから連絡が来ることはなかった。

もう、生きている意味がない。

死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい、死にたい。

いつしかそんな感情で頭が埋まっていた。

私は本気で康太くんのことを愛してる。

康太くんはもう違う人の所に行っているのかもしれない。

そんなこと、許さない。


‶‶‶‶‶一緒に死にたい"""""


 「康太くん、大事なもの家に忘れてるよ。いつでもいいからそれだけ取りに来て。」

私はそのメッセージだけ送って買い物をしに行った。


行先はホームセンター。

粘着力のあるガムテープ3個、練炭入りの七輪を5個、チャッカマンを購入した。

1か所で買うと疑われると思い2,3軒回って揃えた。

ピロンッ

「明後日の22時に行く。」

ブロックしてなかったんだ。

もう、嬉しいとかそういう感情はなかった。


 ネットで買った睡眠薬5袋が届いた。

康太くんが来るのは明日。

今日は試しに睡眠薬を使って眠ることにした。


 薬の効果はすごく5分もしないうちに眠りにつけた。

こんなもの売って犯罪が起きたらどうするつもりだろう。

まぁ、私も犯罪のために使うからこんな心配してる場合じゃないよね。


 21時になった。康太くんの仕事が終わった頃だろうか。

今となっては本当に21時終わりなのかも分かりかねる。

今日が最後の仕事なんだし残業してもいいのに、なんて思っているうちに

22時になって家のチャイムが鳴った。

ピンッポン

ガチャッ

「久しぶり。物渡してくれる?」

「中まで入ってきなよ。」

私の招きに渋々康太くんが部屋の中まで入ってきた。

「今お茶出すから」

「いや、あのさ明日も仕事だし早く帰りたいんだけど。」

明日なんて来ないっていうのに。

もう私に興味ないと完全にわかると殺してやりたい。という

殺意が急激に高ぶってきて今すぐ刺し殺したいと思った。

でも、私が康太くんを殺すなんて無理、

先に1人だけ死ぬなんて許さない。

一緒に死にたい。

限界まで殺意を押し殺して私は睡眠薬2袋入りのお茶を康太くんの前に出した。

「そういわないで。喉渇いてるでしょう。飲んでる間に持ってくるね。」

私は、康太くんがお茶を飲んでいるのを横目に見ながら練炭を準備した。

「あのさ、この間はひどいことを言ってごめんね。」

なに?今、謝ったの?

「俺も仕事で疲れててさ変なこと言っちゃってごめんね。」

「……じゃあ、私のこと好き?」

本心じゃなかったのかもしれない。

思ってないことをストレスから言ってしまったのかもしれない。

それで、謝るに謝れなかった?

そうであってほしい。今やろうとしてることをしなくて済むかもしれない、期待をした。

しかし、康太くんの口から出た言葉は、

「ごめん、好きじゃない。」

そういって康太くんは眠りについた。

「康太くん?ねぇ、聞こえる?」

「沢山傷ついたんだよ。初めての彼氏で、私を初めて愛してくれる人がいたって。そう思ってたのに全部うそだった。なんでそんなにひどいことが出来るのかな?愛してたのに!」


 私は、怒りと悲しみに任せて部屋中の隙間にガムテープを2重で張り付けた。

康太くんの足を揃えてガムテープを巻き付け、引き摺って今日のために買い替えた敷布団に寝かせた。

練炭を部屋の四つ角、真ん中に置いて軍手を付けて火をつけた。


「出来たよ。康太くん。」

私の左手首を康太くんの右手首にくっつけてガムテープで固定した。

私たちが離れないように。

ずっと一緒にいられるように何周も巻き付け

自由な右手で睡眠薬をのんだ。


 体がふわふわしてきて次第に意識が遠のく感覚があった。

私は隣で眠っている康太くんに伝えた。



「来世でも、一緒に幸せになろうね。」





END

この度は、依存の行方をお読みいただきありがとうございます。

親からの愛情をもらえなかった佳乃が1人の男性康太に惹かれていく物語になっています。

康太はなぜあのような嘘をついたのか、心中が出来て佳乃の物語はハッピーエンドだったのか、

今となっては聞くことが出来ません。

読む人の考え方によって物語の結末の感情が変化する、というのが小説の面白いところだと思います。

皆様は、お2人の内に秘めている感情をどう捉えますか?

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― 新着の感想 ―
[良い点]  自身の物語に感想を書いていただいた方から伝って来ました!  佳乃が最後に手と手をガムテープで繋いで心中するのは好きという感情からなのか、そういったものを通り越した依存というものの表れな…
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