表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】皇帝陛下の御料理番  作者: 佐倉涼@5作書籍3作コミカライズ
まじないの飴

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/118

とりあえず報告だ①

 都で襲撃してきた刺客といえば、凱嵐(がいらん)を暗殺しようとして小鬼まで使役していた物騒な奴である。 

 そんな人間が天井裏にいて、先程の話を聞いていたというのか。


「……不味くないか?」

「やっぱりそうにゃの?」

「うん」


 皇太子毒殺の罪で処刑されたはずの御料理番頭が、実は生きてこっそり子供を産んで育てていて、しかもその娘が天栄宮(てんえいきゅう)で御料理番頭をしていて、おまけに先代皇帝の影衆(かげしゅう)と繋がりがある、などと知られたらどう考えても一大事だ。

 場合によっては紫乃までも暗殺対象になるだろう。

 青ざめる紫乃を見て花見はしゅんと耳を垂らしながら申し訳なさそうな顔をした。


「ごめん、紫乃。もっときっちり留めを刺したか確認するべきだったにゃあ」

「いや、あれだけボコボコにしたらもう動けないと思うのが普通だろう」


 あの時、花見は馬乗りになって刺客が気を失うまで殴り続けていた。花見の打撃はかなりの威力があるので、まさかこんなに早くに復活するなどと考える方がどうかしている。


「どうする? 逃げる?」


 花見の提案は理にかなっている。天栄宮は警備が厳しく至る所に護衛が立っており、天栄宮を出入りする時には勿論、御殿に入る時にも身分証を見せなければならない。

 しかし妖である花見なら警備の眼など容易く潜れるし、隙をついて紫乃一人くらいならば簡単に宮の外へと連れ出せるだろう。

 命が惜しければさっさと逃げ出し、追手のかからない雨綾(うりょう)から遠く離れた里まで行けばいい。

 だが。


「うーん……今はまだ、ここを出たくない」


 母に関する事でまだ謎が残っているし、凱嵐が調べてくれると言っていた。御膳所の居心地も良いし賢孝(けんこう)とも美梅(みうめ)とも和解したばかり。

 今すぐに逃げるというのは紫乃にはできない選択だった。


「とりあえず今の出来事を凱嵐に報告しよう。悪いけど花見、行って来てくれないか」


 花見一人ならば警備が厳重な寝殿にも潜り込めるだろう。そう思って紫乃が頼むと、花見は快諾する。


「わかった。じゃ、行くにゃ」

 花見は言うと、紫乃の腰の辺りを抱えた。

 え、と思っているうちに欄干に足をかけ、開けっぱなしの窓から外へと飛び出す。

 突然すぎて対応できなかったが、ぶわりと風が全身に吹きつけ、四階建ての宿舎から落ちているのだと実感した。

 花見は全く危なげなく紫乃を抱えたまま庭に着地すると、軽快に走り出した。その余裕ぶりからは、とても人一人抱えているとは考えられない。


「花見、なんで私も連れて行くの!?」

「え……だって、一人にしておいてあの刺客が戻ってきたら困るにゃあ」


 花見は至極当然のように言う。


「ワテがいない時に襲われたら、守れないにゃあ。ずっと一緒にいた方が安心安全。しばらくは側を離れないようにする」

「おぉ……」


 こうなってしまったらもう紫乃に花見を止める術はない。花見は結構頑固なところがあるので、言い出したら聞かないのだ。


(仕方ない、気がすむまで花見の好きにさせよう)


 それにいてくれるなら、これほど頼もしい味方はいないのだし。 

 そう思った紫乃は花見に抱えられたまま、夜の天栄宮を皇帝のいる寝殿に向けて進むのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


皇帝陛下の御料理番
1月25日発売!!



画像タップでKADOKAWAメディアワークス文庫詳細ページへどうぞ!

書籍版は大幅改稿によりより面白く読みやすくなっております。
“皇帝陛下の御料理番1
― 新着の感想 ―
[一言] 真っ暗な屋根裏を妖怪から逃げ切るって、、、どんな人外さ
[一言] 花見にタコ殴りにされた刺客。死んだとばかり思ってた。 その場面をもう一度見返してみたら。動かなくなった刺客を、その後どうしたのか、何も書かれてなかったけど。捕縛せず、あのまま放置していたの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ