死にたがり少女は消えてしまいたい
少しずつ加筆と修正をしていきます。
何かアドバイスなどあれば是非お願いします。
えぐっ、えぐっ、
くすんくすん。
子供の手葉が鮮やかな赤に染まる紅葉咲き乱れる季節。
とある山中にて長い髪の幼女が蹲った体制で、目元から涙を流しながら犬か猫のように嗚咽を出している。
少女の前に敷かれたスケッチブックの中には角を生やした人のようなものや、背中から羽を生やした妖精や喋る花らしき絵。
それ等がクレヨンやカラーペン、色鉛筆など様々な色彩文房具にて子供らしい稚拙な絵で描かれている。
そしてその幼女の前にはふよふよと謎の黒い火の玉―――鬼火が浮いており、幼女の周りをくるくると右へ左へと右往左往しているではないか。なぜこんな場所に鬼火などという摩訶不思議なモノがあるのかということを気にせず、少女は顔を俯かせたままポツリと、
「・・・みら、れ、た」
震える声で一言こう言い放った。
さて、何を見られたのか。鬼火は疑問に思い聞き返す。
『何が視られた。』
「・・・・え。」
『・・・え? この絵か?』
そう言って泣き病む気配が一切ない彼女。火の玉は見られた絵らしきモノ、つまり今己らの前に置かれたスケッチブックに視線を落とす。鬼火は絵心というものがよく分からないが彼女が描いた絵はやはりどこか子供っぽい、言うならば可愛らしくも平凡といった所だろうか。5才6才児が描くものは稚拙なモノで当り前だろう。
『…何かまたいじめでもされたか?』
「!!」
問いかけた瞬間幼女の肩が分かりやすいくらい大きく震える。
『当たりか』
「・・・・え、かいて、た、ら。・・そ、の。とら、れ、て。」
『馬鹿にでもされたか。』
「・・きもち、わる、いっ、て」
思い出すだけで辛いのだろう。一向に火の玉の姿を見ないよう彼女はずっと目線を下に落としたままだ。
鬼火は溜息も眉を顰めることはできないが思考の海へ身を落とすことはできる。このままでは彼女はまた自分の方ばかり責め立てをして、己に害を加えた者を憎むという行為すらしないしする勇気もないのだろう。この子供はおそろしく自身の肯定力が低いかつ優しすぎる。そこが美徳という考えもあるのだろうが鬼火からしたらそれは糞ッタレだと断言する。
優しいは兎も角この子供の場合加えて自己肯定力が低いというのは、自分自身で心臓に刃を刺すのと同じ。
ニンゲンの世の中で生きていくにはしんどいだろう。
「・・・うぐ、えっ、く。わた、し」
『ん?』
「・・・に、げ、んじゃ、ない。・・・とも、だ、ち、ほし、い」
『・・・・・。』
「ひの、たま、さん。みたい、な。・・・この、え、みたい、な。」
スッ、と子供は自分が描いた黒い鬼の絵を指でなぞる。
「ひの、たまさん、がいや、とか、じゃないの。…た、だ、その。・・・ちゃん、と、かお、みえたり。あくしゅとか。そんなこと、ができれ、ば、いい、なっ・・・・て」
『・・・・・・。』
「ふつ、の。まわ、りのこ、みたいに。だれ、かとあそび、たい」
自分の気持ちをはっきり言ったせいか涙が落ち着く。子供は俯いた顔をようやく上げ、涙を落としてシミを作ってしまったスケッチブックを畳んで両腕の中へしっかりとしまってしまう。
『―――なら、少し待ってろ』
「?」
『そうだな――…、俺がもう少し力をつけて、お前が今の受け身の状態を脱せてなかったら、な』
ケケケ、と鬼火は無邪気に笑う。笑う、という表情はもちろん分からないが子供は鬼火がどこか楽しそうだというのは分かった。
『決めた、俺が椿の、テメェの願いを叶えてやるよ。だから―――――』
【その時は俺の願いを聞いてくれ】
―――――――――【始まり】