プロローグ
恐らく初めまして、夜真です!
毎日投稿したいとは考えていますが、二日に一回程の投稿になるかと思います。それでも、読んでくれたのなら幸いです。
個人的にジャンルの区分けが難しく、途中で変更する場合があるかもしれません。勝手ながら、ご了承ください。
もし、指摘、感想等あれば遠慮無くお願いします!
あぁ、もういいや。
今までの未練が、殆ど一瞬にして吹き飛んでしまった。
そうなってからはとても早かった。
その日の次の日。つまり今日……、私は何も遮る物の無いなか、学校の屋上からオレンジ色に染まりゆく街を見渡している。
昨日までにやるべき事は殆どやった、と思う。むしろ、やるべき事でも無いこともやってしまった。
昨日書いた遺書を引き出しに入れておいたし、数人の知り合いにも時間設定で登録したメールを打ってある。
あとやるべき事ではないけれど、選択や洗い物、掃除とか、いつもしないような家事を殆どやった。
お母さんには、いきなり親孝行的なことをしたと思われて、勘付かれたかもしれないけど、しょうがない。
出来る限り周りの人に迷惑をかけたくないし、目立ちたくもない。
そんな人生を十六年間、私は送ってきている。
少し強めの風が吹き、自分の黒くて長い髪が大きく揺れる。
やっぱり、少し邪魔だ。
後ろ髪は背中の真ん中あたりまで、前髪は目を覆うくらい伸ばしている。
半分くらいの長さまで切っておけば、良かったかな。
でも、私にはこれが合っていると知っている。
目を隠し、表情も隠せるこの髪型は。
ふと、空を見上げる。そこには、橙色と藍色で染まる、美しい景色が広がっていた。しかし、雲一つ無いというのに、星は一つも見えない。
「私の人生って、なんだったんだろうな」
ぽつり、と他の誰かに聞かせたい訳ではなく、ましてや、自分自身に言い聞かせたい訳でもなく、呟いた。
私の今まで生きてきた十六年間、全てが無駄だったとは思わないけれど。
有用性があったとは、到底思いがたい。
自分の体温で生温くなってしまった柵から背を離し、半歩踏み出して下を窺う。
授業が終わってから二時間以上経っているのに、やっと帰る生徒がちらほらといる。
歩いているこの生徒達のうち、何人が自分の生きる意味を分かっているのだろう。
そして……、学校全体の中に生きる意味を持っている人は一人でも居るのだろうか……。
さらに半歩踏み出すと、つま先が宙に浮いた。
少し、怖いな。
でも決めたことだ。
そう考え、心の中のある一つの感情を強く、抑え込む。
そして、少し体を前に傾ける。
ほんの少し、飛ぶ。
後ろの方で音が聞こえた気がした。
何だろう?
いや、何でもいいな。
もう、落ち始めてる。
未だに心の中で荒れ狂う、一つの感情をより強く、押し殺す。
「助けて」と叫ぶ、私自身の心の声を。
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