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25話 プレゼント

「ちょっと二人とも遅いわよ!」


「ごめん、ごめん!色々見てたら遅くなっちゃった」


急いで待ち合わせ場所に向かった僕とラルムだけど、少し遅れてしまって、結局サーシャを怒らせてしまった。


「サーシャも…買い物を楽しめたみたいだね」


サーシャを見ると、別れる前に比べて、ネックレスやら指輪やら色んなアクセサリーが増えていることに気づいた。


「そうなの!やっぱりコンカルノーの装飾品は一味違うわね!

エルラドで手にはいる装飾品より、きらびやかで繊細な造りなのに、エルラドで買うより安いときたんだもの!

これは買えるだけ買わないと損ってもんよ!

あー、魔法使い科首席で卒業してよかったわ!」


そう言って、買った装飾品達をうっとりと眺めるサーシャ。

サーシャが買ったものに比べて、僕が買った髪飾りは質素な造りで豪華さに欠けている。


サーシャに喜んでもらう自信が一気にしぼんでいくのを感じ、僕は髪飾りをポケットから取り出せずにいたのだった。

…うん、やっぱりあげるのやめよう。こんな安物じゃきっとサーシャには似合わないし。

お互い、気まずい思いをするだけだ。


そう考えて、サーシャに、気に入ったものが買えてよかったね。と声をかけて終ろうとしたその時、


「おい、セオ。何尻込みしてんだよ!お嬢ちゃんに渡すもんがあるんだろ?」


そんな僕を見かけたように、ラルムが僕を小突きながらそう声をかけてきた。


ラルムの言葉に、ちょっと!ラルム、余計なこと言わないでよ!と慌ててラルムの口を塞いだ僕。

けれど、無駄な抵抗だったようで、サーシャは、渡すものって何よ?と僕にそう話を振ってきたのだった。


「あー、えーっと…これ…なんだけど」


観念した僕は、ポケットから髪飾りの入ったラッピング袋を取り出し、サーシャに手渡した。


サーシャは、ほんの少し頬を赤らめながら受け取ると、開けてもいい?とちょっと恥ずかしそうな声でそう話しかけてきたのだった。

僕がコクリと頷いたのを見て、サーシャはリボンをほどき中身を取り出した。


手のひらにのる2つの髪飾りを、ただ無表情に見つめるサーシャ。

そのリアクションに不安になった僕は、あれこれ矢継ぎ早に言葉を口にした。


「いや、あの…ほら、サーシャにはいつもお世話になりっぱなしだから、何かお礼がしたいなと思って買ってみたんだけど…、僕あんまりお金ないし、サーシャが買ったものみたいな豪華なもの買えなくて…。気に入らなかったよね。やっぱり返して…」


「つけて」


「…え?」


サーシャはそう言うと、プレゼントした髪飾りを僕に手渡してきた。そうして、自分がしていた髪飾りを外して、僕に背を向けたのだった。


「アンタがくれたプレゼントなんだから、アンタがつけてよ。」


「え…使ってくれるの?」


「いいから、早く!」


「あ、はっはい!」


サーシャにそう言われ、急いで髪飾りをつけてあげる。髪飾りなんてつけたことのない僕は、手間取りながらも何とか両方つけてあげることに成功したのだった。


「どう?似合ってる?」


「え…あ、うん。僕は似合ってると思うよ」


「何よ、その煮え切らない返事は。自分で選んだんでしょうが」


僕の返事に、不満そうにほおを膨らませて、サーシャはこう言葉を続けた。

そんなサーシャに慌てて言い訳をする僕。


「いや…だって、サーシャが選んだものよりは安いから、似合うなんて言ったら、こんな安物が似合う女ってこと?とかサーシャに思われちゃうんじゃないかと思ってさ」


「バカね。アンタが選んでくれたことに価値があるのよ。それに、シンプルだけど、とても素敵なデザインだわ。きっと職人さんがひとつひとつ丁寧に作った作品なんでしょうね。ありがとう。大事にするわ」


そう言って、髪飾りに手をかざして微笑むサーシャ。そんなサーシャのうれしそうな顔に、僕は顔をほころばせながら、気に入ってもらえたならよかったよ。とそう言葉を返したのだった。


「ほら、これ」

今度はサーシャがそう言って、僕にそっけなく、つつみを渡してきた。


「えっ!僕にくれるの!?」


「…何よそのリアクションは!私がアンタに贈り物するのがそんなに意外なわけ?失礼しちゃうわ!」


「だって、今まで一度も僕にプレゼントなんてくれたことなかったじゃないか」


「そうだったかしら?まぁ、いいから開けてみなさいよ」


サーシャにそう言われて、つつみを開ける僕。

中には黒い雫型の石の飾りが付いたネックレスが入っていた。


「これはね、黒水晶よ。魔除けの石と呼ばれているの。そこに魔除けの魔法もかけておいたわ。アンタのこの先の無事を願ってね。いい?肌身はなさずつけておくのよ、わかった?」


「サーシャが僕のために、わざわざ魔除けの魔法まで…!ありがとう!大事にするよ!」


そう言って首にかけた僕を見たサーシャは、満足そうに頷いたのだった。


「…ところで、セオは髪飾りについてる月長石の石言葉は、知っていてプレゼントしてくれたの?」


なぜだか頬を赤らめて、そう改まって僕に聞いてくるサーシャ。

そんなサーシャを不思議に思いながら、僕はこう言葉を返した。


「うん!月長石って旅の安全を願って贈る石なんでしょ?ラルムが教えてくれたんだ」


僕の返しにガクンと呆れたように項垂れたサーシャ。


「あぁ、そっちの意味ね…。アンタってばほんと、紛らわしい事するわね!」


「えっ…!どういう意味?他にも石言葉があるの!?教えてよ!」


「しらなーい!自分で調べたら?ほら、せっかくだから、始まりの勇者と魔法使いの像をちゃんと拝みに行くわよ!」


「えー!サーシャのけちんぼー!」


僕とサーシャはそんなことを言い合いながら、始まりの勇者と魔法使い像の麓へ歩み寄ったのだった。


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