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20話 決着

「見えました!あれがテトラ川でさぁ!」


サムの指差した方向には、狭い谷間を縫うように流れる、テトラ川が見てとれた。


「お前ら、よく耐えた!後の防御は俺に任せろ!」


ラルムはそう言うと、屋根の上で大きく飛びはね、息を目一杯吸い込み始めた。


するとテトラ川の水がみるみるうちにラルムの体へ吸い込まれ始めたのだ!


川の水分でみるみるうちに巨大化していくラルム。

やがて、はち切れんばかりの豊満ボディになったところで、ラルムの体は、パチンと水風船が弾けるような音を立てて、勢いよく破裂したのだった。


「ラルム!?」


「ちょっと!大丈夫なの?」


そう口々にラルムを心配する言葉を尻目に、ラルムはこう言葉を続けたのだった。


「心配いらねぇよ!待たせたな!防御の準備は万端だ!行くぞ、ウォーターシールド、発動だ!」


その言葉を合図に、弾けとんだラルムの体の水分は、拳大の大きさにより集まり、無数の水の塊となり宙を浮き始めた。


そして、驚いたことに、火燕カエンが攻撃を繰り出す度に、水の塊が自動で攻撃を相殺していったのだ!


火炎放射の攻撃には、濁流のような水圧で水を飛ばして相殺し、電光石火を仕掛けてくる火燕カエンには、水は球体のまま火燕カエンを包み込み、そのまま火燕カエンを閉じ込め轢死させていっている。


「本当に水辺では最強じゃないか!すごいよ、ラルム!」


僕の言葉に、ラルムは少し辛そうな顔をして、こう答えた。


「この技は、水があればあるだけシールドを増やせるが、その分魔力消費が半端ねぇんだ。この数の敵の攻撃を防ぐのは、そう長くは持たねぇ。早くボスにとどめをさしてくれ!」



「分かったわ!セオ、あまり時間はかけられないわ。こうなったら、より威力の上がる、連携技で決めるわよ!

一発で仕留めるために、魔力を貯める時間がほしいわ!

少しのあいだ時間を稼いでちょうだい!」


「わかったよ、サーシャ!」


そういった僕は、魔力をこめ、体に風をまとわせて、浮上した。火燕カエン達の後方を陣取っているボスに近づくためだ。


「やい!このデカブツ!僕が相手だ!くらえ、クロス切り!」


そう言ってボスに技を仕掛ける。

僕が放った風の刃を、ボスは避けようとしたが、広範囲に広がっているため、避けきれず、かすったようだった。

普通の火燕カエンなら、かすっただけでも致命傷となる威力なはずだか、


ボスはその体を分厚い皮下脂肪が覆っているようで、それが威力を分散させているのか、ダメージをそこまでうけてないようだった。


僕の攻撃に怒ったのか、ボスはガァーガァーとけたたましい鳴き声をあげながら、僕に向かい火炎放射を放ってきた!


すかさず、風を体にまとい、攻撃が馬車の方へ向かわないように注意しながら、すばやい動きで火炎放射をかわした僕。

間髪入れず、僕もボスへクロス切りを放つ。


クロス切りはあたったものの、ボスは怯むことなく今度は電光石火を仕掛けてきた!


…ヤバい!あんな巨体に体当たりされちゃ、一発で戦闘不能になってしまう!


「ムリムリムリ!あんなの受けきれない!うあわぁぁぁ!来ないでぇ!!」


慌てた僕は、死に物狂いで何とかボスの攻撃を避けきった。…はぁ、心臓止まるかと思った…。


「ちょっと!情けない声出してんじゃないわよ、全く!そら、私の方は準備できたわよ!あんたも早く体制整えなさい!」


「助かった!…よし!大丈夫だよ、サーシャ!行くよ!」


僕の掛け声にあわせて、サーシャは杖を振り下ろし、僕の聖剣に向かい、スパークを放った!


僕は両手にもった聖剣をクロスにして天にかざし、サーシャが放った雷を一身に受けた。

バチバチと雷をまとい、まばゆい光を放つ聖剣に、今度は僕自身の魔力も込める。


聖剣をおおっていた雷の電流がさらにバチバチと大きな音を立てて、僕のからだ全体を覆い始めた。

「これで仕舞いだ!くらえ、連携剣魔法、迅雷じんらい!」

僕はそう言い放つのと同時に、トップスピードで、ボスに向かい斬り込んだ!

僕のスピードに反応できなかったボスは、なす術もなく僕の斬撃を一身に受けたのだった!


しばらくの沈黙の後、ボスの体は上下に真っ二つに別れてそのまま地面に向かい沈んでいったのだった。

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