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15話 鉱石ロード

「俺たちの荷車は、コンカルノーの東の外れにある、鉱山の村、テトの村の付近で足止めをくらってる。


 テトの村は、テト鉱脈の麓に作られた村で、コンカルノーで消費される鉱石は、ほとんどここの鉱脈から運ばれてるのさ。」


 ウェイドはそう言うと、カウンターの上に大陸地図を広げ始めた。そうして、コンカルノーの東にある小さなテトの村を指さしたのだった。


「テトの村からコンカルノーに繋がる道は、鉱石ロードと呼ばれている、テト鉱脈の谷間を抜ける狭い獣道しかねぇんだが、そこに火燕(カエン)と呼ばれる鳥形のモンスターか巣を作っちまったんだよ。


 火燕(カエン)の巣の付近を荷車が通ろうとすると、やつらが束になって空から襲ってくるもんだから、荷車はとてもじゃねぇが鉱石ロードを通ることができやしねぇ。その巣が作られた所は丁度この辺りさ」


 その言葉に続いて、ウェイドは、テトの村を指してた指をツツツと滑らし、丁度テトの村とコンカルノーの中間辺りを指さしたのだった。


「じゃあ私たちは、その火燕(カエン)から荷車を守り抜けばいいのね!」


 サーシャの言葉に、ウェイドは頷くとこう言葉を続ける。


「そう言うことさ。親父たちが増援に向かったのもあり、荷車はテトの村には戻らず、谷間で一晩を過ごしたらしい。


 鉱石ロードは険しいからな。引き返すのも一苦労なのもあって、このまま待機した方がいいと、現場は判断したみたいだ」



「こんな険しい谷間で一晩も……。これは早く助けにいってあげなくちゃ! サーシャ、問題の場所まで、移動魔法で飛ぶことは出来そうかい?」


 僕の問いに、地図を食い入るように見つめながらサーシャが言葉を返す。


「そうね、緯度と経度が分かれば、ある程度近くまで飛ぶことは出来ると思うわ。


 だけど、わたしが使える移動魔法は、人間と、その人間が装備しているアイテムぐらいしか飛ばすことができないから、移動魔法では荷車を運べないの。


 帰りは普通に徒歩で帰ることになりそうね。


 一番スムーズなのは、地図から荷車が立ち往生している場所を割り出して向かい、火燕(カエン)を撃退して荷車をコンカルノーへ向かわせる。


 鉱石ロードは一本道だから、コンカルノーへ戻る道中でウィリーさん達を見つけ、一緒にこの店に戻ってくる。この方法だと思うのだけど、どうかしら?」


 サーシャはそう言って、ウェイドへ意見を求めるように目線を向けた。


 目線を向けられたウェイドは、ニカッと笑うと、バッチリさね、よろしく頼むよ! とそう言葉を返したのだった。




「それじゃ、ベル、ブレディ、見送りありかとう。いってくるよ!」


「ハイ、おきをつけて行ってらっしゃいマシ!」


「ご武運をお祈り申し上げる。すまないな、出来れば一緒に向かいたかったが、明日には仕事があるので、コンカルノーを離れるわけにはいかなくてな」


 そう言って見送りに来てくれたフレディが、申し訳なさそうに眉を下げた。そんなフレディに僕はあわてて首を横に降り、こう言葉を返す。


「そんな! ここまで用立ててもらったのに、これ以上手伝ってもらっちゃバチがあたるよ!」


「そうよ! そもそもモンスターに困っている人々を助けるのが私たち、魔王討伐隊の仕事なんだから!」


 サーシャも僕の言葉の後にそう続けると、大きく胸を張って、トンと拳で胸を叩いたのだった。


 そんなサーシャの姿を見て、ブレディはふっと柔らかな笑みを浮かべると、頼もしい御仁方だな。とそう言葉を返したのだった。


「そうだ、お二人に渡して置きたいものがあったのデス。


火燕(カエン)はモンスターの中でも素早い空中攻撃と、翼で炎を巻き起こし遠距離攻撃を仕掛けてくる厄介な相手デス。


 お二人の今の装備とスピードでは、苦戦を強いられることデショウ。

 そこで、サーシャさんにはこちらヲ!


スピードリングなのデス! これを身につければ、魔力が満ちるスピードを格段に早めることが可能デス! 


 ある程度の技なら、簡略呪文でも技を繰り出すことが出来るでショウ。

 そして、セオさんにはこちらヲ。予備の聖剣なのデス。セオさんの聖剣は、使えて後2~3回ほど、完全に折れてしまったら鍛え直すのは更に時間がかかってしまいマス。


 なので、こちらの聖剣をご利用くだサイ。これは試作品の聖剣なのですが、2つの剣で一対となると新しいタイプの聖剣デス。


 強度は、セオさんが使っていた聖剣とそこまで代わりはないですが、魔力が2つに分散されるので、魔力に耐えられずビビ割れを起こす心配はないでショウ。


 慣れない二刀流で戦いづらいかと思いますガ、聖剣の鍛え直しの時間を考えるとこちらが得策カト」


 そう言って、ベルは、サーシャにスピードリングを、僕に代わりの聖剣を手渡してくれたのだった。


「ありがたいけど、本当に使ってもいいのかい?」


「ハイ、そちらは2つとも試作品なので、お気になさらないで下サイ! むしろ、実践時の耐久性などのデータも取れるので、使って頂いた方がワタクシにとってもありがたいのデス」


「わかったわ、使った後の感想も教えるわね」


「ハイ、よろしくお願いいたしマス! それでは皆様どうかご無事デ!」


「ありがとう!」


「行ってくるわ!」

 僕とサーシャが、そう返事を返すと、ベルとフレディは優しく微笑んで手を降ってくれた。


 そんな二人に見送られながら、僕たちはサーシャの移動魔法に乗って、鉱石ロードを目指したのだった。




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