熱くて、燃えそうな恋
なぞなぞのようなお話です。
正体を考えながら読んでいただけると嬉しいです。
私は合路、ちょっと恋をしているだけの女子である。表情が乏しいのか周りからは冷静な少女といった印象らしい。悪く言うと冷たい奴だと思われているってことだ。
そんな私が恋しているやつは、がっしりとした頼りがいのあるやつだ。名前は大之助。いろんなやつを支えており、私も何度か助けてもらっている。助けてもらった時、惚れてしまったみたいだ。私も意外と単純だったみたいだ。
それで、私なりに大之助にアプローチがしたいわけだが、それをいつも邪魔する奴がいる、学校一のチャラ男、福尾である。なぜか頭にバンダナをまいており、いつもワイシャツを着て居るのに真面目ではなく、むしろチャラい奴だ。軽薄そうな笑顔がしゃくに障る、ムカつくやつというのが私の評価である。
「おー、いつも冷静沈着って感じの子が赤くなってるー」
今日も勇気を出して大之助に話をしに行ったのに、どこからか現れた福尾がへらへら、ひらひらとした態度で割り込んできた。アイツの言動は薄っぺらいもののくせに言ってることは核心的なせいでつい焦ってしまう。実際私は大之助の前だと照れてしまい顔が熱くなっている。体温も上がっているのが自分で分かるほどなのだ。
「福尾! アンタはお呼びじゃないの! 下がっててよ」
「えー? なんでさー。大之助と二人きりになりたいのかなぁー、にゃー」
「ふたっ、二人きりって……そうじゃない! 話の邪魔なんだって!」
福尾のせいで大之助の前ではあたふたとしてしまう。上手く伝えられない思いがどうしてももどかしい。いっそ福尾が居ないときに大之助に近づけたらと思うが、福尾はどこからともなく表れて、大之助と私の間に入り込んでくる。本当に邪魔だ。
福尾がチャラチャラ笑いながらこんなことを言いだす。
「それにしても大之助の前だとスイッチが切り替わるかのように熱くなってるねぇ。あー、おもしろ」
「なんの話よ! いずれ言うにしてもアンタに邪魔されながら言いたくない」
私は思わず叫んで、結局時間が来て福尾はやけにのびのびとした様子で去っていった。
ここまでのやり取りで分かってもらえるだろうが、私と大之助の距離は福尾のせいでつかず離れずといった感じだ。また、上手くいかなかった。
それから、何とかして福尾に邪魔されずに大之助に近づく方法を考えていると、一人で大之助が寝ている場面に出くわした。これは……チャンスなのではないか? あたりを見渡すが福尾はいないようだ。
私はいつも近づけない大之助の側まで行った。福尾が居ないから少し穏やかに、けれども体温はスイッチが入ったかのようにどんどんと上がっていっていることを感じた。
大之助に触れるか触れないかの至近距離まで来た。大之助はまだ寝ているみたいだ。そういえば福尾のせいで大之助に触れたことは無かったっけ、などという考えが頭をよぎった。私は意を決して大之助に寄り添った。
大之助の側は心地よかった。少し緊張してスイッチが切り替わるかのように体温が上がっていくのが分かった。ほおもチカチカと赤く光っているようだった。
そして、私はわずかな緊張と大きな満足感と幸福感を抱いてそのまま眠りについた。
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……テレビの中で生真面目な顔をしたキャスターが火災を報道している。
『先日未明、一軒家にて火災が発生しました。火元はコンセントの近くであり、付近に布製品があった痕跡からアイロンだと予測されています。みなさまもアイロンの電源を入れたままアイロン台の上に放置しないようにしましょう』
閲覧ありがとうございます。恋愛と思って読んだら最後にえっ? となる展開を目指しました。
正体を知ってもう一度見ると発見があるかもしれません。
……タグとか