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デート in ゲーセン

 翌朝。今日は日曜日で学校も休みだ。

 親父も仕事は休みのようで、基本的には一日中家に居る。

 昨日と同じように料理し、親父の分はラップをして冷蔵庫に入れ、俺達の分は自分の部屋で食べる事にした。


 休日だと親父が一日中家に居る為、晴子の事がバレる危険性が上がるが、それでも隠し通せる自信はあった。

 何故なら家居る親父は、基本的にずっと自室に篭っているからだ。自室で何をしているか何度か覗いた事があるが、ボーッとテレビを見ているか、寝てるかのどちらかしか見た事が無かった。

 ついでに言えば、俺の部屋がある2階に上がる事もしない。つまり、部屋で静かにしていれば、まずバレることが無いのだ。


 とは言え折角の休日だし、ずっと部屋に篭っているのも退屈である。という事で二人一緒に外に出る事にした。

 部屋を出て静かに階段を下り、親父が居ない事を確認してから晴子も下りる。親父に外出することを告げてから玄関に行き、家から出る事に成功した。


「つっても何処行くよ?」

「んーそうだな」


 外出したものの、ノープランで何処へ行くか決めてなかった。


「そうだ。ゲーセンいかね?」

「いいなそれ。行こうか」


 こうしてゲームセンター――ゲーセンに行く事に決まったのだ。

 駅へ行き、電車に乗って数分揺られて、目的の駅に辿り着いた。そこから数分歩き、大型のゲーセンに到着した。


「ここなら退屈しなさそうだしな」

「最近は来てなかったし。新しい台入ってるかもな」


 自動ドアの前に立ち、開くと同時に様々な電子音が混ざり合った騒音が耳を貫いた。もはやゲーセンでは当たり前の環境音だ。

 店内へと入り、まず何からやるか物色し始める。


「アレやってみない?」

「お、いいぜ」


 視線の先には、大きめの筐体があった。近くには、銃がぶら下がっていて筐体からケーブルで繋がっている。いわゆるガンシューティングゲームというやつだ。

 筐体の前立ち、二人分のコインを入れて、銃を手に持ちゲームスタート。この手のゲームはあまりやった事が無く、序盤から苦戦していた。


「ちょ……やべえ! 死ぬ死ぬ!」

「はえーよ! まだ1面すらクリアしてねーじゃん!」

「お前も死にそうじゃねーか!」

「仕方ないだろ! 殆どやった事無いんだから!」


 もう必死だった。それでも徐々に慣れ始め、ついに1面のボスらしき敵キャラが登場する。


「せめてコイツだけでも倒すぞ!」

「おうよ!」


 トリガーを引きまくり、敵に向かって連発。最初のボスだけあって攻撃パターンも単純だった。


「おっし! いけるぞこれ!」

「くたばれええええええ!」


 ひたすらトリガーを引いて撃ち続けた。


 しかしライフが残り1となってしまう。


 それでも諦めずに撃ち続ける。


 そしてついに――


「「よっしゃああああああ!」」


 ボスを撃破。初めてにしては上出来だったと思う。

 2面へと突入したが問題があった。


「ライフ1しかねーんだけど」

「オレもだ」


 そう、残りライフが1しかなく、あと1発でも食らったらゲームオーバーなのだ。それでもゲーム自体に慣れ始めていたので進めることにした。

 最初はうまくいっていたが、やはりノーダメでクリアするのは厳しく、ボスに辿り着く前にゲームオーバーとなってしまった。


「あっちゃー……もうちょい行けると思ったんだけどなー」

「つか1面でダメージ食らいすぎなんだよ!」

「お前も人の事言えねーだろ!」

「最初に死んだのは春日の方だろ!」

「最初にダメージ食らったのは晴子の方じゃねーか!」

「…………」

「…………」

「……他のゲームにしようぜ」

「……そうだな」


 そんな不毛なやり取りをしつつ、別のゲームを探し始めた。


 その後も色々なゲームで遊んでまわり、有意義な時間を過ごす事ができた。

 晴子と一緒に遊んでいると、まるで兄妹が出来たかのような気分になり、本当に楽しかったのだ。

 本人は隠してるつもりだろうが、まだ少し憂鬱な気分が抜けていない感じがしたのだ。しかしゲーセンで遊んでいる内に、段々と元気を取り戻していって、笑顔も見せるようになってきた。それだけでもここに来た甲斐があったというものだ。

 殆どのゲームをやり終わったので、そろそろここを出ようという事になった。


「いやー遊んだなー」

「つか、ここまで遊び尽くしたのは初めてじゃね?」

「あー確かに。一生分やった気分だわ」

「さすがに言い過ぎだっての!」


 互いに笑い合う。

 よかった……こいつもだいぶ笑うようになってきたな。しばらくは心配要らなさそうだ。


「んー……こうして見るとオレらってさ――」

「何だよ」

「デートしてるみたいじゃね?」

「………………いきなり変な事言うなよ」

「だってさ――」


 すると俺の腕に抱きついてきたのだ。腕に柔らかい感触が伝わってくる。


「こうやると恋人みたいじゃん?」

「なっ……お、お前何してるんだよ!」

「えー、だってこうやって可愛い女の子とデートするのが夢だったじゃん。よかったな夢が叶って」

「そ、そうだけど――じゃなくて! お前はいいのかよ!? 相手は俺なんだぞ!」

「何だよーオレだと不満なのかよー」

「そのニヤケ面やめろ!!」


 この性格の悪さは何処から来るんだよ……!

 こいつの容姿は全てが俺好みだ。晴子みたいな子が学校内に居たのなら、玉砕覚悟で告白してたかもしれない。そのくらいこいつは理想的なのだ。これで中身が『俺』じゃなけりゃなぁ……。

 その後も数分間からかわれたのだった。


「――――サンキューな」

「ん?」

「何でもねーよ」


 やっと腕を開放してくれた……。


 …………


 やっぱり晴子に隠し事は通じない……か……。


 その後はいつものスーパーで買物をして、家に帰宅したのだった。

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