いたずら
今日は休日で家でのんびりとしている。
というか外は寒いし、家から出たくないのってのもある。
なので、部屋で漫画でも読んで過ごすことにする。
学校で千葉からとある漫画を借りたので、今日はそれを読破しようと思っている。
読み終わったら続きの巻を貸してもらうつもりだ。
そのためにも今日一日で読み終えたいのだ。
座って漫画を読んでいると、晴子が話しかけてきた。
「春日ー。どっかいかないか?」
「今日は家から出たくない」
「えー。なんでだよー」
「だって外は寒いし、この漫画も読みたいし」
「む~」
こんな日は家でぬくぬくと過ごすのが一番だ。
せっかくの休日なんだ。
漫画読みながらだらだらとしていたい。
「なぁ。春日ー」
「なんだよ」
「暇だよー」
「俺は暇じゃない」
「漫画読んでるだけじゃないかー」
「これは千葉から借りたやつって言っただろう。今日中に読み終えたいんだよ」
「むぅ~」
さっきからやたら話しかけてくるな。
これじゃあ読書に集中できん。
「しばらく集中して読みたいからさ。一人にしてくれないか」
「…………」
……やっと静かになったか。
これで安心して読めるだろう。
ふぅ。
んじゃ続きを読んで――
「えいっ」
「うひゃ!」
こ、こいつ……
脇腹をつついてきやがった。
「えいっ。えいっ」
「ちょ……や、やめろっての! な、何するんだよ!?」
「ふふん。隙だらけだったからつい」
「だからって俺で遊ぶなよ!!」
「えー」
「つーか邪魔すんな! 俺はゆっくり読みたいんだよ!」
「…………」
ったく。困ったやつだ。
晴子――というか、俺ってこんなことする性格だったか?
……まぁいい。
今はゆっくりと――
「だ~れだっ」
「うおっ」
急に真っ暗になったかと思えば晴子の仕業か。
今度は後ろから俺の目を隠してきやがった。
「やめろって! 何も見えないだろ!」
「ほらほら。誰だか当ててみなって」
「んなもん晴子しかいねーだろ!!」
「せーかい」
やっと解放してくれたか……
「さっきから何なんだ!? いちいち邪魔するなっての!」
「いやさ。何となくやってみたかったし?」
「あのなぁ……」
「春日だって、こういうことされてみたいと思ってたじゃん?」
「こんな時に実践すんなよ……」
今日の晴子はどうしたんだ。
落ち着いて読書することもできん。
「さっきも言ったよな? 今日中に読破したいんだって。頼むから一人にしてくれよ!」
「…………」
「つーかどうかしたのか? やたらイタズラしてくるけど。何があったんだよ?」
「…………」
……うん?
静かになった?
「おい? 晴子?」
「…………春日が悪いもん」
「は?」
俺が悪い?
何を言ってるんだこいつは。
「お、俺のせいかよ!?」
「…………」
「何とか言えよ」
「だってぇ……構ってくれないんだもん……」
「…………」
なんだろう。
すごく嫌な予感がしてきた。
こいつ。もしかして……
「一応聞いてみるけど、なんでこんなことしてきたんだ?」
「…………春日が……構ってくれないから」
「それだけ……?」
「うん……」
「…………」
あ、頭痛くなってきた……
構ってほしいという理由だけで、さっきから嫌がらせしてきたのかよ。
しょーもない。何やってるんだか。
「あのなぁ……そんな理由でちょっかい出してくるなよ……」
「うるさい! オレは悪くないもん!」
「逆切れかよ!?」
「構ってくれない春日が悪いもん!」
何もしてないのに怒られたぞ。理不尽すぎる。
つーかこれでも相手してやってるつもりなんだけどな。
まだ足りないってか。
「俺にとっては貴重な休日なんだよ。一人でゆっくりさせてくれないか」
「――もん」
「えっ? 何か言ったか?」
「オレはいっつも……一人だもん……」
「…………」
ああそうか。
俺が学校に行っている間は、晴子はずっと一人になるんだったな。
だからこんなにも寂しそうにしているのか。
仕方ない。
「分かったよ。付き合ってやるよ」
「……! いいのか?」
「このままだと落ち着いて読書すらできんしな。んで? 何をするんだ?」
「んーと、なにしよっか?」
「考えてなかったんかい……」
「へへっ」
嬉しそうにしやがって。
まぁいい。今日ぐらいは構ってやるか。




