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もう1人の自分が女だったらどうしますか?  作者: 功刀


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気まぐれ

「変だな……」


 朝いつも通りに登校し、美雪の席を確認してから思わず呟いた。何故なら美雪はまだ来ていなかったのだ。

 いつもなら俺よりも先に登校しているはずなのだ。なのに今日は珍しく遅れている。

 美雪の風邪は既に完治しているはずだ。メールでそのことは確認済みだし。だから今日は学校に来ると思っていたんだけど……


 自分の席に座り、しばらくしてから教室のドアが開いた。

 そこに居たのは――


「美雪……風邪は大丈夫なのか?」

「…………」


 明らかに元気が無さそうな感じだ。本当に大丈夫なんだろうか。

 教室内に入ってゆっくりと俺の元へと近づき、目の前で止まった。


「はる君……ごめんなさい……私が風邪ひいちゃったから…………行けなくて」


 デートのことか。前日に風邪で行けなくなったことを気にしているようだ。


「い、いや。風邪なら仕方ないって! 俺も気にしてないから!」

「でも……」

「また別に日にすりゃいいんだし。元気出せって!」

「……ごめんね」


 泣きそうな表情で謝られると心が痛む。そもそも美雪の風邪は、俺が移した可能性も否定できないからだ。

 でも、ここまで落ち込むなんて意外だったな。もしかして美雪もデートを楽しみにしていたんだろうか。

 だったらそれに応じなければな。


「美雪」

「……?」

「その……いつも世話になってる分楽しませてやるから。今回も事も忘れるぐらい頑張るからさ。だからそんな落ち込まないでくれ」

「…………」


 昔から俺の為に頑張ってくれた美雪。そんな幼馴染に少しでも恩返しがしたい。だからこそ次のデートは満足できるぐらい充実したものにしたい。

 そんな気持ちが伝わったのか、さっきまでの暗い表情は無くなり、美雪は微笑んでくれた。


「…………うん!」


 よかった。ひとまず安心かな。






 昼休みになり、千葉&天王寺と一緒に雑談していた。


「この前のメイド晴子ちゃん可愛かったよな~」

「どうせなら女子用の制服を着た姿も見てみたいよね」

「だよなー!」


 晴子は基本的に男用の服――というか俺の服しか着たことが無かったしな。

 美雪の制服を借りようと考えたこともあったが、明らかにサイズが違うから諦めたんだよな。どう見ても美雪の小さい制服だと晴子は着れない。


「ほら見てみろよ。これなんか素晴らしいだろ!」


 千葉がスマホ画面を見せつけてきたので覗き込む。そこには、恥ずかしそうにしているメイド姿の晴子が写っていた。


「ほー。よく撮れてるじゃないか」

「だろ?」

「それにしても今日は晴子さん来ないのかな?」


 いつもならこの時間に現れるはずだけど、今日は姿が見えない。

 元々毎日来ているわけではない。かなり気まぐれなのだ。


「晴子ちゃんが来ないんじゃ学校に来る意味ねーよ……」

「そうだよねー……」


 お前ら何しに学校来てるんだよ……


「なぁ出久保。晴子ちゃんは次いつ来るか知らねーの?」

「俺にも分からん」

「ちぇー……」


 晴子はショッキングなことがあったばかりだからな。俺としてはしばらくの間、そっとしてあげたいんだよな。

 無理に誘いたくもないし。様子をみるしかない。


 その後も雑談が続き、チャイムが鳴ったので自分の席へ着いた。







 学校も終わり、帰宅して自分の部屋へと入った。


「ん。おかえりー」

「ただいま」


 晴子はベッドの上で寝そべっていて、漫画を読みながら気だるそうな声をしていた。

 こいつもだいぶ人気者になったもんだ。こうして見ても美人だしな。千葉や天王寺も惹かれるのも無理ない。

 他人から見たら普通の女の子なんだよな。とても元男だったとは思えない。


 もし……もし俺が晴子だったら、こうなっていたんだろうか。偶にそんなことを考える時がある。


「ところで美雪はどうだった?」

「…………え?」

「風邪ひいてたんだろ? もう平気そうだったか?」

「あ、ああ。完治してたみたいだし。大丈夫だと思う」

「そりゃよかった」


 おっといけない。ボーッっとしてた。


「ま。デートが先延ばしになったのは残念だけど、別の日に変更になったと思えばどうってこともないしな」

「………………」

「晴子?」


 なんだろう。急に晴子の元気が無くなった気がする。


「…………そっか。そうだよな……」

「なんだよ。どうしたんだ?」

「いや。なんでもねーよ」


 よく分からんやつだ。先に美雪のことを聞いてきたのは晴子の方だろうに。


「よし、春日。買物に付き合え。今日の晩飯はオレが作ってやるから」

「おっ、マジで? 何作るんだ?」

「それは後のお楽しみだ。期待していいぞ」

「ほう。言うじゃねーか。ならさっそく行こうぜ」

「おう」


 晴子の作る料理はかなり美味しいしな。俺の好みに合わせて調整してくれているから当然といえば当然なんだけど。

 それでも美雪の料理とは違った意味で楽しみなのだ。自信ありそうだし。期待できそうだ。



 やはりというか、晴子の料理は俺の舌をうならせるほど美味しく、おかわりするほどだった。

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