ひざまくら
俺は今すごく緊張している。
何故かって?
「…………あ、あのさ。美雪」
「……?」
美雪をデートに誘うからだ。
学校の帰りに美雪と二人っきりになったのはいいが、緊張して中々言い出せなかったのだ。
ええい! 男は度胸だ!
「こ、今度の休日……暇だったりしないか?」
「………………」
どうだっ……!?
「……空いてる」
よし!
「な、ならさ……その……俺と一緒に出かけないか?」
「……………………………っ!?」
どうやら質問の主旨を察してくれたようだ。
すっげぇドキドキする。
頼む……断らないでくれ……!
いやいや、弱気になるな。たぶん大丈夫なはず……。
少し間があってから美雪の口が開いた。
「…………いいよ」
「そ、そうか! じゃあ細かいことはメールで知らせるよ! じゃーな!」
「…………うん!」
言い終わった瞬間に駆け出した。嬉しさのあまりニヤけた顔を見られたくなかったからだ。
そして家に帰り、部屋のドアを開ける。
「たっだいまぁー!」
「おかえりー……ってか随分と嬉しそうだな。何かあったのか?」
「聞いてくれよ晴子。今度美雪とデートすることになったんだぜ! そりゃ嬉しいに決まってるだろ!」
晴子に向かってビシッっと親指を立てる。
「…………………………………へぇ」
「美雪との初デートだからな! いやぁ楽しみだなぁ!」
「…………………………よかったな」
「おう! これも晴子のお陰だよ! 晴子がデートの提案してくれなかったら誘うことはなかっただろうし。サンキューな!」
「……………………気にすんな」
本当に楽しみだ。
気分がいいし、ついでに家事を終わらせよう。
そう思い部屋から出ようとしたときだった。
「……どこ行くんだ」
「ん? 洗濯でもしようかと思って」
「もう終わったぞ」
「あ……」
そうか、家事は基本的に晴子がやってくれることになってたんだ。つい癖で体が動いてしまった。
「じゃあ掃除でも――」
「それも終わった」
「…………」
さすが晴子。やるべき家事を全て把握している。となると……他の家事も全部やり遂げたかもしれない。
なんか主婦みたいだな。本人に言うと怒られそうだから言わないけど。
ふーむ。今まで俺がやっていたことを変わりに負担してくれたのはありがたいが……いざやる事が無くなると暇だな……。
……そうだ。アレでも進めるか。
ゲーム機のスイッチを入れ、コントローラーを持ち、あぐらをかいて座った。
少し経ってから、テレビ画面に某大作RPGのタイトル画面が表示される。まだクリアしてないソフトなので、この隙に進めようと思ったのだ。
しばらく進めていると、晴子が隣に座り始めた。
そして俺の方向へと倒れ、膝の上に頭を乗せてきたのだ。
「何してんだ」
「……別にいいだろ」
「いや、そうじゃなくて……」
「…………」
まぁいい。無視して画面に集中することにする。
「…………」
「…………」
「……次のボスは物理攻撃効きにくいから注意しろよ~」
「お、おう」
晴子は既にクリア済みだったな。
「…………」
「…………」
「……そこのマップに隠しアイテムがあるからな~」
「ほいほい」
気だるげな声でアドバイスされつつ、ゲームを進めた。
何かしらあると晴子が助言していたが、時間が経つ毎に言葉も少なくなり、気が付いたら無言になっていた。
気になって下を見ると、膝の上で寝息をたててスヤスヤと寝ている晴子がいた。
こいつは何がしたかったんだ……。
……………………。
やっぱり――
ノイズが増えてきたな――




