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目が覚めたら殺人機械でした。  作者: ノス・ファントス
15/18

15.初めての戦闘?

めまぐるしく場面が変わります。ご注意ください。

あと私の文章にしては、ちょっと長いです。






雨が降っている。ザァ、ザァと音をたてて。





うっそうと茂る森の中、ある1本の木の枝の上に男が立っていた。空を見上げている。

彫りの深い顔、髪は真っ白く、短く刈り込んでいる。

目つきは鷹のように鋭い。ひと睨みされればチンピラ程度なら、こそこそ逃げ出してしまうだろう。

箕をまとった姿、その下には薄汚れたローブらしきものがちらりと見える。

空を見上げている。そのまま目を閉じた。動かない。獲物が通るのを待つ豹のように。

ザァ、ザァ。雨が降り続く。まとわりつくような雨。



しばらくすると、男は目を開け、空を見上げたまま、ニヤリと笑う。獲物を前にした獅子のような笑い。

「来たか。金になりそうだ」



木から男が飛び降りると、下には幾人かの男たちが待っていた。木に登っていた男と同じように箕をまとっている。

下にはボロボロになった服と思われるものを巻きつけている。

髪はボサボサ、長い間風呂に入ってないのだろう。据えた体臭がただよう。



「お頭。どうでした?」

「ゴーレム馬に乗った2人組。2、3時間ほどでくるだろう。おそらくは、女と子供だ。ゴーレム馬はボロ布をまとって汚いが、移動速度が早いから売れば大金になりそうだ」

「女?!」

手下なのだろう。男の話を聞いて騒ぎだす。



「ったく。金よりそっちか。つい先日散々犯しまくったばかりだってのに」

「いくら犯っても飽きませんぜぇ女は。子どもはどうするんで?」

「いつもとかわらん。女なら犯して殺せ。男なら殺せ」

「へい」

「雨で土が重くなる。フタが崩れて穴が見つかるかもしれん。直前まで見張って、異常があったら直しとけ」

「へ、へい」

手下たちは散る。哀れな犠牲者を出迎えるために。





雨が降っている。ザァ、ザァと音をたてて。





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今日も降っている。いつのまにかザァザァと鬱陶しい雨に変わっている。気が滅入る。

結局、どうすればいいのかわからなかった。


シャルは何もいわない。ただ時折、私の前足まで寄ってきて、ぴとっと抱きつく。

沈黙のまま、出発を始める。



シルフィはリトアさんのマントに潜り込み、首の隙間からこわごわと空を見上げる。

シャルはおとなしくしている。リトアさんも黙ったままだ。



雨の降りが強いので視界はあまり良くない。レーダーだけが頼りだ。

2時間くらい進んだ頃だろうか。おかしなことに気づいた。

「リトアさん。ちょっと変だ」

「え?何がですか?」

何か考え事をしていたのだろうか、俯いていた顔を上げ、慌てて聞いてくる。



「索敵機能に反応がある。この先、多分2分の1セル先に。数は17。しかもほとんど動いてない。」

リトアさんは、しばらく考えて言った。顔が少しこわばっている。

「盗賊の待ちぶせの可能性が高いですね」



この道中の間気づいたんだが、今まで緑の点が動かなかったことがないのだ。私達が近づくと、逃げるように離れる。というか原因は私なのかな。なんかいやなオーラだしてるとか。

あ。また脱線してしまった。



ほとんど動かない=待ちぶせって考えられるわけだ。

だが、2人を乗せたまま、戦闘は無理だ。逃げきれるかもわからない。



「リトアさんたちはここで降りて隠れててくれ。私は様子を見てくる」

「・・・・・わかりました。無理をしないでくださいね」

「了解した」



2人を降ろし、積んでた麻袋2つを降ろす。足に巻きつけてた布、背中の毛布を外す。

心配そうな顔をするリトアさん、シャルを残し進もうとするがちょっと止まる。

ついてこようとするシルフィに言う。

「頼む。2人を守ってくれ」

何か言おうとしていたが、シルフィは頷く

「さっさと済ませてきてくださいね。お腹すき始めてるんですから」



「昼食前には帰ってくるさ」

私は腕の1本でサムズアップする。

「何ですかそれ?カッコつけてるつもりですか?」

ダメだったようだ。



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「さて、大金が入ったら、そろそろこの国を出るとするか。魔王が進軍したのは本当らしいからな」



手下たちから離れたところで1人、お頭とよばれた男は木にもたれて腕を組んだまま、上機嫌に笑みを浮かべながらつぶやいた。

笑みと言っても、一般市民なら後ずさり、子どもなら恐怖で泣くことすらできずに硬直するような笑みだ。



この男の名はミナン・ロッセ。

彼は一流の魔法使いとよばれたが、束縛されることを非常に嫌った。宮廷魔術師の誘いを蹴り、冒険者ギルドを抜けた。

欲望の赴くまま、やりたいことをした。酒を喰らい、女を犯し、人をいたぶった。

盗賊はまさに彼の望む職業だった。冒険者くずれ達は、上級の魔法まで自在に操る彼にあっさりと従い、手下になった。

人々は恐れを込めて彼とその盗賊団を【爆炎】と呼んだ。


酒を喰らい、女を犯し、人をいたぶる。

酒がなくなったりした時は街へと忍びこむ。町民を脅し、子どもを人質に取る。

小さな町、村なら逆らえる者などいない。怯えて逃げ惑うだけだ。

お尋ね者となり、彼の命を冒険者達が狙ってきたが、得意の爆炎の魔法ですべて返り討ちにした。怖いものなど何もない。



「盗るもの盗ったら全て燃やしつくしてやるよ」



手下達の方を見てつぶやく、獲物を前にした獅子のような笑いで。



「無論、お前たちもな」




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走りながら、私は考える。盗賊だと思って行動したほうがいいだろう。

武器は何がいい?

数が多いから催涙弾もひつ・・・あ。雨が降ってるから、効果が低いか。

まだいくつかの武器を試してないことが悔やまれる。

どうやら、ひそんでいるところは森のようだ。グレートソードは大きいか。

迷うけど時間がない。えーい。大剣1,ワイヤー1、銃2だ!



緑の点が囲むように存在している。もうすぐ出会うだろう。

あと200m。なんかいやな予感がする。もし盗賊だとしたら・・・・・足止め?・・・落とし穴!やばいっ!あと10m。

私は囲みの中に入る寸前、大きく跳躍した。



バラバラと人が道の両脇の森から出てくる。箕?っていうのかな。なんかかぶってる。

あと臭い。すっごく臭い。髪もボサボサの男たち。

風貌からみて間違いなく盗賊だろうな。剣とか弓とか棒きれとか持ってる。

盗賊なら遠慮はいらない。私は心にそう言い聞かせる。



ポカンと口を開けつっ立っている盗賊たちを飛び越え着地する。勢いで泥混じりの水飛沫があがる。

私は振り返りもせず、盗賊たちに後ろを向けた状態で両腕の銃を連射する。

視界は飛沫で遮られたが位置は憶えた。照準はいらない。

トトトトトトと思ったよりも軽い発射音が響く。

空の薬莢が噴水のような軌跡を描く。


「グッ」

「ゲヒャ」

「ドホッ」


水飛沫がおさまる。

濡れた雑巾を床にたたきつけたような変な声をあげ、血と肉片を飛ばしながら、盗賊達は次々と宙を舞い、地面に倒れる。

平原で見たあの黒っぽい塊を思い出す。人として安らかに死ねなかった彼ら。

リトアさんを、シャルを、シルフィをあんな目にあわすわけには、いかない。

1人でも逃したらまた同じ目にあう人が出てくるだろう。始末するのにためらう理由はない。

私は向き直り、うろたえてる盗賊たちへと突っ込んだ。



まだ生き残っていて、慌てふためく盗賊達を銃で次々と始末していると視界にメッセージが表示された。


【<!>警告: 後方から攻撃魔法反応あり 】


驚いて、後ろを見ると同時に何かがすごい早さで飛んできた。そして衝撃。爆発音。



私は爆炎に包まれた。



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「やったか」

ミナンはあの壮絶な笑みを浮かべながら、つぶやいた。。


完全に油断した。



木に登ってた手下の見張りが「お頭ぁ。ゴーレム馬がえらい早さでこっちきますぅ」といった時も、

囮で突っ込んできたのかと思っていた。


ここまで近づけばわかる。ゴーレム馬に大きな魔力反応があることが。

きっと高級な魔導具をくくりつけてあるのだろう。

単純な策だとミナンは思った。


俺達がこちらに気を取られている隙に別ルートで逃げる策だろうと。

高速で走っているゴーレム馬を止めるのは時間がかかる。それを狙ったのだと。

「馬鹿な奴らだ。落とし穴1つで止まるってのに」


ゴーレムを止めた後は、ゆっくりもて遊ぶように追いかければいい。

どうせ女子どもだ。遠くまで逃げられまい。



それが、何だ。

軽々と落とし穴と飛び越え、あっけにとられた手下どもを、魔力を感じない岩弾魔法で次々と倒していった。

攻撃魔法が魔力の流れを感じないだと?そんな魔法は知らない。

よく見るゴーレムは馬や人を歪曲したような姿をしている。だがあれは虫か?魔物か?

あんなゴーレムは見たことも聞いたこともない。



だが、たかがゴーレムだ。俺の爆炎魔法を喰らえばゴーレムが動かなくなるのは戯れに何度もやったから知っている。

ゴーレムは売り物にならなくなるが、あれだけの魔力をもった魔道具だ。壊れはしまい。

手下達はもう不要だ、一緒に燃やしてやる。そう思って爆炎を放ったが。



「ふん。儲けが少なくなっちまった。さっさとずらか・・・・」

何かが飛んできた。巨大な何かが。



衝撃を受け、倒れたと思った。そして驚く。

目にしているのは、自分の体だった。大量の血を吹き出し、首をなくした自分の体。

血を撒き散らせながら、体はゆっくりと倒れていく。



欲望のままに生き、国中の人々を震え上がらせた男、【爆炎】ミナン・ロッセのあっけない最後だった。






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