12.馬鹿とワイヤーは使いよう?
評価、ブックマークありがとうございます。
拙作ではありますが、うんうん唸りながら書いているので励みになります。
お昼ころになり、ご飯を食べるために、一旦止まる。
平原で見晴らしもよい。何かきたらすぐにわかるだろう。
「クロさん、枯れ枝を拾ってきてもらえますか?」
「了解した」
あのやりとりがあってからだろうか、リトアさんがさらに優しくなったような気がする。思い返すと赤面ものだが。
昨夜のことは、リトアさんは黙ってくれると誓ってくれた。
「クロさんの名にかけて」といたずらっぽく笑って。反則だよな、あれは。
惚れてしまったのではないだろうか。私。
シルフィが何か聞きたげにこちらを見る。ごめん。勘弁して。小心者なんだ。
(それはもう知っててます。会った時から諦めてます)
聞かないでくれるらしい。シルフィは優しいな。
(!。さっさと枝拾ってきなさい。何ぼやぼやしてるんですか!)
はいはい。
食事を終え、このまま1時間くらい休憩するという。私はこの時間に武器を試してみることにした。
魔法は使えないけど、魔法みたいなものが使えるみたいだと話すとリトアさんは首を傾げた。
「魔法みたいなのですか・・・」
「危ないのでリトアさん達から離れて使ってみるつもりだ」
「それでしたら、8分の1セルくらい離れてればいいかと思います」
1セルは1時間に人間が歩ける距離だそうだ。4~5Kmくらいか。8分の1だと・・・
>[0.5~0.625]
む。自動計算機能か。初日のはやっぱりそうだったのか。便利。
5、600メートル離れたかなーというところまで進む。木が1本立ってる、横に倒木。離れたところに岩1つ。
後ろを見るとリトアさんが「そのあたりでいいですよー」と手を振ってるのが見える。横でシャルがぴょんぴょんしてる。
で、だ。
「シルフィ。君はここにいて大丈夫なのか?」
「私はマスターのサポートです。私が把握してなければいけません」
食事時にシルフィに改めて聞いてみたんだけど、武器を持ってることは全く知らなかったという。聞いたこともないそうだ。
「結構危ないと思うぞ」
「平気です」
そう言うと、結わえ付けてある寝袋へと飛び、潜り込み、顔だけを出した。
「いつでもどうぞ」
やれやれと思いながら、実験を開始する。
まずはミスリルグレートソードからいこう。岩を試し斬りだ。数が多いから1本くらい折れてもいいや。
グレートソードを取り出すとシルフィが、止めた。
「ちょ、ちょっと待って下さいマスター!何処から取り出したんですか!?」
「ん?普通に体の下の亜空間倉庫からだけど?」
「そのまま止まってください」
シルフィは寝袋から抜け出し、私の体の下へと飛んで回りこむ。む。見えない。
「出し入れしてください」
シルフィの声が聞こえる。私は彼女にぶつからないことを祈りながら、ゆっくりと出し入れする。
「ふむ・・・・この箱からですか・・・アイテムボックスみたいなものでしょうか」
ぶつぶつ言いながら、寝袋へと戻る。
「もういいです。マスター。理解しました。中に入ろうとしたら弾かれました。生き物は入れないみたいですね」
なんと体を張って確認か。歪みねぇな。
改めてグレートソードを持ち直し、岩に向きなおる。
「シルフィ、もうちょっと潜ったほうがいい」
「わかりました。」
シルフィがごそごそやって、目だけを出す。
剣を持った腕を大きく振りかぶる
「フンっ」
力任せに振り下ろす。
-ガイン!-
そんな音がしたあと、岩は真っ二つに割れた。
桃太郎が生まれるシーンみたいにきれいにカパッと
そういえば、どうして桃太郎は真っ二つにならなかったんだろうね。あんなにきれいに切れたのに。
「マスター、すごい斬れ味ですね・・・・・・・。マスター?」
あ。いかん。あまりの威力に現実逃避してしまったようだ。
「ああ、すごいな。驚いてしまった」
グレートソードを持ち上げ、しげしげと眺める。傷ひとつついてない。
シルフィの目が怖い。刀を持って何か斬るものはないか探している人のような目?
「次いきますよ、次。さっさと出してください。マスター」
私は急かされるまま、次の用意をする。ミスリルワイヤーか、ラノベとかアニメとかでみるあのワイヤーという認識でいいのだと思う。手首から発射されるのかな。
あと、曖昧な操作でもできるか試してみるか。
右腕の1つを木の枝の一つに向け「発射」とつぶやく
あっさりと、ヒュンと音をたて、鉤爪つきワイヤーが飛んでいく。
私は腕を軽く引き、枝にワイヤーを巻きつかせた。
ふむ。思ったよりもワイヤーが太いな。太さが5ミリ位ある。斬糸系ではないようだ。
しかし(ワイヤーを発射)と念じなくてもいいみたいだ。
これで、咄嗟の行動もとりすくなるな。
いつの間にかシルフィはワイヤーが絡んだ枝のところまで、飛んでいってたようだ。
しげしげと観察してから、こちらを振り返って言う。
「しっかり固定されてますね。敵の拘束に使えそうです」
「了解。ちょっと引っ張ってみるので、戻ってくれ」
シルフィはこちらに飛んできて寝袋の中に戻る
私は「巻き取れ」とつぶやく、すると手首の辺りで「ウィーン」と音がして巻き取られる。
ちょっと引っ張られる感じがする。私を引き上げることができるのかな?と思ってたら。
バキッと音がして枝が飛んできた。
あ。昔子供の頃、似たような目にあったな。あの時はロープの先に結わえ付けた石が枝に絡んだ時に外れちゃってこっちに戻ってきて、顎にぶち当たったんだよなぁとかぼんやり思ってたら、ガンッて頭にぶつかった。痛くない。
「何やってるんですか、マスター。どんくさいですね」
シルフィが呆れている。
「いろいろ諦めてくれ。もう1回似たことを試してみる」
「もう1回自分にぶち当てるんですか?」
シルフィの毒舌を聞き流しつつ、枝からワイヤーを外し巻き取ってから、今度は狙いを幹の方に向けて飛ばす。
今度もうまく絡んでくれたようだ。そのままワイヤーの巻き取りを開始する。
私はズルズルと木のほうに寄せられていく。おお、すごい。
「これは・・・すごいですね」
シルフィも驚いている。これで壁とかも、のり越えられるんじゃないかな。
最後に何をもないところに向けて飛ばしてみる。ふむ。ワイヤーの長さは20mくらいかな。
ワイヤーが20m、それを発射し、巻き取ることができるギミック。それが全部この手首のユニットに内蔵されているとは驚きだ。
「これは殺傷能力はないですが、使いこなせればかなり役に立ちますね。・・・・使うのが、マスターなので不安ですが」
ねぇ、シルフィたまにはもうちょっと優しくしてくれてもいいのよ?




