第1章 雲の再来
新シリーズ「雲の行方」です。こちらもルートごとに更新していきたいと思います。「第1章雲の再来」。主人公が帰ってくるところから始まります。
なつかしい・・・。この日本の空気。6年ぶりだな・・・。変わったな、この町も私も。まずは、家に帰ろう。後は、お墓によって不動産屋に行って新しいマンションに行こう。楽しみだ。でも、お父さんに会うのは少し緊張する・・・。今まで通りなれてたはずの道。前とは違って、景色が一変したような気がする。お店もバス停も変わってるところはなかった。ただ、どことなく殺伐とした空気が漂っていて、私はここにいてはいけない気がした。
「あっ!」
誰かはわからない。誰かが私にぶつかった。
「すみません、私、その・・・ぼーっとしていて・・・。」
「いや、こっちこそすみません。ロードワーク中に周りみてなくて・・・。」
ロードワーク・・・?きっと運動部に入ってる人なのかな?顔を上げると、整った端正な顔があった。でも、不思議と私はその人にどこかであったことがあるような気がした。
「荷物・・・。」
「え?」
「いや、荷物重そうだなと思って・・・。もしかして、家この近くですか?何だったら途中まで持ちますよ。」
「いや、でも悪いし・・・。それに、私こっちの方向なんで。」
たった今あった人に持たせるなんてできない。私だって、そこまで人が悪いわけではない。
「俺も家そっちの方向だし、持ちますよ。お詫びと思って・・・。ね?」
「・・・なら、お言葉に甘えて・・・。お願いします。」
2人で横に並んで歩く。こうしてると、小学生の頃暁人と登下校してたのを思い出す。暁人とは私が海外に行ってから1回も連絡を取っていない。だから、今どこで何をしているのかわからない。元気、なのかな・・・。
「あ、ここです。」
「え?ここ?ここって・・・。」
「あの、どうかしたんですか?」
不思議そうにうちの表札をみてる。でもしばらくすると、顔はみるみるうちに明るくなった。
「もしかして、夕雲か!?」
「そうだけど・・・?」
いきなり、フレンドリーな態度になった。この人って一体・・・?
「覚えてないか?俺だよ、俺!田辺暁人!!帰ってきたんだな・・・。」
「え?暁人?ほんとに?」
「嘘つくか!?」
「ありがとう・・・。送ってくれて。私、明日から北山大学に通うんだけど、一人暮らしするから、お父さんとお母さんに挨拶しようと思って。」
久しぶりにあった暁人は手も背も大きくなってて、驚いた。声も低くなってて、昔とは少し違った暁人がいた。
如何でしたでしょうか?次回もお楽しみいただけるようよりいっそう努力したいと思います。