表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

正しい悪

初心者です。何かあったら報告お願いしますm(_ _)m

 王の間と呼ばれている城の内部に暴君と呼ばれる男とそれを護衛している部隊長の女、そして後の人々に英雄と言われる盗賊がいた。

 盗賊の目的はただ一つ。目の前の暴君を殺すことだ。


「やめておけ。もうその銃に弾は残っていないのだろう」


 愛用している刀を構えた部隊長の女が言った。

 対して銃の引き金に指をかけている男は盗賊だ。

 ハッタリとして銃口を部隊長に向けていたが意味が無いとみて腰の

ホルダーにしまう。

 盗賊の残りの武装はサバイバルナイフ一本のみ。正直これで刀を相手にするのは無理がある。だがそんなことは理解していても盗賊はナイフを抜く。


「なあ、なんでそんなクズみたいな奴の護衛なんてやってんだ?そいつは

気に入らない人間は片っ端から殺す。もう一度言うがクズだぞ」


 盗賊は思う。何故このクズにはこんな有能な護衛がいて、民は何もないのか。

このクズは人を殺して民はこいつを殺せないのか。民は食べ物が無いのにかかわらず目の前のクズは豪華な食事をしているのか。


「簡単な事さ。私達は金さえ払えばどんなクズだろうと守って

やる。それが仕事だ」


 盗賊は分かっていた。自分が同じ立場だったら同じ事を言うだろう。

しかしなんとしても盗賊はこのクズを殺さなければならない。


 「さっきからクズ、クズと。さっさとこいつを殺せ!! 我はこの国の王だぞ! 」


 暴君は部隊長の部下の後ろに隠れながら荒々しい口調で罵声を吐く。


 「そういう事だ。さっさと殺させてもらう。お前達は手を出すなよ。これは私と

盗賊だけの殺し合いだ」


 部隊長が望んだのは盗賊との一騎打ちだ。

 部下達は命令に従い、手にある武器を納め、それを見て部隊長と盗賊は戦闘態勢に入った。


 「そういえばあんた。今まで護衛対象を死傷どころか擦り傷一つ負わせた事が無いんだってな。

調べて驚いたぜ」


 「そういえばそうらしいな。気にしたことはないが」


 たわいもない会話をやり取りしているが二人とも分かっている。一瞬でも気を抜いたら死ぬと。

 そのとき両者の手の力が少しだけ緩んだ。

 これはブラフだが。

 互いにそれを見逃さず動き出す。

 最初の一撃で決める。盗賊にはそれしか方法がなかった。刀とナイフはリーチの差がある。こちらは圧倒的に不利だからだ。

 ちなみにこのとき盗賊は何も考えていなかった。例えここで勝ったとしても部下の銃によって蜂の巣にされてしまうだろう。

 どうせ死ぬのなら何も考えずこの殺し合うと。

 そして盗賊がとった行動は……

 (部隊長との距離はあと m、今! )

 距離を測り投げた。ナイフを。

 先程の差を縮める為だ。

 盗賊は賭けた。

 (いけ! )

 放った場所は確実に急所に向かっている。当たれば部隊長が死に、自分は銃の蜂の巣にされ死ぬ。外したら刀に切られて死ぬ。結果は変わらないが盗賊には重大な意味を持つ。

 (この距離なら避けることは不可能。これなら)


 が。


 「やはりな」


 部隊長の方が一枚上手だった。

 あらかじめ知っていたかのように刀を使ってナイフを弾き、そのまま向かってくる。

 こうなってしまっては盗賊には為す術がない。やけになったか止まることはなく走る。

 そして……

 ブシュッ

 盗賊の体が切られた。


 「私の勝ちだな」


 部隊長の勝ちだ。


 「ははは! ざまぁ見ろ! この盗っ人が! 死体はその辺の野良犬の餌にしてやる」


 暴君は笑っていた。

 が。

 盗賊も笑っていた。

 このときを待っていたかのように。

 いつの間にか右手には先程ホルダーにしまった銃。


「しまった! お前達! 早く護衛対象を……」


部隊長は気づいたようだが、

(もう遅い)

銃口は暴君の脳天をとらえ、引き金を

引いた。

銃弾は真っ直ぐに飛び、標的に突っ込んだ。そして暴君は何が起きたか分からない顔をして息絶えた。


「ざまあないぜ、これで俺の……」


切られた部分からの大量の出血により、これが盗賊の最後の言葉となって目を閉じた。


「無事ですか隊長! 」


部下達が心配して近寄る。


「やられた。切られた瞬間のこの場の全員の油断。そしてあの改造銃。一発残していたのか」


部隊長の知る盗賊の銃は六発式のはずだが改造によりプラス一発だったのだ。盗賊は暴君を殺すために部隊長を利用した。

(なんて奴)

部隊長は今になってどんな恐ろしい人間と殺し合ったか恐怖した。

(こんな気分は初めて人を殺して以来だな)


「隊長。これからどうするんですか」


「簡単だ。盗賊は私達の二枚上にいて、私達は護衛対象を守れなかったそれだけだよ」


部隊長は思い知った。自分はまだ弱いと。そしてまだまだ強くなる。


「任務は失敗。王……いやクズと盗賊の死体を回収して本部に戻るぞ。」


(そういえばどうしてこのクズを殺しにきたのか聞かなかったな。まあいい)





「悪は世界に嫌われている。俺は特にな」


切られた直後に盗賊が部隊長に放った言葉。何を意味しているか。後に知ることになる。


「礼を言っておくぞ盗賊、いや英雄。お前は強い。そして正しい悪だったよ」



こんな駄作に付き合ってくれてありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ