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獣達の舞踏会1~目覚める狼~  作者: 冬永 柳那
二章 地下での激闘
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第三話






タッタッタッタッ…!


薄暗い洞穴の中を、ユーブメルトたちは周囲に気を配りながら足早に駆け抜けていく。


その走る最中、セリスクからの周囲の伝達事項を聞きながら、ユーブメルトは一人物思いにふけっていた。


物思いの対象は、セリスクから伝えられる周りの状況の不可解さだ。


セリスクからもたらされた情報はいたって単純。次々にクラスメートたちが倒されていくと言う事と、その倒されたクラスメートたちの気配が、次々と消えて行っていることの二つである。


別に、気配が消えることに関しては不思議には思っていない。無理なら戻れと言われたのだから、戻るのは当然だ。


だが、その気配が消えた時に言ったセリスクの表情が、今までのものとは違うことがユーブメルトには引っかかっていた。


「(絶対何か変な事があったな…。目を少しだけ見開いてたし)」


走りながら、心中穏やかではない状況が続く。


心の中にいくつもの考えが巡っている時、ユーブメルトたちを嫌な感覚―――肌が粟立つような感覚―――が襲った。


「…なに? これ…」


その感覚に、ユミナは心の底から嫌悪を示す。


「寒いです…とっても…」


スフィアは薄ら寒さを覚えたのか、自らの体をさすっている。


「…これはまさか、結界…か? …いや、でもこの感覚は…」


共振により鋭敏に発達した感覚器官で、セリスクはその寒気を覚える感覚の正体を勘ぐる。


「…へ…なんにしろ冗談きついぜ…めんどくさいったらねぇな…」


ユーブメルトは、セリスクの言葉を聞いてそんな悪態をつく。


結界とは、守護方陣とも呼ばれるコルトアニアの世界で最高峰の防御術だ。


その中に取り込まれれば、外から中、中から外の攻撃はほぼ通ることがない。まあ、その結界を張った術者の力量にもよるのだが。


そんな代物が展開されたと言う事は、いよいよパーティー全体が危なくなったと言う事である。中から外の攻撃も通らない。時間稼ぎの生き残りに手を出したと言う事なのだから。


「行こう! 助けに行かないと!」


「はい!」


「そこを右に曲がれ。曲がった後の段差を飛び越えてすぐだ。気をつけろよ!?」


我先にと言わんばかりに、少女二人が駆け抜けていく。


駆けて行ってしまった二人の少女に、セリスクはその先の道の情報を教えながらも、自らも駆け出していく。いや、駈け出すと言うより、背中に生えたその翼を使って飛行していくと言った方が正しいだろうか。


そして、ユーブメルトは一人、出遅れてしまっていた。


「…あいつら…。…俺は今、ただの凡人だっていう事忘れてやがるな…?」


ユーブメルトは共鳴者ではない。


そのため、共振も現れることがない。契約している獣神に合わせた身体能力の強化も存在しない。つまり、今のユーブメルトはただの人間なのだ。


何度も言うが、ユーブメルトは共鳴者ではない。


人間離れした感覚を持ち合わせてもいないし、バカみたいな運動能力もない。だが、彼は教員たちが危険視する『落ちこぼれ』であり、『極端』だった。


ドクン…!


そして、今。その危険視されていた能力の一部が、暴走を始めようとしていた。


「…さて…めんどくさいけど、俺も……?」


いつものようにめんどくさいとのたまいながら、ユーブメルトは重たい足を前に踏み出した。


だが、その踏み出した足の感覚がない。いや、体全ての感覚がない。まるで、転移魔法がかかった瞬間のような―――


「な!? なんだよこれ!」


ユーブメルトの驚愕の声が、誰もいない洞穴に響く。


彼の体には、見た事もない『銀色』の光が渦巻いていた。禍々しい雰囲気を持ったその銀色の光に、ユーブメルトは恐怖した。


そして、がむしゃらに体を振るう。だが、そんなもので銀色の光が離れることはない。なぜなら、その光は彼自身の体から出ているのだから。


しかし、錯乱したユーブメルトにその事は分からない。錯乱したままで、もともと制御しきれていない膨大な魔力を無意識のうちに練り上げていく。


―――体を覆う、銀色を引きはがすために。


「っ! 邪魔だああぁぁぁ!!!!」


怯えの色濃く残る目をしたまま、ユーブメルトはそう叫ぶ。


その叫びとも咆哮とも取れる声とともに吐き出された、彼が持つ御しきれない強大な魔力。


嵐となった魔力は猛り狂い、壊す対象を求めて荒れ狂う。だが、それを放った術者であるユーブメルトの意識は、すでにその魔力の嵐から離れていた。


当然、標的を失い、操る者もいなくなった魔力の嵐は、その嵐の起こすエネルギーの通りに上に抜けた。


ドッゴーーーン!!!


上に抜ける。と言う事は、対して広くもない洞穴の天井にぶち当たると言う事である。そのかなり固いはずの岩盤は、魔力の嵐によって削られ、穴が開く。


またも起こった洞穴全体を揺らす振動と音に、全ての者が驚き、その震源を見つめる。


だが、その震源たるユーブメルトは下を向き、頭を両手で押さえていた。


「…はぁっ…はぁっ…! なんだったんだ、あれは…!」


思い出すだけでも恐ろしいと言った風に、ユーブメルトは頭を振りながら今まで見えていたものを振り切ろうとする。


だが、いくら考えても仕方がないものは仕方がない。


初めての経験は、誰にも分からない、得体の知れない物だから。


だが、彼は気づいていない。いや、気づく訳がない。魔力の嵐を放出したとき、彼の髪と瞳が、鮮やかな銀色に染まっていたことを。


「…くっ…体がだるい…。…ねてーけど、一応行かないとな…」


急激にだるくなった体に鞭打ち、ユーブメルトは駈け出した。


パーティーとしてこの場にいるのだ。態々別行動をする謂れはないし、そういう風な作戦を立ててはいない。


だからこそ、ユーブメルトは残る三人と合流する選択を選んだのだ。


そして、三人と合流するべく右に曲がり、曲がってすぐの段差を飛び越えた時、ユーブメルトの目の前には戦っている三人の姿があった。


「ユー! 大丈夫だったの!?」


「なんかものすごい音がしましたけど…」


「ちょうど俺たちの後ろ…お前のいた辺りからだったんだが…」


「あああれ。俺がやった」


「「「…は?」」」


なるべく平静を装いながら、心配する声をかけてきていた三人をあしらうユーブメルト。


そのユーブメルトの答えに、三人の声がハモる。


「だーかーら、俺がやったって言ってんの。なーんかむしゃくしゃしてさー」


念押しするように、笑いながら誤魔化そうとするユーブメルト。普通ならそこで終わる所だが、ユーブメルトは誤算をしていた。


このパーティーには、ユミナがいる。今まで彼の一番近くにいて、一番彼を思っているであろう少女が。


―――ユーブメルトの笑いの仮面に、気づいてしまっていた。


だが、この戦っている場でそんな押し問答をするつもりはユミナにはなかった。精々、思いっきりのふくれっ面をユーブメルトに見せつけることくらいしか、今の彼女にできることはなかったのだから。


「…つか、こいつが原因の奴か?」


「…ああ。おそらく、こいつから結界が出てる」


「めんどくせー…」


こいつ。少年たちが口を揃えて言うこいつとは、今彼らの目の前にいる水色の鱗を持った生き物の事だ。一般的な人間の体躯よりも巨大なその体全体を、水色の強固な鱗が覆い三本の尻尾がゆらゆらと揺らめく。


虎のような四肢を持ち、鷲のような嘴を持つ生き物、『ウィンディーヌ』。それが、その生き物の名前である。研究の結果生み出された、キメラと言った所である。


「…この子がここにいるってことは、やっぱり逃げ出したんですかね?」


「だろうな。こんなものを置いておくのなんて、あのマッドどもか武器バカしかいねーし」


警戒しながら、スフィアが問いを投げかける。


その問いに反応したセリスクが、苦々しい表情になりながら答えであろう言葉を口にする。ちなみに、マッドと言うのは高濃度魔力研究科の別名であり、武器バカと言うのは武具錬成科の別名だ。


「…レオリスのとこのか。…めんどくさい物作りやがって…」


頭をガシガシと掻きながら、ユーブメルトは体全体でめんどくささを表現する。


だが、直ぐにその頭にはとある考えが浮かんでいた。


「…ま、こいつどうにかしたらいいんだろ? めんどくせーけど、やるか。セリスクは中衛に後退、スフィアは後衛だ。両方、魔法での牽制頼む。大技は使わなくていい。俺が囮になるから、ユミナは遊撃、一撃一撃綺麗なのを入れていけ」


「「「了解!!」」」


即座に考え出した戦術で、パーティーの面々を動かしていくユーブメルト。


実は彼、ユーブメルトは頭が偉い。そのため、このような作戦立案を行うのは彼の役目なのだ。


バラバラだった立ち位置を入れ替えるように、四人全員が走る。


ユーブメルトは一番前に陣取り、ウィンディーヌの前足に蹴りで一撃加えると、即座に逃げた。


注意を引くための一撃。どんなに軽くても、どんなに重くても、その対象が自分に意識を向けてくれればそれでいい。その程度の攻撃だ。


そして、思惑通りウィンディーヌはユーブメルトに狙いを定め、その強靭な筋肉で形作られた前足を振った。


「ちっ!」


風を引き裂くようにして振るわれた前足が、ユーブメルトの体をかすめる。


そして、続けざまに振るわれた反対側からの攻撃を、これまた間一髪で避ける。悪態をつきながらも、ユーブメルトはしっかりと次の指示を出した。


「フィー、セリスク!」


その言葉だけで理解したのか、きっちりとユーブメルトの作戦通りの場所に待機していた二人が、各々好きな形で構えを取る。


フィーは両手をクロスさせるようにして手を突出し、セリスクは右手だけを前に突出し、持っていた剣を左手で地面へと突き刺している形だ。


二人は、その体勢のまま自らに宿る魔力を練り上げ、放つ。


「火球よ、燃やせ。その身の気高き熱で! 『火炎弾(ファイヤ・ボール)』!」


「光をも飲み込む真球よ。全てを、無に還せ! 『黒闇球(ダークネス・ボール)』!」


二人が放ったのは、魔法闘技科であれば入学して初めて習うであろう、初級中の初級の攻撃魔法。


お互い、自らの魔力属性らしい属性を付与した魔力の球体が、ウィンディーヌへと殺到する。燃える球体と、どこまでも暗い球体。それらは、挟み込むようにして逃げようとするウィンディーヌの足に激突した。


爆発し、削り取る。それぞれが全く違う方向性で、ウィンディーヌの水色の鱗を蹂躙する。


だが、激突した余波が消えた後、その水色の鱗には一切の傷も入ってはいなかった。


「…やっぱ固すぎだろ…。いくら研究のために生み出されたキメラと言ったって、限度ってもんが…」


「獣刻印の研究のために生み出された命…。何か、物凄く悲しいんですけど…」


攻撃が全くの徒労に終わったことに、セリスクとフィーは愚痴とも取れる呆れの言葉をこぼす。


しかし、それは当然の結果ではあるのだ。牽制のために放った一撃とはいえ、相手が違う。


スフィアの言った通り、ウィンディーヌは獣刻印の研究のために生まれた生物である。


研究のためと言っても、それは建前であり、本当の目的は殺すためにある。強大な力を操ることが出来るようになるが故、生半可な相手では太刀打ちすることが出来ない。


そして、そんな時に白羽の矢とでも言うべきものが立ったのが、戦争の負の遺産と言われていた『生体兵器』だった。


代理戦争に切り替わった瞬間、生体兵器はすべて記録から抹消されようとしていた。だが、それを実験と言う名のもとに使えるようにし、獣刻印を持つ者たちの戦闘能力向上のための人形としたのである。


獣神と言う特殊なもの達に合わせるように作られた生体兵器は、今はキメラと名を変え、基本的に三国の学園の高濃度魔力研究科主導で管理が行われている。実験と言う名の下で。


「でも、やるしかないんだよ! アナシア、ぶっ放していくぜ!」


「はい! あなたの呪縛を、私が解いてあげます!」


決意を新たに、セリスクとスフィアは諦めずに火球と黒球を生み出していく。


その援護を受けながら、ユーブメルトはウィンディーヌの狙いをばらけさせるために的確に一撃を加えて行った。


足を狙ったかと思えば、潜り込むような形でウィンディーヌの腹を狙う。高々普通の人間の身体能力であっても、援護がある今はそれが可能なのだ。


だが、相手も生き物。ちょこまかと動き回るユーブメルトを煩わしく思ったのか、体全体を捻るようにして尻尾を鞭のように振るう。


その動きを察知したユーブメルトは、避けられないと思ったのか、迫る尻尾の一撃を腕でガードするようにして受けた。


余裕、とまでは言わないが、受け止められる威力。だが、ユーブメルトは忘れていた。ウィンディーヌの尻尾は、三本あると言う事に。


「がはっ!」


腕でガードしていた隙間を縫うようにして、二本目の尻尾が腹を直撃し、三本目の尻尾が足を襲う。


綺麗にヒットした尻尾の連打は、軽くユーブメルトの体を吹き飛ばし、洞穴の壁に激突させる。


「ユー! こんのぉ!!」


今まで場を静観するように動き回っていたユミナが、ユーブメルトが吹き飛ばされたことに、怒りの表情を浮かべてウィンディーヌへと突っ込んでいく。


ヒュヒュン!


一気に足もとまで駆け抜け、下から飛び上がるように膝を曲げた後、その力を爆発させるようにして巨躯を蹴り上げる。


一撃目は右足で蹴り上げ、二撃目はそのままの勢いで左足を振りぬく。三撃目は跳ね上がった体を回転させ、両足を思いっきり振り下ろした。所謂、踵落としと言う物だ。


その痛烈な攻撃に、ウィンディーヌの巨躯は一瞬だが浮き上がる。そして、その隙を見逃す後衛の二人ではなかった。


すかさず魔力を練り上げ、魔法を放つ。今度は牽制ではなく、倒すための一撃。


「煉獄の炎よ。咎の炎となりて、彼の者の罪と共に焼き尽くせ! 『断罪ノ(カンビジョン・フレイム)』!」


「虚無の虚空へ。無と言う名の裁きを、我が敵に。変えられぬ贖罪を! 『贖罪ノ(ダーク・アトイトメント)』!」


スフィアの手から現れたのは、真っ赤に染まったすべてを焼き尽くさんばかりの巨大な炎。


セリスクからは、地面に刺した剣を中心に黒く暗い闇が広がっていく。


「「いっけぇぇーー!!」」


叫びと同時に、二人の手から魔法が放たれる。


巨大な炎は上から。黒く暗い闇は下から。数瞬までいたユミナの場所に向かって、その猛威を振るった。


焼き尽くす炎と、すべてを飲み込む闇は、ウィンディーヌの体を飲み込み悲鳴を上げさせる。


「グゥゥォォォ!!」


咆哮を上げながら痛みに耐えるウィンディーヌ。


その虎のような咆哮を一身に受けながら、ユミナはただまっすぐ立っていた。


腹の下から離脱した後、ユミナはユーブメルトを助けたい気持ちを必死に抑え、敵に向き合っていた。その理由は、壁に叩き付けられて力なくぐったりしているユーブメルトの声を聞いたからだ。


実際、彼の口からは言葉と呼ばれる音は出ていない。全身が痺れ、肺の空気を根こそぎ絞り出されているのだから無理はない。


だが、それでも口だけは動いていた。


―――トドメ、任せたぜ―――


届いた言葉。たったそれだけの言葉だけで、ユミナは今立っていた。


「(ユーのために…終わらせる!)白き光。癒しの力を、刃に換えよ。浄化の力を宿しは、静謐なる槍! 『浄化ノ槍刃(スピネル・カタルシス)』!」


掲げた両手。その左右対称に真っ直ぐ突き出された手のひらから現れたのは、淡く輝く白い光。


輝く光が一層輝きを増し、細く、長くその形を形成していく。


白く長く輝く、白色の光の槍が、ユミナの意志を伴って放たれた。


グサッ


寸分違わず、狙った通りの場所に突き刺さる光の槍。上下から挟み込むようにして対象の体を傷つけたセリスクとスフィアの攻撃。ならば、狙う所は自ずと限られてくる。


真ん中。攻撃から一番遠く、あまり被害の少ない場所。ユミナの蹴り技が炸裂した部分に、吸い込まれるようにして突き刺さった。


そして、その貫かれた衝撃にウィンディーヌは耐えきれず、断末魔の叫び声をあげながら絶命した。


「やったー!」


「やりましたねユミナさん!」


「ああ、俺たちやったぜ!」


大きな敵を仕留めた事に、三人は一丸になって喜ぶ。


その喧騒を遠目に見ながら、ユーブメルトは細く息を吐いた。


「…ふぅ…終わった…な。ちっ、あばらいったか? これ」


立ち上がろうとしたユーブメルトは、突如襲った激痛に顔をしかめ、起こそうとしていた体を壁に寄りかからせる。


囮になった代償は大きいが、魔法があればこの程度の傷はすぐに治る。幼い頃に経験した事柄を思い出しながら、その事を再確認したユーブメルトは、再びため息を吐く。


「はぁぁーー……ん?」


ため息を吐き、いつものようにだらけようと思っていた彼の視界に、今この状況では決してありえない光景が映った。


「………」


その光景とは、一切の穢れのない白だった。


真っ白。それだけで表現するしかない白さだ。髪も、肌も、身に纏っている服までも。すべてが白い、少女がそこにいた。


ユーブメルトたちが交戦を始めた頃には他のパーティーはほぼ全滅しており、結界の干渉は受けていたが、それでも他のメンバーは離脱している。


それを念頭に置いたうえで、誰かクラスメートが辿り着いたのかとも思うが、ユーブメルトの記憶の中には白い少女などいない。


「…どうしたんだ? お前、どこから―――」


「……銀……」


「は?」


「…見つけた…」


「? だからなんだ…って、おい!」


急に呟いたかと思えば、ユーブメルトに向かって糸の切れた人形のように倒れこむ少女。


その降ってきた少女の体を咄嗟に抱き留めながら、ユーブメルトは声を上げる。


「……の……か……」


「え? なんだって?」


燃えるように赤く染まった瞳はユーブメルトを映し、そして、涙で濡れていた。


何かを訴えるように口を数回動かした後、白い少女は赤い瞳をまぶたの中に隠し、意識を失った。


「おい! ちっ、めんどくせぇなったく! おーい、全員集まってくれ! こいつと一緒に地上に出るぞ!」


基本的にめんどくさがりなユーブメルトだが、目の前、しかも自らの腕の中で意識を失った少女を見捨てるなどと言う外道ではない。


優しいのだ、彼は。


だが、その少女を助けたことが後に大きな事件に発展することなど、今この時のユーブメルトには分からなかった。






感想等々待ってます。


誤字脱字誤変換等の指摘も歓迎。

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