プロローグ
戦争。
それは、理不尽な戦い。
戦わざる者が戦い、戦うべきものが戦わない。
そんな仕組みの理不尽な戦い。
その戦いが、魔法によって栄華を極める世界、『コルトアニア』でも起こっていた。
だが、時の権力者たちは悟ったのだ。血で血を洗う争いを続けていては、いずれは己の国が滅びてしまうと。だが、それでも戦いを止めることなど出来はしない。止めれば、今滅びるのだから。
そんな時だ。『獣刻印』を持つ者たちが現れ始めたのは。
獣刻印とは、もう一つの世界、獣神界に住む獣神と呼ばれる獣たちと心を通わせる事の出来る者たちの体に現れる、一種の魔法陣のようなもの。
そして、それを持ち獣神と心を通わせる事が出来た者、そんな彼らを人々は『共鳴者』と呼んだ。
彼らが現れたことにより、良くか悪くか世界の情勢は大きく変わった。
仮にも獣神と言う『神』と呼ばれる者たちと契約した者たちだ。その力は強大の一言。それこそ、戦争など一瞬で終わってしまうくらいに。
だからこそ時の権力者たちは考えた。どうすれば、自らの国が一番になれるかを。
そこで生まれたのが、代理戦争と呼ばれる獣刻印を持つ若者たちが戦う戦争だった。
不思議なことに、獣刻印は成熟した大人に現れることはない。もし仮にあったとしても、それは長年、獣刻印を連れ添って来た者のみだ。
そしてそれに申し合わせたように、世界のありとあらゆる資源が枯渇し始めた。食料はもちろん、鉱石などの採掘資源までもが枯渇していく状況を背景に、代理戦争は後押しされることになる。
『舞踏獣園祭』。学生としては、今まで習った全てをぶつける発表の場。だが、それは表向きの名前。
表向きは大会と名を売った学生のイベントも代理戦争の対象となり、その順位によってその年の国の優劣が決まっていった。
そんな状態が続いて20年。
コルトアニア歴568年。世界は、再び大きく変わろうとしていた。
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